この講義で学べること
スタッフ面談の質は、面談中の話し方だけで決まるものではありません。
店長が面談前に何を確認し、どこまで情報を整理しているかによって、話せる内容の具体性が大きく変わります。
準備をせずに面談へ入ると、「最近どう?」「何か困っている?」という雑談から始まり、その場で思い出したことだけを話して終わりやすくなります。
反対に、本人の担当業務、実績、最近の行動、前回面談で決めたことなどを整理しておけば、感覚ではなく事実を使って話せます。
面談準備の目的は、話す内容を全部決めることではありません。本人の話を聞いたうえで正しく判断できるように、必要な事実と確認項目をそろえておくことです。
面談前に整理する7つのこと
- 目的|今回の面談で何を確認するのか
- 担当|本人が現在何を任されているのか
- 実績|結果として何ができたのか
- 行動|結果につながる行動をしていたか
- 成長|以前より何ができるようになったか
- 課題|現在どこで止まっているのか
- 前回|前回決めた行動が実行されたか
面談準備をせずに話すと何が起きるのか
日々スタッフを見ている店長ほど、「普段から見ているから準備しなくても話せる」と考えやすくなります。
しかし、日常的に感じている印象と、面談で扱うべき事実は別です。
準備がないと、直近で起きた出来事だけを強く評価したり、目立つ失敗だけを覚えていたりすることがあります。
その結果、本来は成長しているスタッフへ問題点ばかり伝えたり、逆に課題が続いているスタッフへ曖昧な話しかできなかったりします。
最初に今回の面談目的を決める
準備の最初は、今回の面談で何を確認したいのかを決めることです。
例えば、
- 定期的な成長確認
- 担当業務の進捗確認
- 目標未達の原因確認
- 次の役割を任せられるかの確認
- 勤務状態の変化確認
- 本人から相談があった内容の確認
などです。
目的を一つに限定する必要はありませんが、中心となるテーマは決めておきます。
現在の担当業務を確認する
本人を評価する前に、「現在何を任せている人なのか」を確認します。
役職名だけで判断してはいけません。
同じ役職でも店舗によって担当業務は異なりますし、同じ店舗内でも個人ごとに任せている仕事が違う場合があります。
- 担当キャスト
- 営業中の役割
- 教育担当
- 採用担当
- 店舗内の管理業務
- 上司から任せている個別業務
など、現在の責任範囲を整理します。
実績は「結果」として整理する
本人の実績として確認できる数字や結果がある場合は、面談前に確認します。
ただし、見る数字は役割によって変わります。
例えば採用担当なら面接や入店、教育担当なら担当者の育成進捗など、その人が責任を持つ範囲を見ます。
本人が管理できない数字まで本人の成果として扱わないことも重要です。
結果だけでなく行動も確認する
面談準備で実績だけを見ると、結果が出た人はすべて良く、結果が出なかった人はすべて悪いという評価になりやすくなります。
結果に至るまでの行動も確認します。
- 依頼された仕事を期限内に行ったか
- 自分から進捗報告できたか
- 問題を早い段階で相談できたか
- 部下の仕事を後追いできたか
- 必要な確認を省略していないか
- 同じ失敗を繰り返していないか
こうした行動は、本人の成長状態を見る材料になります。
一回の失敗だけで評価を決めない
直近に大きなミスがあると、その出来事だけが強く印象へ残ります。
もちろん重要な問題であれば面談で扱いますが、一回の出来事だけで一定期間全体の評価を決めないようにします。
反対に、一度大きな成果を出したからといって、それだけで継続的に成長していると判断するのも危険です。
一定期間の行動と結果を見ます。
前回面談の記録を確認する
継続面談では、前回何を話したかの確認が重要です。
前回決めた内容を忘れたまま新しい課題を出すと、スタッフから見ると「毎回言うことが変わる上司」になります。
前回記録がある場合は、
- 前回の課題
- 設定した目標
- 本人が行うと決めたこと
- 店長側が支援すると決めたこと
- 期限
を確認します。
前回決めたことが実行されたかを見る
前回の目標が達成されたかだけでなく、決めた行動を実行したかを確認します。
結果が出ていなくても、正しい行動を継続できている場合があります。
