この講義で学べること
本指名のお客様が増えてくると、全員へ同じ時間・同じ頻度・同じ営業を続けることが難しくなります。
そこで必要になるのが、顧客をある程度整理して見る考え方です。
ただし、ここで注意したいことがあります。
「たくさんお金を使う人が上位」
「少額のお客様は下位」
このように売上額だけで単純に分けるのは危険です。
例えば、1回来店して大きな金額を使ったお客様と、毎月安定して来店してくれるお客様では、どちらが長期的に重要かは簡単には決められません。
今は利用額が大きくなくても、これから関係が深くなるお客様もいます。
逆に、過去に大きな売上を作ってくれたとしても、現在はほとんど来店していないケースもあります。
顧客を分類する目的は、お客様に上下をつけることではありません。
限られた時間の中で、誰に今どんな対応が必要なのかを判断しやすくすることです。
この講義では、売上額だけに偏らず、来店頻度・継続性・関係性・将来性・最近の変化まで見ながら、本指名客を整理して営業へ活かす方法を解説します。
最初に覚えておきたいポイント
- 顧客分類はお客様へ優劣をつけるためではない
- 売上額だけでランクを決めない
- 来店頻度と継続性も見る
- 現在だけでなく今後の関係性も考える
- 新規本指名客は別枠で丁寧に見る
- 最近の変化がある顧客は優先して確認する
- 分類は固定せず定期的に見直す

なぜ本指名客を分類する必要がある?
お客様が5人程度なら、全員の状況を頭で把握できるかもしれません。
しかし、本指名客が10人、20人、30人と増えると状況は変わります。
誰が最近来ていないのか。
誰と次回予定があるのか。
誰へしばらく連絡していないのか。
誰の関係が弱くなっているのか。
これをすべて感覚だけで判断するのは難しくなります。
分類することで、顧客全体を見渡しやすくなります。
顧客ランク分けの目的は「対応を変えること」
ランクを付けること自体には意味がありません。
分類した結果、次の行動が変わることに意味があります。
- そろそろ連絡した方がいい
- 次回来店予定を確認した方がいい
- しばらく営業を弱めた方がいい
- 新しく本指名になったので丁寧に関係を作りたい
- 最近来店頻度が落ちたので状態を確認したい
このように、「今そのお客様へ何をするか」を決めるために分類を使います。
売上額だけで分類すると判断を間違えやすい
顧客管理表に売上を入れると、金額が大きいお客様ほど目立ちます。
そのため、売上順に並べて上から大切にしようと考えやすくなります。
しかし、長く安定して売上を作りたいなら、それだけでは足りません。
例えば
Aさん:今月1回で20万円利用、次回来店は未定
Bさん:毎月2回来店、毎月合計8万円前後を1年間継続
単月売上だけならAさんの方が大きく見えます。
しかし、継続性まで含めればBさんにも非常に大きな価値があります。
数字は一つではなく、複数の角度から見てください。
見るべき① 利用売上
利用売上はもちろん重要です。
どのお客様が自分の売上を支えているのか把握する必要があります。
ただし、一度の高額利用だけで判断せず、複数月で見ることが重要です。
- 今月いくら使ったか
- 過去3か月ではどうか
- 半年単位ではどうか
- イベント月だけ極端に高くないか
単月の金額と継続的な売上は分けて考えましょう。
見るべき② 来店頻度
毎月安定して来店するお客様は、売上を安定させるうえで重要です。
1回の利用金額が大きくなくても、年間を通して継続すれば大きな売上になります。
逆に高額利用でも年に1回しか来ない場合、毎月の売上を支える顧客とは役割が違います。
利用額と来店頻度はセットで確認してください。
見るべき③ 関係が続いている期間
何年も本指名で通ってくれているお客様は、それだけ関係が継続しているということです。
利用額だけでは見えない強さがあります。
例えば、月1回を3年間続けているお客様と、先月初めて高額利用したお客様では関係の成熟度が違います。
長期顧客を「慣れているから大丈夫」と放置しないことも重要です。
見るべき④ 最近の変化
顧客分類で特に重要なのが、最近の変化です。
