この講義で学べること
キャバクラのキャスト管理では、数字を見るだけでは分からない情報があります。
売上が落ちている理由、出勤が減った理由、顧客との関係、接客で困っていること、店舗に対する不満、今後どう働きたいのか。
こうした情報を確認する重要な機会がキャスト面談です。
しかし、面談を「最近どう?」から始めて愚痴を聞くだけで終わらせても、店舗管理にはつながりません。
反対に、売上・指名本数・出勤だけを並べて一方的に指導すると、本人の本当の課題を確認できない場合があります。
キャスト面談の目的は、キャストを説得することでも、機嫌を取ることでもありません。現在の状態を事実と本人の認識の両方から確認し、次に何をするか決めることです。
キャスト面談で確認する7つの基本
- 数字|売上・指名・顧客はどう変化しているか
- 出勤|勤務量やシフトに変化はないか
- 接客|営業中に困っていることはないか
- 顧客|既存客・新規客・トラブルの状態はどうか
- 本人状態|仕事への考えや負担に変化はないか
- 店舗|スタッフ対応や運営への不満・要望はないか
- 次の行動|面談後に本人と店舗が何をするか

キャスト面談は「雑談」ではない
キャストとの関係を作るために、日常的な会話は重要です。
ただし、面談まで雑談だけで終わらせると、店舗として必要な確認ができません。
面談では少なくとも、
- 今どうなっているか
- なぜそうなっているか
- 本人はどう考えているか
- 何を変える必要があるか
- 店舗側は何を支援するか
まで整理します。
最初に面談の目的を決める
キャスト面談は、毎回同じ目的で行うわけではありません。
例えば、
- 定期的な状態確認
- 売上・指名の進捗確認
- 出勤減少の確認
- 接客改善
- 顧客トラブル対応
- 店舗への不満確認
- 退店兆候の確認
- 今後の目標設定
などがあります。
目的を決めずに面談すると、話題が広がりすぎて何も決まらない面談になりやすくなります。
面談前に数字を確認しておく
キャストへ会ってから数字を確認するのではなく、店長・担当者は事前に現在の状態を把握しておきます。
- 売上
- 本指名
- 場内指名
- 実顧客数
- 新規顧客
- 再来店
- 出勤日数
- 遅刻・欠勤
店舗によって管理項目は異なりますが、面談の目的に必要な数字を準備します。
数字は責める材料ではなく質問の入口にする
数字を見せながら「なんで落ちてるの?」と詰めるだけでは、本人が防御的になります。
数字は、本人の状況を具体的に確認するために使います。
例えば、
「先月より本指名が減っているけど、自分では何が変わったと思う?」
「新規のお客様は増えているけど、再来店につながっていないのは何か思い当たる?」
というように、事実から本人の認識を聞きます。
良くなった数字も必ず確認する
面談が悪い数字の確認だけになると、本人は「呼ばれる=怒られる」と感じるようになります。
改善している部分も具体的に確認します。
- 新規本指名が増えた
- 場内指名が増えた
- 出勤が安定した
- 顧客数が増えた
- 営業連絡を継続できるようになった
「何が良かったか」まで一緒に確認すると、本人が成功要因を再現しやすくなります。
出勤の変化を必ず確認する
キャスト管理では、出勤の変化が重要な情報になります。
特に、以前より急に出勤が減った場合は理由を確認します。
- 昼職・学校などの予定
- 生活リズム
- 体力的な負担
- 思ったように稼げていない
- 店舗への不満
- 人間関係
- 仕事への意欲変化
原因はさまざまです。
出勤が減ったという事実だけで「やる気がない」と判断しないことが重要です。
本人が今後どのくらい働きたいか聞く
店舗側が求める出勤だけを伝えるのではなく、本人が今後どの程度働きたいのか確認します。
例えば、
- 今の勤務量を維持したい
- 出勤を増やしたい
- 少し減らしたい
- 昼職と両立したい
- 夜職を中心にしたい
本人の希望によって育成目標も変わります。
接客で何に困っているかを具体的に聞く
「接客どう?」と聞いても、「普通です」「大丈夫です」で終わることがあります。
具体的に分けて聞きます。
- フリー席で会話に困ることはあるか
- 場内指名を取りにくい場面はあるか
- 連絡先交換で困っているか
- 本指名へつながらない理由は何だと思うか
- ヘルプ席で困っていることはあるか
- 苦手な客層はあるか
大きな「接客」という言葉を分解すると課題が見えやすくなります。
顧客の状態を確認する
