キャバクラの採用で最初に決めなければならないのは、「何人採用するのか」です。
しかし採用人数を、現在の在籍数だけで決めるとズレやすくなります。
在籍30人でも、毎日安定して出勤するキャストが少なければ営業は人手不足になります。
逆に在籍人数が少なくても、出勤率が高く必要人数を確保できている店舗なら、急いで大量採用する必要はありません。
さらに、現在は足りていても、来月に退店予定者が複数いる、低稼働が増えている、繁忙期が近いという場合は、先に採用を進める必要があります。
採用人数は「現在何人在籍しているか」ではなく、「今後、営業に必要な人数を何人確保する必要があるか」から逆算します。
この講義で学べること
- 在籍人数だけで採用人数を決めてはいけない理由
- 必要出勤人数の考え方
- 実働キャスト数の見方
- 退店・低稼働を採用計画へ入れる方法
- 採用人数を逆算する考え方
- 繁忙期前の採用判断
- 採用過多・採用不足を防ぐ方法
在籍人数と必要人数は別物
採用計画で最も多い間違いは、在籍人数だけを見ることです。
たとえば在籍30人でも、
- 週1回しか出勤しない
- 長期欠勤中
- 退店予定
- ほぼシフトを出さない
- 勤務時間が短い
というキャストが多ければ、実際の営業力は30人分ありません。
店長は在籍人数ではなく、「実際にどれだけ営業へ参加しているか」を見ます。
採用人数を決めるとき店長が見る7項目
① 必要出勤人数
営業を安定させるために、曜日・時間帯ごとに何人必要か確認する。
② 現在の実働人数
在籍ではなく、実際に継続出勤しているキャスト数を見る。
③ 出勤率
在籍キャストがどれくらい営業へ参加しているか確認する。
④ 退店見込み
退店予定・退店兆候がある人数を先に見込む。
⑤ 低稼働・長期欠勤
名簿上は在籍でも、戦力として計算しにくい人数を確認する。
⑥ 繁忙期・イベント
今後必要人数が増える時期を採用計画へ入れる。
⑦ 採用後の定着率
採用者全員が戦力になるわけではない前提で必要採用数を考える。

最初に「営業に必要な人数」を決める
採用人数を考える前に、店舗として必要な出勤人数を決めます。
見るのは、
- 平日の必要人数
- 週末の必要人数
- 繁忙時間帯の必要人数
- イベント日の必要人数
- 余裕を持って運営できる人数
です。
「今いる人数で何とか回している」を必要人数の基準にしてはいけません。
欠勤が一人出ただけで営業が崩れるなら、その人数は必要人数を満たしていない可能性があります。
曜日別に必要人数を分ける
すべての曜日で同じ人数が必要とは限りません。
平日は来店数が少なく、週末へ顧客が集中する店舗もあります。
そのため、
- 曜日別客数
- 席数
- 指名来店数
- フリー客数
- キャスト一人あたりの接客負荷
などから必要人数を見ます。
「毎日20人必要」ではなく、「月曜は15人、金曜は22人必要」というように曜日ごとに考える方が実態に近くなります。
時間帯別の不足も確認する
一日の平均出勤人数だけでは不足が見えないことがあります。
たとえば20人出勤していても、早い時間に8人しかいなければ、その時間帯は人手不足です。
逆に終盤だけ人数が多くても、ピーク時間に足りなければ営業効率は下がります。
店長は、
- オープン直後
- 来店ピーク
- 深夜帯
など、時間帯別にも必要人数を確認します。
実働キャストを数える
必要人数が決まったら、現在の実働人数を確認します。
在籍表をそのまま数えるのではなく、
- 安定出勤
- 中稼働
- 低稼働
- 長期欠勤
- 退店予定
などに分けて見ます。
店舗によって区分名称は違っても構いません。
重要なのは、「在籍している」と「営業戦力になっている」を分けることです。
低稼働キャストを1人として数えない
週1日程度しか出勤しないキャストと、週5日出勤するキャストを同じ1人として計算すると、人員計画がズレます。
採用計画では、人数だけでなく出勤量も見ます。
必要に応じて、
- 週5日前後の高稼働
- 週3日前後の中稼働
- 週1日前後の低稼働
のように分けると、実際の戦力を考えやすくなります。
