この講義で学べること
「今月は新規本指名を5人取れた」
これは大切な成果です。
しかし、新しいお客様が5人増えていても、同じ月に以前からの本指名客が8人来なくなっていたら、顧客基盤が強くなっているとは限りません。
反対に、新規本指名は3人でも、既存のお客様がほとんど残り、その3人も2回目・3回目へ続いているなら、顧客基盤は少しずつ厚くなっている可能性があります。
顧客管理では「新しく何人取ったか」だけでなく、「何人残り、何人離れ、結果として何人増えたのか」まで見ることが重要です。
この講義では、新規・継続・変化・休眠から顧客数の増減を見る方法、本指名客の純増という考え方、顧客管理表で月ごとの顧客基盤を確認する方法まで現役店長の視点で解説します。
最初に覚えておきたいポイント
- 新規本指名数だけで顧客増加を判断しない
- 既存顧客が何人残ったかも見る
- 休眠へ移った人数を確認する
- 新規から2回目へ続いた人数を見る
- 月初と月末の顧客構成を比較する
- 顧客の「純増」を確認する
- 売上と顧客数の成長を分けて見る

新規本指名が増えただけでは顧客基盤が増えたとは限らない
顧客を増やすというと、新規本指名を取ることに目が向きやすくなります。
もちろん、新しい本指名客を増やすことは重要です。
ただし、本当に見たいのは月末に自分の顧客基盤がどう変わったかです。
例えば、
例
新規本指名:5人
休眠へ移行:7人
差し引き:-2人
という状態なら、新規を5人取っていても顧客基盤全体は小さくなっている可能性があります。
顧客の「純増」とは?
顧客の純増とは、簡単に言えば「新しく増えた顧客」と「離れた顧客」の差を見る考え方です。
例えば、
新規本指名:8人
休眠へ移行:3人
顧客純増:+5人
と見ることができます。
ただし、これは管理上の簡易的な考え方です。
どの期間をもって休眠とするかは、お客様の通常の来店周期や店舗・働き方によって異なります。
「来なかった人」と「失客した人」は同じではない
今月来店がなかっただけで、そのお客様をすぐ失客として扱う必要はありません。
例えば普段2〜3か月に1回来るお客様なら、今月0回来店でも通常範囲かもしれません。
反対に、毎週来ていたお客様が1か月まったく来ていない場合は、大きな変化です。
顧客の増減を見る時も、その人自身の通常の来店周期を基準にします。
まず月初の顧客人数を把握する
顧客数の増減を見るためには、スタート地点が必要です。
月初時点で、現在どのくらいの本指名客がいるのか確認します。
- 安定顧客
- 新規から継続中の顧客
- 変化が出ている顧客
- 不定期顧客
などを把握し、現在の顧客基盤を確認します。
月中に新規本指名が何人増えたか記録する
新しく本指名になったお客様は、その都度顧客管理表へ追加します。
月末にまとめて思い出そうとすると、初回来店日や会話内容、次回予定などが曖昧になりやすくなります。
最低限、
- 本指名になった日
- 次回来店の見込み
- 2回目来店の有無
- 必要な顧客メモ
は残しておくと、その後の継続も確認しやすくなります。
新規本指名は「人数」だけでなく2回目まで見る
新規本指名を10人取ったとしても、10人全員が一度で終われば、翌月の顧客基盤にはほとんど残らない可能性があります。
そこで、新規本指名客については、
- 新規本指名になった人数
- 2回目へ来店した人数
- 3回目まで来店した人数
を分けて見ます。
「獲得」と「定着」は別の数字です。
新規10人でも残る人数が違えば意味が変わる
例A
新規本指名:10人
2回目来店:2人
例B
新規本指名:10人
2回目来店:7人
新規本指名数は同じ10人です。
しかし、翌月以降の顧客基盤として見れば意味は大きく違います。
新規数だけを競うのではなく、どれだけ関係が継続したかまで確認する必要があります。
既存顧客の「継続人数」も確認する
新しい顧客を増やす一方で、既存顧客がどれだけ残っているかも重要です。
例えば前月まで安定していた顧客が20人いた場合、翌月もその20人全員との関係が同じとは限りません。
そこで、
- 今月も通常通り来店した
- 来店予定がある
- 来店はないが通常周期内
- 以前より頻度が落ちている
- 通常周期を大きく超えている
といった状態を確認します。