反対に、偶然結果だけ出ていて、約束した行動は行っていない場合もあります。
結果と行動は分けて確認します。
店長側の約束も確認する
面談で忘れやすいのが、上司側の約束です。
例えば、
- 新しい仕事を任せる
- ロープレの時間を作る
- 必要な資料を渡す
- 別の役職者へ教育を依頼する
- 次の挑戦機会を作る
などを店長側が約束していた場合、その実施状況も確認します。
本人だけへ「約束を守れ」と言いながら、上司側が約束を忘れていれば信頼を失います。
できるようになったことを準備する
面談準備では課題ばかり探さず、本人の成長も整理します。
以前はできなかった仕事が一人でできるようになった、相談のタイミングが早くなった、部下への説明が分かりやすくなったなど、小さな成長も確認します。
成長を具体的に伝えられると、本人も「何を続ければよいか」が分かります。
課題候補を整理する
次に、面談で扱う可能性がある課題を整理します。
この段階では複数あっても構いません。
- 期限管理
- 報告不足
- 確認不足
- 教育不足
- 数字への意識
- 部下への後追い不足
- 問題発見の遅れ
など、事実から見える候補を並べます。
課題候補と「決定した課題」は分ける
面談前の段階で、「この人の原因は絶対これだ」と決めきらないことも重要です。
店長からは報告不足に見えていても、本人へ話を聞くと、報告基準自体を教えられていなかった可能性があります。
準備段階では「確認したい課題候補」として持っておき、本人の話を聞いてから最終判断します。
「やる気がない」などの印象をそのまま書かない
面談メモへ「やる気がない」「責任感が弱い」「気が利かない」とだけ書くと、面談でも人格評価になりやすくなります。
できる限り具体的な行動へ変換します。
例えば、
- 依頼後に進捗報告がない
- 締切を過ぎてから相談する
- 担当者の業務完了を確認していない
- 指摘後も同じ手順ミスが続いている
という形です。
他人から聞いた話は事実確認する
スタッフ評価では、他の役職者やスタッフから情報が入ることがあります。
その情報を面談で使う場合、どこまで事実確認できているかを整理します。
「○○が言っていたから」という伝聞だけで本人を評価しないことが重要です。
必要なら関係者へ確認し、事実と意見を分けます。
本人へ聞きたい質問を準備する
面談準備では、店長が話す内容だけでなく、本人へ何を聞くかも決めておきます。
- 自分では今の仕事をどう評価しているか
- 最近うまくいったことは何か
- 現在一番難しい仕事は何か
- 何が原因で止まっていると思うか
- 店長に支援してほしいことはあるか
- 次に何をできるようになりたいか
質問を準備しておけば、一方的な指導だけの面談を防ぎやすくなります。
答えを誘導する質問にしない
「最近、報告が遅いと思わない?」と聞けば、本人は「はい」と答えやすくなります。
それでは本人の認識を確認できません。
まず「最近の報告について自分ではどう感じている?」など、本人が自分の言葉で話せる質問を使います。
面談で確認する順番を簡単に決める
詳細な台本を作る必要はありませんが、大まかな順番は決めておくと話が散らかりにくくなります。
- 本人の現在認識
- できていること
- 前回からの進捗
- 課題候補の確認
- 原因確認
- 次の目標
- 具体的な行動
本人の話によって順番が変わっても問題ありません。
面談時間も事前に決める
時間を決めずに面談すると、一人に長時間かかってしまう場合があります。
一方で、時間を短く設定しすぎると重要な話を確認できません。
店舗状況や目的によって異なりますが、今回確認する内容に合わせて必要な時間を確保します。
話せる環境を準備する
面談内容によっては、他のスタッフに聞かれたくない話もあります。
営業中の騒がしい場所や、人の出入りが多い場所では本人が話しにくくなる場合があります。
店舗環境に応じて、落ち着いて話せる場所と時間を選びます。
面談前から結論を決めない
準備をしっかりすると、逆に「自分の見立てが正しい」と思い込みやすくなることがあります。
面談準備は判決を作る作業ではありません。
本人から見えている事情や、自分が把握していなかった情報が出てくる可能性を残しておきます。
準備した情報と本人の話を合わせて判断します。