退店予定を先に引いて考える
現在必要人数を満たしていても、来月に複数退店すれば不足します。
そのため採用計画では、確定している退店予定を先に引きます。
さらに、
- 出勤が急激に減っている
- 店舗への不満が強い
- 他店を検討している
- 長期欠勤へ入りそう
- 担当者との連絡が減っている
など、退店リスクが高いキャストも確認します。
確定退店と退店リスクを同じ扱いにする必要はありませんが、採用を始める判断材料にはなります。
採用は退店が決まる前から動く
退店者が出てから、その人数分だけ募集する店舗は常に人員不足へ追われやすくなります。
応募から実際の入店までには時間があります。
さらに入店後すぐに安定出勤するとは限りません。
そのため店長は、退店予測と採用リードタイムを合わせて考えます。
繁忙期から逆算して採用する
年末や大型イベントなど、通常より人員が必要になる時期があります。
繁忙期直前に採用を始めても、十分な人数を確保できない可能性があります。
繁忙期採用では、
- 必要人数が増える時期
- 募集開始時期
- 面接期間
- 体験入店期間
- 入店後の慣れる期間
まで逆算します。
繁忙期当日に新人ばかり増えても、すぐに十分な戦力になるとは限らないためです。
必要採用人数は「不足人数」と同じではない
現在5人不足しているから、5人採用すればよいとは限りません。
採用しても、
- 初出勤しない
- 数回で辞める
- 低稼働になる
- 店舗と合わず退店する
場合があります。
そのため、実際に必要な戦力人数から、過去の採用後定着状況を踏まえて採用目標を設定します。
採用人数を逆算する基本
採用人数は、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 営業に必要な出勤人数を決める
- 現在の実働人数を確認する
- 不足人数を出す
- 退店予定・低稼働を加える
- 繁忙期の追加必要人数を加える
- 採用後の定着を考慮する
- 最終的な採用目標人数を決める
これにより、「何となくあと5人欲しい」という感覚採用から離れられます。
採用目標から応募数まで逆算する
最終的な採用目標人数を決めたら、そこで終わりではありません。実際の採用活動では、必要な採用人数から体験入店数、面接数、応募数まで逆算します。
- 必要な定着人数を決める
- 定着率から必要な入店人数を逆算する
- 入店率から必要な体験入店数を逆算する
- 体験入店率から必要な面接数を逆算する
- 面接到達率から必要な応募数を逆算する
たとえば「5人定着させたい」という目標でも、5人採用すれば必ず5人残るわけではありません。過去の定着率や面接から入店までの通過率を使い、必要な母数まで戻して考えることが重要です。
この数字は固定の正解ではありません。自店の過去実績を使い、応募経路や時期によって通過率が違う場合は分けて確認します。
採用が計画より遅れているときも、「もっと採用する」と考えるだけではなく、応募・面接・体験入店・入店・定着のどこで人数が減っているのかを確認します。これにより、採用量の不足なのか、面接や入店率の問題なのか、定着の問題なのかを切り分けられます。
採用目標には期限を付ける
採用人数だけ決めても、期限がなければ進捗を管理できません。
「5人採用する」ではなく、
「来月末までに5人入店させる」
というように期限を設定します。
さらに必要であれば、
- 応募目標
- 面接目標
- 体験入店目標
- 入店目標
まで分解します。
採用過多にも注意する
採用は多ければ多いほど良いわけではありません。
必要以上に採用すると、
- 一人あたりの接客機会が減る
- フリー席へ着けないキャストが増える
- 出勤調整が増える
- 新人教育が追いつかない
- スタッフの管理負荷が増える
場合があります。
採用は人数を増やす競争ではなく、営業に必要な人数を適正に確保する仕事です。
「入店人数」だけで採用状況を判断しない
今月10人入店したとしても、同じ月に8人退店していれば純増は2人です。
さらに入店者の多くが低稼働なら、営業戦力はそれほど増えていない可能性があります。