顧客が減る前には「変化」が出ることがある
顧客は、ある日突然「休眠顧客」になるわけではありません。
その前に、
- 来店頻度が落ちる
- 来店間隔が長くなる
- 予定が入りにくくなる
- LINEの反応が変わる
- 次回の話が出なくなる
などの変化が出る場合があります。
顧客管理表で変化段階から確認できれば、完全に関係が止まってから気づくより早く状況を把握できます。
休眠顧客になった人数も毎月確認する
新規本指名客を何人取ったかは覚えていても、「今月何人が休眠状態へ移ったか」を数えていないことがあります。
しかし、顧客基盤を増やすためには両方必要です。
例
新規本指名:6人
休眠移行:2人
顧客純増:+4人
こうして見ると、その月に顧客基盤が広がったのかが分かりやすくなります。
休眠顧客が戻ってきた時は「復活顧客」として見る
以前しばらく来店していなかったお客様が、再び来店することがあります。
こうしたお客様を、新規本指名と同じ扱いにする必要はありません。
管理上、
- 休眠から再来店
- 復活顧客
- 再稼働
など、自分が分かりやすい形で区別しても構いません。
大切なのは「新しく増えたのか」「以前の顧客が戻ったのか」を分けて把握できることです。
復活顧客は以前と同じ頻度を期待しすぎない
半年ぶりに来店したお客様が、以前は毎週来ていたとしても、翌週からまた毎週来るとは限りません。
生活環境や飲み方が変わっている可能性があります。
再来店してくれたことを大切にし、現在の関係性からもう一度来店周期を見ていきます。
顧客数は「月末時点の人数」だけでも判断しない
月初20人、月末22人なら、数字だけ見ると2人増えています。
しかし、その中身を見ると、
- 新規10人
- 休眠8人
だった可能性もあります。
この場合、顧客の入れ替わりはかなり大きくなっています。
人数だけではなく、「どう22人になったのか」を見ます。
顧客の入れ替わりが多すぎないかを見る
毎月新規本指名はたくさん取れているのに、毎月同じくらいの顧客が休眠していることがあります。
この状態では、新規獲得力はあっても顧客基盤が積み上がりにくくなります。
例えば半年間、毎月10人新規を取っているのに、顧客人数がほとんど変わっていないなら、継続部分を確認する価値があります。
新規獲得力と顧客維持力は別々に見ます。
新規獲得が少なくても顧客が増える月はある
反対に、新規本指名が少ない月でも顧客基盤が強くなる場合があります。
例えば、
- 新規本指名:3人
- 休眠移行:0人
- 休眠から復活:2人
- 新規3人のうち2人が2回目へ来店
という月です。
派手な新規数ではなくても、顧客基盤は着実に強くなっている可能性があります。
売上が上がっても顧客数が減っていることがある
月間売上が100万円から150万円へ上がっていても、本指名客数が30人から20人へ減っていることがあります。
一部の高額顧客から大きな売上が発生した月などです。
その月の売上としては良い結果です。
ただし、顧客人数が減っているなら、翌月以降の売上基盤には別の注意点があります。
売上増加と顧客増加を同じものとして扱わないことが重要です。
売上が下がっても顧客基盤が強くなっていることもある
反対に、今月の売上が少し下がっていても、
- 新規本指名が増えた
- 2回目へ続く人が増えた
- 休眠顧客が減った
- 安定顧客が増えた
のであれば、将来の売上基盤は強くなっている可能性があります。
もちろん売上結果を軽視するわけではありません。
現在の売上と将来につながる顧客基盤を、両方見ることが大切です。
週間では新規と変化顧客を確認する
週間で顧客数全体を細かく分析する必要はありません。
週間では、直近の動きを中心に確認します。
- 今週新しく本指名になった人
- 2回目へ来店した新規顧客
- 普段より来店が遅れている既存顧客
- 予定や連絡状況に変化がある顧客
ここから、今週必要なフォローを考えます。
半月では顧客の増減途中を確認する
半月時点では、月初からどのように顧客構成が動いているか確認します。
- 新規本指名は何人増えたか
- そのうち何人が2回目へ来たか
- 安定顧客は予定通り来ているか
- 変化顧客が増えていないか
- 休眠へ移りそうな顧客はいないか
