この講義で学べること
キャバクラで売上を伸ばしていくと、一人のお客様が大きな売上を作ってくれることがあります。
毎月高額利用してくれる。イベントでは大きく応援してくれる。困った時には数字を助けてくれる。
そのようなお客様は、キャストにとって非常に大切な存在です。
一方で、月間売上の多くを一人のお客様に頼っている状態には注意が必要です。
仕事が忙しくなる、転勤する、家庭環境が変わる、店へ来られなくなるなど、お客様側の事情はいつ変化するか分かりません。
その一人の来店が止まっただけで売上が大きく下がるなら、現在の売上が高くても顧客基盤は安定しているとは言い切れません。
大切なのは、高額利用客を軽く扱うことではありません。
大切なお客様との関係を守りながら、それ以外のお客様も少しずつ増やし、売上の土台を広げていくことです。
この講義では、エース客一人への売上依存をどう考え、トップキャストが安定した顧客基盤を作るには何をすればよいのかを解説します。
最初に覚えておきたいポイント
- 高額利用してくれるお客様は大切にする
- 一人への依存と「大切にすること」は別
- その人が来られない月の売上も確認する
- 売上だけでなく指名客数を見る
- 中間層のお客様も育てる
- 新しい本指名客を継続して増やす
- 別の太客一人を探すだけでは分散にならない

「エース客」とはどんなお客様?
キャバクラでは、ほかのお客様より来店頻度や利用額が大きく、売上を強く支えてくれるお客様を、現場で「エース客」「太客」などと呼ぶことがあります。
呼び方は店舗や人によって異なります。
例えば、次のようなお客様です。
- 毎月何度も本指名で来店する
- 一回あたりの利用金額が大きい
- イベントで大きく応援してくれる
- 長期間継続して来店している
- 売上の大きな割合を作っている
このようなお客様との関係を長く大切にすることは、トップキャストにとって非常に重要です。
一人のお客様が大きな売上を作ること自体は悪くない
最初に誤解しないでほしいのは、一人のお客様から大きな売上があること自体は問題ではないということです。
長く信頼関係を作った結果として、お客様自身が納得して大きく利用してくれることもあります。
その関係を無理に小さくする必要はありません。
問題になるのは、「その一人がいなければ自分の売上が成立しない状態」です。
高額利用客がいることと、一人だけに依存していることは分けて考えましょう。
売上依存が強い状態とは?
依存が強いかどうかは、単純に「太客がいるか」では判断できません。
自分の売上構造を見て判断します。
- 月間売上の多くを一人のお客様が作っている
- そのお客様が来ない月は売上が大きく落ちる
- ほかの本指名客がほとんど増えていない
- 新しい指名客を作る行動が減っている
- 一人のお客様の予定だけで月間計画が決まる
- その人の利用額が下がるだけで強い不安を感じる
当てはまるものが多いほど、売上の偏りを一度確認した方がよいでしょう。
一人への依存が危険な理由
お客様との関係が良くても、将来を完全に予測することはできません。
例えば次のような変化があります。
- 仕事が忙しくなる
- 転勤や引っ越しをする
- 収入や支出が変わる
- 家族環境が変わる
- 夜の店へ行く頻度を減らす
- 体調を崩す
- 単純に来店ペースが変わる
これはキャストの接客が悪いから起こるとは限りません。
お客様にも生活があります。
そのため、「この人はずっと毎月同じ金額を使ってくれる」と決めつけないことが大切です。
売上が高い時ほど依存に気づきにくい
一人のお客様から毎月大きな売上があると、月間売上そのものは好調に見えます。
そのため、顧客基盤の弱さに気づきにくくなります。
例えば月間200万円を売っていても、そのうち大部分を一人のお客様が作っている場合と、複数のお客様から積み上げている場合では、売上の安定性が異なります。
現在の売上額だけではなく、「誰がその売上を作っているのか」まで確認することが重要です。
まず「その人が来なかった月」を考えてみる
自分の依存度を確認する簡単な方法の一つが、そのお客様が今月来店できなかった場合を考えることです。
例えば月間売上200万円のうち、一人のお客様が120万円を作っているとします。
そのお客様の来店がなくなれば、残りの顧客だけでは80万円程度になります。
この数字はあくまで例ですが、このように分けると自分の顧客基盤が見えやすくなります。
確認してみたい考え方
- 現在の月間売上はいくらか
- 一番大きいお客様はいくら作っているか
- その人を除いた売上はいくらか
- その人を除いた本指名客は何人いるか
- 新しい本指名客は増えているか
割合に絶対的な正解があるわけではありません。
重要なのは、自分が売上の偏りを把握していることです。
エース客との関係を弱くする必要はない
売上を分散しようとして、「エース客には少し連絡を減らした方がいいのでは」と考える必要はありません。
大切なお客様との関係は、これまで通り丁寧に続けてください。