店長は、
- 入店人数
- 退店人数
- 純増人数
- 実働人数
- 平均出勤人数
まで合わせて見ます。
採用不足の原因も数字で分ける
必要人数に届かない場合は、採用活動のどこに問題があるか確認します。
- 応募数が少ない
- 面接設定率が低い
- 面接実施率が低い
- 体験入店率が低い
- 入店率が低い
- 定着率が低い
不足人数だけを見ても、改善方法は分かりません。
採用人数を決める実務ステップ
- 曜日・時間帯別の必要人数を決める
営業を安定させる基準人数を設定する。 - 現在の実働人数を確認する
在籍ではなく実際の出勤状況を見る。 - 低稼働・長期欠勤を分ける
戦力として計算しにくい人数を確認する。 - 退店予定を確認する
今後減る人数を見込む。 - 繁忙期予定を確認する
将来必要になる追加人数を計算する。 - 不足人数を出す
必要人数と実働人数との差を確認する。 - 定着率を考慮する
入店者全員が残る前提にしない。 - 採用目標を決める
必要な入店人数を設定する。 - 期限を決める
いつまでに確保するか明確にする。 - 毎月見直す
入退店と出勤状況の変化に合わせて修正する。
よくある失敗
失敗1|在籍人数だけで判断する
低稼働や長期欠勤を含めてしまい、実働不足を見逃します。
失敗2|退店してから採用する
応募から入店までの時間差により、人員不足期間が生まれます。
失敗3|不足人数と採用人数を同じにする
入店後の離脱や低稼働を考慮できません。
失敗4|繁忙期直前に採用する
必要な時期までに十分な戦力へ育たない可能性があります。
失敗5|採用人数だけを増やす
教育・管理・接客機会とのバランスが崩れる場合があります。
失敗6|採用計画を一度決めたら変えない
退店や出勤状況の変化に対応できません。
店長用チェックリスト
- □ 曜日別の必要出勤人数を把握しているか
- □ 時間帯別の不足を確認しているか
- □ 現在の実働人数を把握しているか
- □ 低稼働キャストを分けて見ているか
- □ 長期欠勤者を戦力人数から分けているか
- □ 退店予定者を確認しているか
- □ 退店リスクが高いキャストを把握しているか
- □ 繁忙期から逆算しているか
- □ 採用後の定着状況を考慮しているか
- □ 採用目標人数に期限があるか
- □ 入店・退店・純増を確認しているか
- □ 毎月採用計画を見直しているか
採用人数計画の完成基準
「あと何人か欲しい」という状態では、採用計画ができているとは言えません。
次の状態まで作ります。
- 営業に必要な出勤人数が明確になっている
- 現在の実働人数が把握できている
- 低稼働・長期欠勤が分けられている
- 退店予定を採用計画へ反映できている
- 繁忙期の必要人数を予測できている
- 不足人数が数字で分かっている
- 定着率を考慮した採用目標が設定されている
- 採用期限が決まっている
ここまで整理できて、採用を感覚ではなく人員計画として管理できる状態になります。
店長としての考え方
採用人数を決める仕事は、単なる人集めではありません。
営業に必要な人数を予測し、退店や低稼働を先に読み、必要な時期までに人材を準備する仕事です。
人が足りなくなってから募集する店舗では、採用が常に緊急対応になります。
一方で、必要人数を先に予測できる店舗では、採用を計画的に進められます。
重要なのは、在籍人数を増やすことではありません。
営業に必要な実働人数を、必要な時期に確保することです。
店長は「何人いるか」ではなく、「いつ、何人が実際に働ける状態を作る必要があるか」で採用人数を考えます。
まとめ
キャバクラの採用人数は、在籍人数だけでは決められません。
必要出勤人数、実働人数、出勤率、低稼働、退店予定、繁忙期、採用後の定着まで含めて考える必要があります。
まず店舗運営に必要な人数を決め、現在の実働との差を出し、今後減る人数と増える必要人数を加えます。
そのうえで採用後の離脱まで考慮し、期限付きの採用目標へ落とします。
採用人数を感覚で決めるのではなく、店舗の人員計画から逆算できる状態を作ることが、店長の採用管理の基本です。