月末まで待たずに確認することで、後半の営業を修正できます。
月末では顧客の「入口」と「出口」を見る
月末の顧客分析では、新しく入ってきた顧客と、現在の顧客基盤から離れた顧客を確認します。
イメージとしては、
入口
・新規本指名
・休眠からの復活
継続
・安定顧客
・2回目、3回目へ進んだ顧客
出口
・休眠へ移行した顧客
この流れを見ることで、顧客基盤が積み上がっているのか、毎月入れ替わっているだけなのかが分かります。
円グラフだけでなく増減数も見る
新規・安定・変化・休眠の構成は円グラフで見ると分かりやすくなります。
ただし、構成比だけでは月ごとの増減が分からないことがあります。
そのため、
- 新規+6人
- 復活+2人
- 休眠-3人
- 純増+5人
のように人数の増減も合わせて見ると、より理解しやすくなります。
3か月・6か月で顧客数の推移を見る
顧客数は1か月だけで大きく上下することがあります。
そのため、複数月の推移も確認します。
例
5月:本指名客20人
6月:23人
7月:25人
8月:29人
このように継続的に増えているなら、顧客基盤が拡大している可能性があります。
一方、30人・20人・31人・19人のように大きく上下しているなら、顧客の定着状況も確認した方が良いかもしれません。
顧客数を増やすなら「獲得」と「維持」の両方が必要
顧客数を増やす方法は、新規本指名を増やすことだけではありません。
既存のお客様との関係を維持することも同じくらい重要です。
例えば、毎月新規10人・休眠10人なら、単純な差し引きでは増えません。
新規10人を取りながら、休眠を10人から5人へ減らせれば、顧客基盤は変わります。
「増やす」と「減らさない」を同時に考えることが重要です。
顧客を減らさないことだけを目的にしない
ただし、すべてのお客様を永久に維持することは現実的ではありません。
転勤・生活環境・仕事・飲み方の変化など、キャスト側ではどうにもできない理由もあります。
一人のお客様が休眠したことを必要以上に失敗と考える必要はありません。
重要なのは、全体として新しい顧客が入り、関係が続く顧客が増え、長期的に基盤が厚くなっているかです。
顧客数だけを増やして管理できなくならないようにする
顧客数が増えるほど、名前・前回来店・LINE・次回予定などを記憶だけで管理するのは難しくなります。
顧客を増やすことと、管理できることはセットです。
新規本指名を増やしても、既存顧客への連絡や来店後の記録が抜けるようになれば、顧客基盤が安定しにくくなります。
人数が増えた時ほど、顧客管理表を使う意味が大きくなります。
顧客数の増減を見る基本ステップ
- 月初時点の本指名客を確認する
- 新規本指名客をその都度追加する
- 新規から2回目・3回目への継続を確認する
- 既存顧客の来店状況を確認する
- 普段との変化がある顧客を把握する
- 休眠へ移行した顧客を確認する
- 休眠から戻った顧客を記録する
- 月末に新規・継続・休眠を集計する
- 顧客の純増を確認する
- 3か月・6か月の推移を比較する
顧客数管理でやりがちな失敗
- 新規本指名数だけを見て満足する
- 2回目へ続いた人数を確認しない
- 既存顧客が何人残ったか見ない
- 今月来ないだけで失客扱いする
- 休眠した人数を記録しない
- 復活顧客を新規本指名として数える
- 月末の合計人数だけを見る
- 顧客の入れ替わりを確認しない
- 売上増加と顧客増加を同じものとして考える
- 単月だけで顧客基盤を判断する
自分の顧客基盤をチェックする
- 現在の本指名客数が分かる
- 今月の新規本指名客数が分かる
- 新規から2回目へ来た人数が分かる
- 3回目まで継続した人数を確認できる
- 安定して来店している人数が分かる
- 変化が出ている顧客を把握している
- 休眠へ移った人数が分かる
- 休眠から戻った人数が分かる
- 今月の顧客純増が分かる
- 前月と顧客人数を比較している
- 3か月以上の顧客推移を確認している
- 顧客が増えても管理を継続できている
顧客数を増やす目的は名簿を大きくすることではない
顧客管理表に100人名前が入っていること自体が強さではありません。
その100人のうち、現在も関係が続いているのは何人なのか。
毎月来ている人は何人なのか。