分散とは、その人の売上を減らすことではなく、ほかのお客様からの売上を増やして全体を強くすることです。
100万円のお客様を50万円に下げるのではなく、その100万円を守りながら、ほかのお客様を育てて総売上を伸ばしていくイメージです。
「もう一人の太客」を探すだけでは分散にならない
一人への依存が怖いからといって、「同じくらい使ってくれる太客をもう一人作ればいい」とだけ考えるのも注意が必要です。
高額利用客が二人になれば、一人だけの状態よりは売上が分かれます。
しかし、その二人だけでほとんどの売上を作っているなら、まだ顧客基盤は偏っています。
トップキャストを長く続けるなら、高額利用客だけでなく、中間層や新しい指名客も増やしていくことが重要です。
中間層のお客様を育てる
安定した売上を作るうえで重要なのが、毎回ものすごく高額ではなくても継続して来店してくれるお客様です。
例えば次のようなお客様です。
- 月に1〜2回来店してくれる
- 無理のない予算で長く通ってくれる
- 予定を立てやすい
- キャストとの関係が安定している
- イベント以外の通常月にも来店してくれる
一人あたりの利用額がエース客ほど大きくなくても、このようなお客様が複数いると売上は安定しやすくなります。
低単価のお客様を軽く扱わない
売上が上がってくると、利用額の大きなお客様へ意識が向きやすくなります。
しかし、現在の利用額が小さいからといって、そのお客様を雑に扱ってはいけません。
予算内で長く通うお客様もいますし、関係が深まることで来店回数が増える場合もあります。
また、単純に利用額だけで人の価値を判断する接客は、お客様にも伝わりやすいものです。
その人なりの無理のない楽しみ方を尊重しながら関係を育てましょう。
新しい本指名客を毎月増やす
既存客だけを守っていると、時間とともに顧客数が減ることがあります。
どれだけ接客が良くても、転勤や仕事などキャストでは防げない理由で来店が止まる人はいます。
そのため、トップ層になっても新規のお客様を作る意識を持ち続けることが重要です。
- フリー席を丁寧に接客する
- 場内指名後のお礼をする
- 連絡先交換後に放置しない
- 2回目の来店を意識する
- 新規本指名客数を記録する
現在のトップ客だけを見るのではなく、半年後の顧客候補も育てていきましょう。
本指名本数と本指名客数は分けて見る
指名本数が多くても、実際に来店しているお客様の人数が少ない場合があります。
例えば一人のお客様が月に何度も来店すれば、本指名本数は増えます。
これは非常にありがたいことですが、顧客基盤を見る時には「何本あるか」と「何人いるか」を分けて考えることが重要です。
- 本指名本数
- 本指名客数
- 一人あたりの来店回数
- 新規本指名客数
複数の数字を見ることで、売上の偏りに気づきやすくなります。
イベント売上と通常売上も分けて考える
バースデーや特別なイベントでは、一人のお客様が通常以上に大きく利用してくれることがあります。
その売上を含めて月間記録を確認することは必要です。
一方で、翌月も同じ利用が続く前提で計画すると、通常月の売上を見誤る場合があります。
「イベントで増えた売上」と「通常営業で作れている売上」を分けて確認しておくと、自分の基礎売上が見えやすくなります。
売上依存が強いとお客様へのプレッシャーも増えやすい
一人のお客様へ強く依存すると、その人の来店や利用額が自分の順位へ直結します。
すると無意識に、次のような状態になりやすくなります。
- 来店回数を強く求める
- 以前と同じ利用額を期待する
- 利用額が下がると不安になる
- 月末に大きなお願いをする
- 他のキャストへ行くことを必要以上に嫌がる
キャスト側の売上事情がお客様への過度な圧力に変わると、長く続いていた関係まで疲れさせる可能性があります。
大切なお客様だからこそ依存しすぎない
一人のお客様が自分の売上を大きく支えてくれていると、その人へ期待が集中しやすくなります。
しかし、長く関係を続けるためにも、自分の月間目標をその人一人へ背負わせないことが重要です。
「今月助けて」だけの関係にしない
売上が足りない月に、お客様へ目標を相談すること自体が必ず悪いわけではありません。
応援したいと思ってくれるお客様もいます。
ただし、毎月「足りないから助けて」を繰り返すと、お客様の負担になりやすくなります。
普段から楽しい時間や信頼関係を作り、その延長として応援してもらう形を目指しましょう。
エース客が来ない月にも基本行動を崩さない
大きな売上を作るお客様の予定がないと、急にモチベーションが下がるキャストもいます。
しかし、そのような月こそ顧客基盤を強くする機会です。
- フリー席を丁寧に回る
- 最近会えていないお客様へ連絡する
- 場内指名客を本指名へつなげる
- 既存客へのお礼を続ける
- 顧客情報を整理する
- 翌月の予定を作る
大きな予定がない日にも動けるキャストほど、長期的な顧客基盤を作りやすくなります。
顧客を売上額だけで分類しない
顧客管理では金額を見ることも必要ですが、金額だけでお客様を判断しないようにしましょう。
