この講義で学べること
キャストの売上は、営業中の接客だけで作られるものではありません。
接客した顧客へお礼を送り、その後も関係をつなぎ、来店のきっかけを作る営業行動が必要です。
しかし店長・役職者が営業管理をするとき、
- 「もっと連絡して」で終わる
- 送信件数だけを見る
- 本人任せにする
- 毎日細かく確認しすぎる
- 売上が落ちてから営業不足に気づく
という状態になりやすいものです。
営業行動管理で重要なのは、キャストのスマートフォンを細かく監視することではありません。
「誰へ、なぜ、いつ、次に何をするのか」が整理され、必要な営業行動を本人が継続できる状態を作ることです。
この講義では、店長・役職者がキャストの営業活動をどこまで確認し、どの数字と行動を見て育成へつなげるかを解説します。
キャストの営業行動で店長が見る7項目
- ①接客後フォロー:接客した顧客へ適切にお礼や連絡ができているか
- ②見込み顧客:本指名につながる可能性がある顧客を把握できているか
- ③既存顧客:本指名客との関係を継続し、再来店につなげているか
- ④休眠顧客:最近来店していない顧客を放置していないか
- ⑤来店打診:ただ連絡するだけでなく、来店につながる提案ができているか
- ⑥来店予定:未来の来店・同伴予定を具体的に持てているか
- ⑦継続性:一時的ではなく営業行動を習慣として続けられているか

営業管理は「何件送ったか」だけでは足りない
営業活動を数字で管理しようとすると、連絡件数を追いたくなります。
もちろん、行動量を見ること自体は必要です。
しかし、100件送ったから良い営業とは限りません。
内容もタイミングも考えず、一斉に同じ文章を送るだけでは来店につながらないことがあります。
店長が見るべきなのは、
- 誰へ連絡しているか
- その顧客は現在どの状態か
- 何を目的に連絡しているか
- 次の行動が決まっているか
- 最終的に来店へつながっているか
です。
まず顧客を状態別に分ける
すべての顧客へ同じ営業をする必要はありません。
顧客の現在地によって、必要な連絡は変わります。
一例として、
- 直近で接客した新規顧客
- 場内指名をもらった見込み顧客
- すでに来店している本指名顧客
- 来店予定がある顧客
- 最近来なくなった休眠顧客
のように分けると、次に何をするか整理しやすくなります。
店舗によって顧客区分の定義は異なるため、正式な管理ルールがある場合はそちらを優先します。
接客した顧客をその日のうちに整理する
営業管理で最初に見るべきなのは、接客した顧客がそのまま消えていないかです。
フリー席について連絡先を交換しても、翌日には顧客の特徴を忘れてしまうことがあります。
最低限、
- 名前や呼び方
- 接客した日
- どんな話をしたか
- 来店理由
- 次につながりそうな情報
を本人が把握できる状態にします。
重要なのは情報量ではなく、次回その顧客と会ったときに関係を続けられることです。
接客後のお礼までを仕事として見る
接客が終わった時点で仕事が終わるわけではありません。
特に新規顧客や場内指名客は、接客後のフォローによって次回来店の可能性が変わります。
店長・役職者は、
- 連絡先を交換したか
- お礼を送ったか
- 接客内容を踏まえた連絡になっているか
- その後の関係が続いているか
までを見る必要があります。
ただし、文章そのものを毎回スタッフが作る状態にはしません。
最終的には本人が自分で考え、相手に合わせて連絡できる状態を目指します。
見込み顧客を放置させない
売上が伸びないキャストの中には、顧客がいないのではなく「見込み客を残せていない」ケースがあります。
場内指名や連絡先交換まで進んでいても、その後ほとんど連絡していなければ本指名へ進みません。
店長は、
- 最近の場内指名客
- 連絡先交換した顧客
- 再来店の可能性がある顧客
が現在どうなっているか確認します。
「顧客がいない」と言う前に、すでに出会っている顧客を追えているかを見ることが重要です。
既存顧客は「来たか来ないか」だけで見ない
本指名顧客がいるキャストの場合、新規営業だけを見る必要はありません。
既存顧客の状態も確認します。
- 前回来店日はいつか
- 通常どの程度の頻度で来るか
- 最近連絡が減っていないか
- 次回来店の話が出ているか
- 関係性に変化がないか
売上は、新規顧客だけではなく既存顧客の継続によって安定します。
休眠顧客を定期的に見直す
一度本指名になった顧客でも、時間が経つと来店が止まることがあります。