売上の変化には顧客の変化が関係します。
必要に応じて、
- 最近来ていない顧客
- 来店頻度が上がった顧客
- 新しく本指名になった顧客
- 今後来店しそうな顧客
- 関係が悪化している顧客
- 負担になっている顧客
を確認します。
本人の顧客リストや店舗が把握している情報と合わせると、営業課題を具体化できます。
一人の太客だけを見ない
大きな売上を作る顧客がいると、その顧客の状態ばかり話題になりやすくなります。
しかし長期的な安定には、複数の顧客を育てることも重要です。
主力顧客の状態だけでなく、次の顧客が育っているか確認します。
営業連絡を「やっているか」だけで終わらせない
「ちゃんとLINEしてる?」と聞いて「しています」で終わると、本当の状態は分かりません。
必要に応じて、
- 誰へ送っているか
- どのくらいの頻度か
- 返信はあるか
- 来店へつながっているか
- 連絡する顧客が増えているか
まで確認します。
本人の目標を確認する
店長側の売上目標だけではなく、本人がどうなりたいのか聞きます。
- 月にどのくらい稼ぎたいか
- どの程度出勤したいか
- 売上を伸ばしたいか
- 指名を増やしたいか
- 安定して働きたいか
- イベントで結果を出したいか
本人の目的が違えば、必要な行動も変わります。
店舗側の期待だけを押し付けない
店舗として「もっと売ってほしい」「もっと出勤してほしい」と考えることはあります。
しかし、本人の働く目的を無視して一方的に目標を渡すと、長く続きません。
店舗側が求めることと、本人が目指していることの重なる部分を探します。
「最近どう?」では本音が出ない場合がある
漠然とした質問だけでは、本人も何を答えればよいか分かりません。
具体的なテーマを使って聞きます。
- 仕事で今一番困っていることは何か
- 最近やりづらくなったことはあるか
- スタッフ対応で困っていることはないか
- 付け回しで気になることはあるか
- 出勤しづらい理由はないか
- お客様関係で負担になっていることはないか
質問を具体化することで話しやすくなります。
話を遮らない
本人が説明している途中で店長が答えを出すと、本当の理由まで聞けないことがあります。
まず最後まで聞きます。
そのうえで、事実確認や店舗側の考えを伝えます。
本人の話へ何でも同調しない
話を聞くことと、本人の意見をすべて正しいと認めることは別です。
例えば、「スタッフが全然見てくれない」と本人が感じていても、実際にどうだったかは確認が必要です。
まず本人の認識として受け止め、その後事実を確認します。
愚痴を聞くだけで終わらせない
キャスト面談では、店舗やスタッフへの不満が出ることがあります。
不満を聞くこと自体は必要です。
しかし、30分、1時間と愚痴だけを聞いて何も変えなければ面談の意味がありません。
不満が出たら、
- 何が起きたのか
- いつ起きたのか
- 誰が関係しているのか
- 本人は何に困っているのか
- 店舗側で確認する必要があるか
まで具体化します。
店舗への不満を早い段階で拾う
キャストが退店を決めてから不満を聞いても、対応が遅い場合があります。
面談では定期的に、働きづらいことがないか確認します。
- スタッフ対応
- 付け回し
- 待機
- シフト
- ルール
- 教育
- 店舗内の人間関係
本人の話がすべて店舗側の問題とは限りませんが、同じ不満が複数人から出る場合は構造的な問題かもしれません。
退店兆候は直接確認する
出勤減少、会話減少、不満増加などが重なっている場合、今後の勤務について確認する必要があります。
曖昧に探り続けるより、必要な場合は本人へ率直に確認します。
例えば、
「最近出勤が減っているけど、今後もこの店で続けたい気持ちはどう?」
というように確認できます。
退店したいと言われてもその場で否定しない
本人から「辞めたい」と言われた瞬間に、説得だけを始めると理由を聞けなくなります。
まず、なぜそう考えるようになったのかを確認します。
- 収入
- 働き方
- 人間関係
- 店舗への不満
- 顧客問題
- 別の仕事
- 本人の生活変化
など、理由によって店舗側が対応できることとできないことを分けます。
引き留めることだけを目的にしない
すべての退店を止めることが正解ではありません。
本人の状況や店舗との相性によっては、継続が最善ではない場合もあります。
重要なのは、退店に至った原因を正しく把握し、店舗側の改善点があれば次へ生かすことです。
売上が高いキャストにも面談する