例えば次のような視点もあります。
- 来店頻度
- 関係の長さ
- 予定の立てやすさ
- 今後の来店可能性
- 自分との相性
- 無理なく継続できる利用ペース
現在の利用額が最大ではなくても、何年も安定して来店してくれるお客様は非常に大切です。
毎月「売上の偏り」を確認する
月末の振り返りでは、総売上だけでなくお客様ごとの売上も確認してみましょう。
- 一番大きいお客様の売上
- 上位数名のお客様の売上
- それ以外のお客様からの売上
- 本指名客数
- 新規本指名客数
- 来店が止まったお客様
店舗によって確認できる数字や管理方法は異なります。
確認できる範囲で構わないので、自分の売上が誰に支えられているのか把握しておきましょう。
理想は「大きなお客様+安定客+新規客」がいる状態
顧客構成には絶対的な正解はありません。
それでも、長期的に考えると次のような層がある状態は安定しやすくなります。
- 高額利用客:大きな売上を支えてくれるお客様
- 安定客:無理のない範囲で継続来店してくれるお客様
- 新規客:これから本指名へ育つ可能性があるお客様
- 休眠客:再来店の可能性を残しているお客様
一つの層だけではなく、それぞれを少しずつ育てることが売上の安定につながります。
売上依存を減らすための行動
- 月間売上をお客様ごとに確認する
- 一番大きいお客様を除いた売上を確認する
- 本指名本数と本指名客数を分けて見る
- 継続来店している中間層を把握する
- 最近来店が減ったお客様を確認する
- フリー・場内指名を丁寧に接客する
- 毎月新しい本指名客を増やす
- 翌月の予定を早めに作る
- 月末に顧客構成を振り返る
売上依存チェックリスト
- 自分の月間売上を把握している
- 一番大きいお客様の売上を把握している
- そのお客様を除いた売上も確認している
- 本指名客数を把握している
- 新規本指名客が毎月増えている
- 中間層のお客様が複数いる
- 一人のお客様の予定だけで月間売上が決まっていない
- 利用額が下がっても態度を変えていない
- 低単価のお客様を雑に扱っていない
- エース客へ毎月無理なお願いをしていない
- フリー席の接客を続けている
- イベント売上と通常売上を分けて見ている
顧客分散でやりがちな失敗
- エース客との連絡を急に減らす
- 太客をもう一人作れば解決すると考える
- 利用額の小さいお客様を切る
- 現在の売上だけ見て顧客数を見ない
- 新規客を作らなくなる
- イベント月の売上を通常売上だと思う
- お客様の利用額が下がると態度を変える
- 月末になるたび同じお客様へ頼る
- 失客してから新しい顧客を探し始める
トップキャストほど「次の半年」を考える
現在ナンバー1で売上も十分あるなら、今月だけを見る必要はありません。
半年後も同じように売れているかを考えてみましょう。
今のエース客が来店している間に、新しい本指名客を増やす。
現在の中間層のお客様との関係を深める。
最近来店が止まったお客様も整理する。
売れている時に次の顧客基盤を作ることで、何か変化が起きた時にも立て直しやすくなります。
現役店長からのアドバイス
現場で売上を見ていると、一人のお客様がものすごく大きな数字を作っているキャストはいます。
そのお客様を作れたこと自体は、キャストの大きな強みです。
そこを否定する必要はありません。
ただ、店長として見る時は「このお客様が今月来なかったら、売上はいくらになるか」も見ます。
ここで大きく数字が落ちるなら、今の売上が高くても安心はできません。
お客様には仕事も家庭も生活もあります。
ずっと同じペースで店へ来られる保証はありません。
だから、売れている時ほど新規のお客様を雑にしないでください。
今月3万円のお客様が、半年後も3万円とは限りません。
利用額が変わるという意味だけではなく、月1回だった人が月2回来るようになることもありますし、紹介で新しいお客様との縁が生まれることもあります。
一人の大きなお客様を大切にしながら、10人、20人と自分を選んでくれるお客様を増やしていく。
この土台があるキャストは、一人の予定が変わっても簡単には崩れません。
本当に強いトップキャストは、「大きく売れる人」だけではなく、「売上が崩れにくい顧客基盤を持っている人」です。
今回のまとめ
一人のお客様から大きな売上があること自体は悪いことではなく、その関係は大切にするべきです。
ただし、その一人が来店できなくなっただけで月間売上が大きく崩れるなら、顧客基盤の偏りを確認する必要があります。
売上、本指名本数、本指名客数、新規本指名客数を分けて見ながら、高額利用客だけでなく継続して来店する中間層や新しいお客様も育てていきましょう。
顧客を分散するとは、エース客を軽く扱うことではありません。大切な関係を守りながら、それ以外の顧客基盤を広げることです。
一人のお客様の大きな売上に支えられながらも、その一人だけに頼らない状態を作ることが、長くナンバー上位を維持できるトップキャストにつながります。