問題は、その顧客がキャストの頭の中から消えてしまうことです。
一定期間来店していない顧客を休眠顧客として整理し、必要に応じて再接触します。
ただし、すべての休眠顧客へ同じ頻度で連絡する必要はありません。
過去の来店頻度、関係性、再来店可能性などを見て優先順位をつけます。
「連絡する」から「来店を作る」へ進める
営業行動の目的は、メッセージを送ることではありません。
最終的には来店につなげることです。
そのため、ある程度関係ができた顧客には、
- 次回来店できそうな日を聞く
- 出勤日を伝える
- イベントなど具体的な来店理由を伝える
- 同伴など次の約束を提案する
など、関係性に合わせて具体的な来店打診へ進めます。
無理に来店を迫るのではなく、自然に次の予定へ進められているかを見ます。
来店予定を未来の数字として見る
店長が営業管理をするとき、過去の売上だけを見てはいけません。
今後の来店予定も重要です。
- 本指名来店予定
- 同伴予定
- 来店可能性が高い顧客
- イベント来店予定
を確認すると、未来の売上をある程度予測できます。
予定が少ないキャストには、売上が落ちてからではなく事前に営業行動を増やす必要があります。
営業量と来店結果をセットで見る
営業行動を評価するときは、行動量だけでも結果だけでも不十分です。
たとえば大量に連絡しても来店につながらない場合、
- 対象顧客が合っていない
- 連絡内容が一方的
- 来店打診まで進んでいない
- そもそも関係性が弱い
可能性があります。
逆に少ない営業量でも一定の来店がある場合は、既存顧客依存になっていないか確認する必要があります。
キャストごとに必要な営業量は違う
すべてのキャストへ同じ営業件数を求める必要はありません。
新人と主力では顧客数が違います。
また、出勤日数や現在の顧客基盤によっても必要な行動は変わります。
店長は、
- 現在の顧客数
- 見込み客数
- 出勤日数
- 売上目標
- 来店予定
を見ながら、必要な営業行動を決めます。
新人は営業の型を作る
新人キャストの場合、最初から高度な営業を求めてもできません。
まずは、
- 接客後にお礼を送る
- 顧客を忘れないよう整理する
- 次の出勤予定を伝える
- 返信が来たら会話を続ける
など基本行動を習慣化します。
最初は量より「毎回やる」ことを重視します。
中間層は見込み客を本指名へ転換する
中間層キャストは、営業そのものを知らないというより、顧客を次の段階へ進められていないことがあります。
店長は、
- 場内客が本指名になっているか
- 見込み客が放置されていないか
- 来店打診まで進んでいるか
を重点的に確認します。
主力は顧客維持と新規開拓の両方を見る
主力キャストは既存顧客を多く持っているため、日常営業が既存客中心になることがあります。
既存顧客の維持は重要ですが、新しい顧客が増えなければ将来的に顧客基盤が細くなります。
そのため、
- 既存客の維持
- 休眠客の掘り起こし
- 新規見込み客の追加
をバランスよく見ます。
営業できていない原因を確認する
営業量が少ないとき、「やる気がない」と決めつけないことが重要です。
営業できない理由には、
- 誰へ連絡すればよいか分からない
- 何を送ればよいか分からない
- 顧客情報を整理できていない
- 断られることを避けている
- 日常的に営業する習慣がない
- 現在の目標が曖昧
など複数あります。
原因によって必要な指導は変わります。
営業内容を細かく監視しすぎない
管理を強めすぎると、本人がスタッフから指示されなければ営業できない状態になることがあります。
店長の目的は、すべてのメッセージを確認することではありません。
営業の考え方と優先順位を理解させ、本人が自分で顧客を管理できるようにすることです。
問題がある場合は具体的に確認し、安定してきたら徐々に本人へ任せます。
営業行動をタイプ別に整理する
タイプ1|営業不足型
顧客はいるものの、日常的な連絡が少ない状態です。
まず営業を行う時間と習慣を作ります。
タイプ2|送信量偏重型
多く連絡していますが、来店につながっていません。
対象顧客・内容・来店打診までの流れを確認します。
タイプ3|見込み客放置型
場内や連絡先交換はできていますが、その後が続いていません。
接客後フォローを重点課題にします。
タイプ4|既存客依存型
現在の顧客だけで売上を作り、新しい顧客が増えていません。
新規見込み客を増やす行動を加えます。