例えば、以前は安定して来ていたお客様が急に来なくなった場合、過去売上が高くても現在の状態は変わっています。
- 来店頻度が落ちた
- LINEの返信が減った
- 滞在時間が短くなった
- 次回来店予定が決まらなくなった
- 営業への反応が弱くなった
「過去に売れた客」という分類ではなく、現在の状態を見ることが重要です。
見るべき⑤ 今後の関係性
顧客管理は過去だけを見るものではありません。
これから関係が伸びる可能性も考えます。
例えば、新しく本指名になったばかりのお客様。
現在の売上は小さくても、次回来店予定があり、LINEも自然に続いているなら、今後関係が深くなる可能性があります。
新規顧客を現在の売上額だけで低く評価すると、将来の顧客を育てられなくなります。
おすすめは「金額」ではなく状態で分類すること
顧客分類は、A・B・Cのような金額ランクだけでなく、「今どんな状態か」で考えると営業へ使いやすくなります。
状態別分類の一例
- 安定顧客:一定のペースで継続来店している
- 重点顧客:売上や来店頻度が高く関係も強い
- 育成顧客:本指名になったばかりで今後関係を作る段階
- 変化顧客:以前より来店や反応が落ちている
- 休眠顧客:一定期間来店や連絡が止まっている
これはあくまで一例です。
自分が管理しやすい名称へ変えて構いません。
大切なのは、分類した後に行動が分かることです。
「安定顧客」は当たり前だと思わない
毎月来てくれるお客様は、営業しなくても来るように見えることがあります。
しかし、安定しているからこそ扱いが雑になるケースがあります。
連絡が減る。
お礼が薄くなる。
新規客ばかり優先する。
こうした積み重ねから関係が変わることもあります。
安定顧客は「放置していい顧客」ではありません。
「重点顧客」だけに時間を使いすぎない
売上が大きいお客様へ時間を使うことは必要です。
しかし、その人だけに営業時間の大半を使うと顧客構成が偏ります。
一人の来店が減っただけで、売上全体が大きく崩れる可能性があります。
重点顧客を大切にしながら、安定顧客と新しい本指名客も育てることが重要です。
「育成顧客」は最初の数回来店を丁寧に見る
本指名になったばかりのお客様は、まだ関係が完成していません。
初回本指名のあと、2回目、3回目と継続するかが重要です。
- 次回来店の話が出ているか
- LINEが自然に続いているか
- 前回より会話が深くなったか
- 来店理由が自分に変わってきているか
新しい顧客は「まだ売上が少ない」ではなく、「今後どう育つか」で見てください。
「変化顧客」は早めに確認する
以前は安定していたのに、最近動きが変わったお客様は優先して確認したい層です。
完全に来なくなってから対応するより、変化が小さい段階で気づいた方が調整しやすくなります。
- 来店周期が伸びた
- 返信が以前より少ない
- 予定を濁すようになった
- 接客中の反応が変わった
ただし、原因を勝手に「失客」と決めず、自然な会話から状態を確認しましょう。
「休眠顧客」は全員同じように掘り起こさない
一定期間来店していないお客様を、一斉に掘り起こしたくなることがあります。
しかし、全員へ同じ「久しぶり!今日来ない?」を送る必要はありません。
過去の関係や来店理由を確認してください。
- 以前どのくらい来ていたか
- 最後に何を話したか
- 連絡が止まった理由に心当たりはあるか
- 過去どんな連絡に反応していたか
休眠顧客への連絡も、過去の関係に合わせて考えます。
「太客・細客」だけの分類では足りない
夜職では利用金額によって「太客」「細客」と表現されることがあります。
現場で使われることのある言葉ですが、顧客管理ではそれだけで分類しない方が実用的です。
なぜなら、売上額だけでは来店頻度や継続性、関係性が見えないからです。
月5万円を毎月使ってくれる人。
年1回50万円使ってくれる人。
どちらも価値がありますが、営業上の役割は違います。
金額だけでなく、「どういう顧客なのか」まで見る必要があります。
顧客分類と人としての扱いを混同しない
管理上は顧客を分けても、接客態度まで露骨に変えるべきではありません。