結果が出ているキャストは「大丈夫」と判断され、面談回数が減りやすくなります。
しかし、売上上位だから問題がないとは限りません。
- 顧客対応の負担
- 出勤負担
- 店舗への要望
- スタッフへの不満
- 他キャストとの関係
- 売上プレッシャー
などを抱えている場合があります。
問題になる前に確認します。
低売上キャストだけを長時間面談しない
結果が出ないキャストほど面談が長くなりやすいですが、話した時間と成長は比例しません。
一度の面談で課題をすべて解決しようとせず、最優先課題を一つに絞ります。
例えば、
- まず出勤を安定させる
- まずフリー接客数を増やす
- まず連絡先交換を徹底する
- まず営業連絡を継続する
というように、次に実行することを明確にします。
一度の面談で課題を増やしすぎない
キャストへ改善してほしいことが多くても、一度に5個、10個伝えると本人は何から手を付ければよいか分からなくなります。
今最も結果へ影響している課題を優先します。
面談で決めるのは「頑張る」ではなく行動
面談の最後に「頑張ります」で終わると、次回何を確認すればよいか分かりません。
例えば、
- 次回出勤までに休眠顧客へ連絡する
- フリー席では必ず連絡先交換を意識する
- 今週は来店見込み顧客を整理する
- 次回営業後に接客フィードバックを受ける
- シフトを翌月分まで整理する
など、実際の行動へ落とします。
店舗側がすることも決める
キャストへ行動を求めるだけでは不十分です。
必要なら店舗側の支援も決めます。
- フリー接客後にフィードバックする
- 営業LINEを一緒に確認する
- 顧客管理を整理する
- ロープレを行う
- 担当スタッフが定期確認する
- 店舗側の問題を責任者が確認する
本人と店舗の両方に行動がある状態を作ります。
担当スタッフと店長の役割を分ける
店舗によってはキャストごとに担当スタッフを置く場合があります。
その場合、すべての面談を店長が行う必要はありません。
日常的な進捗確認は担当者、重要な判断・大きな不満・退店リスクなどは店長や役職者が入るなど、店舗の体制に合わせて役割を分けます。
担当スタッフだけへ任せきらない
一方で、「担当が見ているから店長は知らない」という状態も避けます。
重要な変化は店舗内で必要な範囲へ共有します。
- 急な売上低下
- 出勤減少
- 重大な顧客問題
- 店舗への強い不満
- 退店意向
などは、担当者だけの情報にしない方がよい場合があります。
複数スタッフが別々のことを言わない
担当スタッフは「出勤を増やして」、役職者は「無理しなくていい」、店長は「売上を作って」と別々の方向を伝えると、キャストは混乱します。
店舗として何を優先するのか、担当者間で認識を合わせます。
面談場所とタイミングを考える
重要な内容を営業中の忙しい時間や、他キャストに聞こえる場所で行うと本音を話しにくくなります。
内容に応じて、落ち着いて話せる時間・場所を選びます。
一方、簡単な進捗確認まで毎回正式な長時間面談にする必要はありません。
必要以上に私生活へ踏み込まない
仕事へ影響している事情について本人が話すことはあります。
ただし、業務上必要のない私生活を興味本位で深く聞く必要はありません。
面談はあくまで仕事・勤務・顧客・店舗との関係を改善するために行います。
他キャストの情報を面談材料にしない
「○○ちゃんはあなたのことをこう言っていた」と他人の発言を安易に伝えると、人間関係を悪化させる場合があります。
必要な問題がある場合は、噂話ではなく具体的な行動や事実を扱います。
面談内容は必要な範囲で記録する
重要な面談は、次回確認できるよう記録します。
- 面談日
- 確認した事実
- 本人の認識
- 現在の課題
- 本人が行うこと
- 店舗側が行うこと
- 次回確認日
などを簡潔に残します。
ただし、必要以上の私生活情報や確認できていない噂を記録しないようにします。
面談したら必ず後追いする
面談で「次はこうしよう」と決めても、次回まで一度も確認しなければ行動は続きにくくなります。
課題に応じて数日後、1週間後、月末など確認日を決めます。
面談回数を増やすより、前回決めたことを後追いする方が重要です。
同じ面談を毎回繰り返さない
毎回「売上どう?」「もっと頑張ろう」で終わる面談は、本人にとって意味がなくなります。
前回から何が変わったかを基準にします。
- 前回決めた行動はできたか
- 数字はどう変化したか
- 新しい問題は出たか
- 店舗側の支援は機能したか