タイプ5|営業習慣安定型
新規・既存・休眠顧客を自分で整理し、必要な営業を継続できています。
店長は細かく指示せず、結果と大きな変化を確認します。
よくある失敗|営業件数だけをノルマにする
件数だけを追うと、「送ること」が目的になる場合があります。
営業量と来店結果をセットで確認します。
よくある失敗|売上が落ちてから営業を増やす
売上が落ちた時点で急に大量営業を始めても、すぐ来店につながるとは限りません。
日頃から顧客との関係を維持することが重要です。
よくある失敗|全顧客へ同じ営業をする
新規・既存・休眠では顧客との関係性が違います。
相手の状態に応じて営業内容と優先順位を変えます。
よくある失敗|店長が営業内容を作り続ける
店長が毎回文章を考えてあげれば、短期的には営業できます。
しかし、それでは本人の営業力が育ちません。
最初は支援しても、最終的には本人が顧客を判断し、自分で営業できる状態へ移します。
実務ステップ|キャストの営業行動を管理する順番
STEP1|現在の顧客を整理する
新規・見込み・既存・休眠など現在の顧客状態を確認します。
STEP2|来店予定を確認する
近い将来に本指名・同伴など具体的な予定があるか確認します。
STEP3|営業不足の顧客を特定する
見込み客・最近来ていない顧客など、次に動かす相手を整理します。
STEP4|優先順位を決める
すべての顧客へ同じ時間を使わず、再来店可能性や現在の関係性から順番を決めます。
STEP5|具体的な営業行動を決める
お礼・通常連絡・来店打診・休眠客への再接触など次の行動を明確にします。
STEP6|一定期間後に結果を確認する
連絡しただけで終わらず、返信・予定・来店まで進んだか確認します。
STEP7|うまくいかない原因を修正する
営業量・対象顧客・内容・タイミングのどこに問題があるか整理します。
STEP8|本人だけで管理できる状態へ移す
営業習慣が安定したら、店長の確認頻度を下げ、自主管理へ移行します。
店長用チェックリスト
- 営業件数だけで評価していないか
- 接客後のお礼まで確認しているか
- 見込み顧客を把握しているか
- 本指名客の来店頻度を確認しているか
- 休眠顧客を放置していないか
- 来店打診まで進んでいるか
- 未来の来店予定を確認しているか
- 営業量と来店結果をセットで見ているか
- キャストの段階に合った営業管理をしているか
- 営業不足の原因を確認しているか
- 全顧客へ同じ営業をさせていないか
- 店長が営業文章を作り続けていないか
- 一時的ではなく継続できているか
- 本人へ徐々に管理を任せているか
- 本人が次に営業する顧客を自分で判断できるか
キャスト営業管理の完成基準
営業管理の完成は、店長が毎日「何件送った?」と聞く状態ではありません。
次の状態になっていることを目安にします。
- 本人が現在の顧客を把握している
- 新規・見込み・既存・休眠を分けて考えられる
- 接客後のフォローが習慣化している
- 来店打診を自分で行える
- 未来の来店予定を作れている
- 売上が落ちる前に営業行動を増やせる
- 営業結果を見て自分で改善できる
- 店長が細かく確認しなくても継続できる
最終的には、キャスト自身が「今日誰へ営業するべきか」を判断できる状態が理想です。
店長は営業を「やらせる」のではなく「続けられる仕組み」にする
営業活動は、一日だけ頑張っても大きな成果にはつながりにくいものです。
顧客と出会う。
接客後にフォローする。
関係を続ける。
来店を打診する。
来店後も次の関係を作る。
この積み重ねが顧客基盤になります。
店長が毎日「営業しろ」と言い続けなければ動かない状態では、営業管理は完成していません。
必要な顧客を整理し、優先順位を決め、本人が自分で行動できる仕組みを作ることが店長の役割です。
まとめ
キャストの営業行動を管理するときは、接客後フォロー、見込み顧客、既存顧客、休眠顧客、来店打診、来店予定、継続性を確認します。
重要なのは、連絡件数だけを増やすことではありません。
顧客を状態別に整理し、誰へ、何のために、次に何をするのかを明確にします。
そして営業量と返信・予定・来店結果を合わせて確認し、うまくいかなければ対象顧客・内容・タイミングを修正します。
新人、中間層、主力では必要な営業管理も異なります。
店長がすべてを管理するのではなく、最終的にはキャスト自身が顧客を整理し、「今日誰へ営業するべきか」を判断できる状態へ育てることが営業管理の完成形です。