高額利用客には丁寧に挨拶する。
利用額の少ないお客様には雑にする。
これでは長期的な信頼は作れません。
分類は裏側の営業管理です。
お客様本人へランクを感じさせるためのものではありません。
優先順位は「大切さ」ではなく「今何が必要か」で決める
例えば、安定して毎月来店しているお客様と、最近急に来店が減っているお客様がいたとします。
どちらが大切かという話ではありません。
ただ、その日の営業としては、変化が出ているお客様へ一度連絡する優先度が高いかもしれません。
つまり営業の優先順位は、顧客の人間的な価値ではなく「今どんな対応が必要か」で考えます。
今日連絡する相手を分類から決める
顧客分類ができていると、その日に誰へ連絡するかを決めやすくなります。
例えば今日の確認
- 変化顧客:最近来店頻度が落ちた人を確認
- 育成顧客:前回初本指名になった人へ自然なフォロー
- 安定顧客:次回来店周期が近い人を確認
- 休眠顧客:久しぶりに自然な話題で連絡できそうな人を確認
こうすると、「LINE一覧の上から順番に送る」という営業から抜けやすくなります。
分類は毎月変わっていい
顧客ランクを一度決めると、そのまま固定したくなることがあります。
しかし、お客様の状態は変わります。
育成顧客だった人が安定顧客になる。
安定顧客だった人の来店頻度が落ちる。
休眠していた人が再び来店する。
分類は顧客へ貼る永久的なラベルではありません。
現在の状態を把握するためのものなので、定期的に更新してください。
週間・半月・月間で分類を見直す
営業管理では、期間ごとに見方を変えると整理しやすくなります。
- 週間:直近で動きがある顧客を見る
- 半月:今月まだ来ていない安定顧客や予定を確認する
- 月間:顧客全体の状態と売上構成を見直す
- 複数月:一時的な変化なのか長期傾向なのかを見る
一日単位だけで判断せず、複数の時間軸で確認することが重要です。
顧客数と売上の偏りも一緒に見る
顧客分類をすると、自分の売上が誰によって作られているかも見えてきます。
例えば月間売上100万円のうち、1人のお客様が70万円を占めているとします。
そのお客様は非常に大切ですが、同時に売上依存が大きい状態でもあります。
一方、複数の安定顧客から売上が分散している場合は、一人の来店減少による影響を抑えやすくなります。
金額だけでなく、売上が何人のお客様で構成されているかも確認しましょう。
今月売上が高い顧客だけを追わない
月の途中で売上を見ると、現在数字を作ってくれているお客様へ目が向きます。
しかし、それだけ追っていると翌月の顧客が育ちません。
今月売上を作ってくれている人。
安定して来る人。
これから本指名として育つ人。
最近関係が弱くなっている人。
顧客全体を同時に見ることが重要です。
分類した人数のバランスを見る
顧客管理では、各分類に何人いるかも確認すると役立ちます。
例えば重点顧客が1人しかいない。
安定顧客も少ない。
育成顧客がほとんどいない。
この状態なら、将来的に売上が不安定になる可能性があります。
逆に育成顧客が増えていれば、今後安定顧客へ成長する可能性があります。
一人ひとりだけでなく、顧客全体の構成を見る視点を持ちましょう。
自分の時間配分も顧客分類から考える
営業に使える時間には限りがあります。
全員へ毎日同じだけLINEすることは、顧客数が増えるほど現実的ではありません。
そこで分類を使い、
- 今日は変化顧客を確認する
- 明日は新しい本指名客をフォローする
- 週末前に来店周期が近い安定顧客を見る
など、営業時間を整理できます。
顧客分類は、自分の時間管理でもあります。
顧客分類でやりがちな失敗
- 売上額だけでA・B・Cを決める
- 高額利用客以外を雑に扱う
- 新しい本指名客を低く評価する
- 安定顧客を放置する
- 過去の売上だけで現在を判断する
- 分類を一度決めたら更新しない
- 休眠顧客へ一斉に同じ営業をする
- 分類しただけで次の行動を決めていない
- 顧客分類を本人へ感じさせる
- 一人の重点顧客だけへ営業が偏る
顧客分類を営業へ使えているかチェックする