新しく本指名になった人が何人残っているのか。
そこまで見て初めて、顧客基盤の状態が分かります。
顧客管理表は「知り合った人数」を数える表ではなく、「関係が積み上がっているか」を確認する表として使います。
現役店長からのアドバイス
僕がキャストを見る時、「今月、新規本指名何人取った?」という数字はもちろん見ます。
でも、そこで終わらないです。
例えば、
「今月10人取りました」
と言われたら、僕なら次に聞きます。
「その10人、何人がもう一回来た?」
ここを見たいです。
10人取った。
でも9人が一回だけ。
翌月にはほとんど残っていない。
これなら、新規を取る力はあるけれど、その後にまだ改善できる部分があります。
逆に新規は5人。
そのうち4人が2回目へ来た。
既存のお客様もほとんど残っている。
僕なら、こっちもかなり評価します。
なぜなら、来月の顧客が増えているからです。
キャバクラは毎月売上がリセットされます。
でも、本来は顧客まで毎月リセットされる仕事ではありません。
今月作ったお客様が来月も残る。
先月からのお客様も残る。
そこへまた新しいお客様が加わる。
これを繰り返せたら、顧客基盤は積み上がっていきます。
逆に、毎月10人新規を取って毎月10人いなくなるなら、ずっと同じ場所を走っている可能性があります。
新規を取ることが悪いという意味ではありません。
取らなければ顧客は増えません。
ただ、取る力と残す力の両方が必要です。
それと、休眠したお客様を全部「自分が失敗した」と考える必要もないです。
お客様にも生活があります。
転勤もある。
仕事の状況も変わる。
飲みに出なくなる人もいる。
どうしても自然に離れる人はいます。
だから一人一人を必要以上に責めるのではなく、全体で見てください。
新しい人は入っているか。
その人たちは残っているか。
以前からのお客様は安定しているか。
休眠へ移る人が急に増えていないか。
戻ってきた人もいるか。
ここを見ます。
そして僕なら、単月ではなく3か月くらい並べます。
20人。
23人。
27人。
30人。
と積み上がっているなら、かなり分かりやすいです。
でも30人。
18人。
31人。
20人。
と大きく入れ替わっているなら、「なぜ顧客が定着しないのか」を見る余地があります。
売上も同じです。
今月150万円だから強い。
今月100万円だから弱い。
それだけではありません。
150万円だけど顧客が減っている。
100万円だけど新規と安定顧客が増えている。
だったら、来月以降の見え方は変わります。
僕が顧客管理表で本当に見たいのは、名簿の大きさではありません。
先月より今月、今月より来月と「関係が続くお客様」が積み上がっているか。
ここです。
新規本指名を取る力。
2回目へつなげる力。
安定して来てもらう力。
変化へ早く気づく力。
この全部が積み重なると、顧客数は少しずつ増えていきます。
そして顧客数が積み上がれば、一人のお客様へ無理に頼らなくても売上を組み立てやすくなります。
顧客管理表を使うなら、ぜひ「今月何人取った?」だけではなく、「結局、今月何人増えた?」まで見てください。
今回のまとめ
キャバクラの顧客数を管理する時は、新規本指名客が何人増えたかだけでなく、既存顧客の継続・休眠・復活まで合わせて確認することが重要です。
新規本指名を多く取っていても、それ以上に休眠顧客が増えていれば、顧客基盤全体は大きくなっていない可能性があります。
また、新規本指名客は獲得人数だけでなく、2回目・3回目へ何人続いたかを確認します。
今月来なかっただけで失客と判断せず、そのお客様自身の通常の来店周期と比較して状態を判断することも重要です。
月末には新規・継続・変化・休眠・復活を整理し、新しく増えた人数と休眠へ移った人数から顧客の純増を確認します。
さらに単月だけでなく、3か月・6か月と顧客人数を並べることで、本当に顧客基盤が積み上がっているのかが見えやすくなります。
重要なのは、「新規を何人取ったか」だけではなく、「新しいお客様が入り、既存のお客様が残り、結果として関係の続く顧客が何人増えたか」を見ることです。
顧客管理表でこの増減を継続して確認することで、毎月ゼロから売上を作る営業ではなく、前月までに作った顧客基盤へ新しい顧客を積み上げていく営業へ変えていきやすくなります。