面談資料を増やしすぎない
面談のために大量の資料を作る必要はありません。
準備作業が重くなりすぎると、面談を継続できなくなります。
必要なのは、判断に使う事実と前回内容をすぐ確認できることです。
店舗に既存の管理表や目標シートがあるなら、それを活用します。
全スタッフを同じ項目だけで見ない
基本的な確認項目をそろえることは重要ですが、スタッフの役割によって見る内容は変わります。
新人スタッフと役職者候補を、まったく同じ基準だけで評価するのは適切ではありません。
現在の役割と次に求める能力に合わせて確認項目を調整します。
面談準備でよくある失敗
失敗1|何も確認せず面談を始める
その場で思いついた話だけになり、継続的な育成管理ができません。
失敗2|直近の失敗だけを見る
一定期間の成長や成果を正しく評価できなくなります。
失敗3|数字だけを見る
結果を作るまでの行動や成長を見落とします。
失敗4|課題だけ準備する
できていることを伝えられず、面談が注意だけの時間になります。
失敗5|前回内容を確認しない
以前決めた課題や行動を追えず、毎回違う話になります。
失敗6|伝聞を事実として扱う
本人への評価を誤り、上司への信頼を失う原因になります。
失敗7|面談前に結論を決める
本人の話を聞いても判断を変えられず、面談が確認作業ではなく説教になります。
スタッフ面談準備の7ステップ
- 今回の目的を決める
何を確認する面談なのか整理します。 - 現在の担当を確認する
本人が何を任されているか確認します。 - 実績と行動を確認する
結果だけでなく日々の行動も整理します。 - 前回内容を確認する
前回決めた目標・行動・支援を見直します。 - 成長と課題候補を整理する
できていることと改善候補を両方準備します。 - 本人へ聞く質問を決める
自己認識や原因を確認する質問を準備します。 - 面談後に決めたいことを整理する
次の目標・行動・期限を決められる準備をします。
店長用|スタッフ面談準備チェックリスト
- 今回の面談目的を決めたか
- 本人の現在の役割を確認したか
- 担当業務を確認したか
- 実績を確認したか
- 結果につながる行動を確認したか
- 前回面談の記録を確認したか
- 前回決めた行動が実行されたか確認したか
- 店長側の約束を確認したか
- できるようになったことを整理したか
- 課題候補を事実から整理したか
- 印象と事実を分けたか
- 伝聞情報を事実確認したか
- 本人へ聞きたい質問を準備したか
- 面談時間を確保したか
- 落ち着いて話せる環境を準備したか
面談準備ができている完成基準
面談準備ができている状態とは、本人へ言う内容を細かく台本化している状態ではありません。
次の状態になっていることが重要です。
- 今回の面談目的を説明できる
- 本人の担当業務を把握している
- 一定期間の実績を確認できている
- 結果だけでなく行動も確認できている
- 前回面談からの変化を把握できている
- 本人の成長を具体的に伝えられる
- 課題候補を行動として説明できる
- 本人へ確認したい質問が整理されている
- 本人の話によって判断を修正できる余地がある
- 面談後に決めるべき内容が明確になっている
店長は「話す準備」ではなく「判断する準備」をする
面談前の準備というと、本人へ何を言うか考えることだと思われがちです。
しかし、店長が本当に準備するべきなのは、正しく状況を判断するための材料です。
本人の役割、実績、日々の行動、前回からの変化を確認しておけば、本人から新しい情報が出たときも比較しながら考えられます。
準備不足の面談では、店長の記憶やその日の感情が評価へ入りやすくなります。
事実を準備し、本人の話を聞き、その二つを合わせて判断する。それが面談前に店長が行うべき準備です。
まとめ
キャバクラ店長がスタッフ面談を行う前には、今回の目的、本人の担当業務、実績、行動、成長、課題候補、前回面談の内容を整理します。
特に重要なのは、印象だけで本人を評価せず、確認できる事実へ置き換えておくことです。
ただし、準備段階で結論まで決めてはいけません。本人の自己認識や事情を聞き、準備した情報と合わせて最終的に判断します。
面談をその場の思いつきで進めるのではなく、必要な事実を準備したうえで本人と向き合うことが、店長に必要な面談準備の基本です。