- 次は何を変えるか
面談を積み上げ型にします。
面談頻度は全員同じにしない
全キャストを毎週同じ時間だけ面談する必要はありません。
新人、成長途中、状態変化があるキャストは確認頻度を高める場合があります。
安定して自走できているキャストは、日常確認を中心にしながら必要なタイミングで面談する方法もあります。
店舗規模や管理体制によって適切な頻度は異なります。
問題がないときにも面談する
問題が起きたキャストだけを呼ぶ運用にすると、面談=注意される時間になります。
安定しているキャストにも、成長確認や今後の目標を話す機会を作ります。
キャスト面談でよくある失敗
失敗1|「最近どう?」だけで終わる
具体的な課題や変化を確認できません。
失敗2|数字だけで詰める
売上が変化した本当の原因を確認できません。
失敗3|愚痴を聞くだけで終わる
不満は聞けても具体的な改善につながりません。
失敗4|店長が話しすぎる
本人がどう考えているか確認できません。
失敗5|一度に課題を増やしすぎる
本人が何から改善すればよいか分からなくなります。
失敗6|「頑張る」で終わる
次回確認できる具体的な行動が残りません。
失敗7|面談後を追わない
話した内容が営業現場で実行されたか分かりません。
キャスト面談の7ステップ
- 面談目的を決める
定期確認・売上・出勤・不満・退店など、今回確認するテーマを明確にします。 - 事前に数字を確認する
売上・指名・顧客・出勤など必要な情報を準備します。 - 良い変化から確認する
改善・成長している部分も事実で伝えます。 - 本人の認識を聞く
数字・接客・顧客・店舗について本人がどう考えているか確認します。 - 最優先課題を決める
一度にすべて直そうとせず、今最も重要なテーマへ絞ります。 - 本人と店舗の行動を決める
誰が何をするのか明確にします。 - 次回確認日を決める
面談後の変化を必ず後追いします。
店長用|キャスト面談チェックリスト
- 今回の面談目的を決めたか
- 売上を確認したか
- 本指名・場内指名を確認したか
- 顧客数を確認したか
- 出勤状態を確認したか
- 以前からの変化を確認したか
- できている部分も伝えたか
- 本人が数字をどう見ているか聞いたか
- 接客で困っていることを確認したか
- 顧客関係の問題を確認したか
- 店舗への不満・要望を確認したか
- 本人の今後の働き方を確認したか
- 店長側が話しすぎていないか
- 本人の話へ安易に同調していないか
- 噂ではなく事実を扱っているか
- 課題を増やしすぎていないか
- 本人が行うことを決めたか
- 店舗側が行うことを決めたか
- 重要内容を記録したか
- 次回確認日を決めたか
キャスト面談が機能している完成基準
キャスト面談ができている状態とは、本人と長時間話せている状態ではありません。
次の状態になっていることが重要です。
- 数字と本人の認識を両方確認できている
- 売上だけでなく出勤・接客・顧客も見ている
- 良い変化と悪い変化を両方確認している
- 店舗への不満を早い段階で拾えている
- 退店兆候へ問題が大きくなる前に気づける
- 面談ごとに最優先課題が明確になっている
- 本人が次に何をするか分かっている
- 店舗側の支援内容も決まっている
- 担当者と店長の役割が分かれている
- 面談後の行動変化を確認できている
店長のキャスト面談は「聞くこと」と「決めること」の両方が必要
キャストの話を聞くことは重要です。
しかし、聞くだけでは店舗運営は変わりません。
反対に、店長が答えを一方的に伝えるだけでは本人の本当の状態を理解できません。
まず事実を確認する。
本人の考えを聞く。
課題を一緒に整理する。
そして、次に何をするか決める。
この順番が重要です。
良いキャスト面談とは、キャストが「話を聞いてもらえた」と感じるだけではなく、「自分が次に何をすればよいか」まで理解して終わる面談です。
まとめ
キャバクラ店長がキャスト面談を行うときは、売上だけを確認したり、本人の愚痴だけを聞いたりして終わらせてはいけません。
売上・指名・顧客・出勤・接客・本人の状態・店舗への不満を事実と本人の認識の両方から確認します。
そのうえで、現在最も重要な課題を一つに絞り、本人が行うことと店舗側が支援することを決めます。
そして、次回確認日を決めて面談後の変化まで追います。
「話す時間」を作ることではなく、キャストの状態を正しく把握し、具体的な行動変化へつなげることが、店長に必要なキャスト面談の基本です。