- 売上だけでなく来店頻度を見ている
- 関係が続いている期間を把握している
- 新規本指名客を別で確認している
- 最近変化が出ている顧客に気づける
- 休眠顧客を把握している
- 顧客分類を定期的に更新している
- 各分類に何人いるか分かる
- 一人への売上依存を確認している
- 分類から今日の営業相手を決められる
- 顧客の扱いそのものには差をつけていない
良い顧客管理は「誰が一番大切か」を決めるものではない
顧客を分類すると、「誰が一番大切なお客様なのか」を決めるように感じるかもしれません。
しかし、本来の目的は違います。
今、誰へフォローが必要なのか。
誰の関係が変化しているのか。
誰をこれから育てたいのか。
誰へ来店時期が近づいているのか。
これを把握するための整理です。
顧客管理の分類は、お客様の価値を決めるものではなく、自分の行動を決めるものだと考えてください。
現役店長からのアドバイス
キャストに「一番大切なお客様は誰?」と聞くと、一番売上を使っている人の名前が出てくることがあります。
もちろん、大きな売上を作ってくれるお客様は非常に大切です。
でも、僕ならそれだけでは見ません。
毎月ちゃんと来てくれる人は誰なのか。
何年も指名を続けてくれている人は誰なのか。
最近新しく本指名になって、これから関係が伸びそうな人は誰なのか。
逆に、今まで安定していたのに最近少し来店が減っている人は誰なのか。
そこまで見てほしいです。
例えば、月に30万円使うお客様が一人いる。
その人だけを一生懸命追えば、今月の数字は作れるかもしれません。
でも、その人が来なくなった時にどうしますか。
その時に初めて「ほかのお客様も作らないと」と思っても、すぐには作れません。
だから、売れているお客様を大事にしながら、毎月来るお客様も大事にする。
新しく本指名になった人も育てる。
最近少し離れそうな人にも早く気づく。
これが顧客管理だと思います。
それと、ランク分けをする時に気をつけてほしいことがあります。
お客様へ、そのランクを絶対に感じさせないことです。
「この人は細いから後でいい」
「この人は太いから特別」
そんな態度が接客へ出たら、顧客管理ではありません。
分類するのは、自分の裏側の仕事を整理するためです。
例えば今日営業できる時間が30分しかない。
その時に、誰へ連絡するかを考えるために使います。
最近来店周期を過ぎている人。
前回初めて本指名になった人。
次回予定を決めたい人。
こうやって選べれば、限られた時間を有効に使えます。
僕は顧客ランクを「お客様の格付け」だとは考えていません。
今の顧客状態を整理して、自分が次に何をするべきかを分かりやすくするためのものです。
そして分類は変わっていいです。
今日の新規本指名客が、半年後には一番の安定顧客になっているかもしれません。
逆に、今一番売上が大きいお客様が来年も同じとは限りません。
だから、過去のイメージでお客様を見るのではなく、現在の状態を見続けてください。
顧客管理が上手いキャストほど、「誰が一番太いか」ではなく「自分の顧客全体が今どうなっているか」を見ています。
そこまで見られるようになると、売上を一人のお客様へ頼る営業から、複数のお客様で安定して作る営業へ変わっていきます。
今回のまとめ
本指名客を分類する時は、利用売上だけで単純にランクを決めないことが重要です。
売上額、来店頻度、継続期間、最近の変化、今後の関係性まで合わせて見てください。
安定して来店する顧客。
売上を大きく支える顧客。
これから育てたい新しい本指名客。
最近動きが変わった顧客。
しばらく来店していない顧客。
こうして状態を整理すると、今誰へ何をするべきか判断しやすくなります。
ただし、分類はあくまで裏側の営業管理です。
お客様本人への接客態度に上下をつけるものではありません。
顧客ランク分けの目的は、「一番大切なお客様を決めること」ではなく、「自分の限られた時間をどこへ使い、顧客全体をどう育てるか」を考えることです。
一人の大きなお客様だけを見る営業から、安定客・新規客・変化している顧客まで全体を見る営業へ変わることが、長く売上を作る顧客管理につながります。