この講義で学べること
トップキャストになると、自分のお客様だけを見ていればいい段階から少しずつ変わっていきます。
お客様の来店が増える。
複数卓を回る。
ヘルプに助けてもらう。
お客様がお連れ様を連れてくる。
黒服との連携も増える。
こうなると、自分一人の接客だけでは営業が成立しなくなります。
そこで差が出るのが、「自分軸」だけで考えるキャストと、「店軸」まで持てるキャストです。
自分軸だけなら、「私のお客様だから私を優先して」「スタッフの対応が悪い」「このヘルプは合わない」と不満を中心に考えやすくなります。
一方、店軸を持てるトップキャストは違います。
「このお客様には誰がヘルプで合うだろう」
「今日のお連れ様には新人を紹介してみよう」
「黒服が動きやすいように先に予定を共有しておこう」
「お客様がスタッフへ強く言っているから、自分から一度説明しよう」
このように、自分だけではなく、お客様・キャスト・黒服・店全体が良くなる方法を考えます。
さらに本当に強いトップキャストは、お客様との関係性を使って「店を尊重してくれるお客様」を増やしていきます。
この講義では、トップキャストが自分の売上だけではなく、ヘルプ・新人・黒服・お客様まで巻き込みながら店全体を強くする「店軸」の考え方を解説します。
最初に覚えておきたいポイント
- トップキャストほど自分一人では営業が完結しない
- 自分のお客様に合うヘルプを考える
- お連れ様へ新人や別キャストを紹介する
- スタッフの不満をお客様と一緒に増幅させない
- お客様と店の間に入れる存在になる
- 店を尊重してくれるお客様を増やしていく
- 自分の売上だけでなく店全体が良くなる判断をする

トップキャストほど「自分一人では売れない」
指名が少ないうちは、自分一人の接客だけでもある程度営業できます。
しかし、トップクラスになり複数のお客様が同時に来店するようになると状況は変わります。
- 黒服が席を調整する
- ヘルプが席をつなぐ
- スタッフがドリンクや灰皿を対応する
- 別のキャストがお連れ様を接客する
- 店舗全体で複数卓を回す
つまり、売上が大きくなるほど周囲の協力が必要になります。
だからこそ、トップキャストには「周囲をどう使うか」ではなく、「周囲とどう良い営業を作るか」という視点が必要です。
良いトップキャストはヘルプとの相性を考える
自分が席を離れる時、誰でもいいからヘルプを付けてもらえばいいとは限りません。
お客様によって合うキャストは違います。
- 落ち着いた会話が好きな人
- 明るく盛り上がる方が好きな人
- お酒が好きな人
- 仕事の話をするのが好きな人
- 若いキャストと話したい人
- 気を遣わず話せる相手を好む人
トップキャストほど、自分のお客様の性格をよく理解しています。
その情報を黒服へ伝え、「このお客様なら〇〇ちゃんが合うかもしれない」と考えられると、席を離れている間の満足度も上がりやすくなります。
「ヘルプを付けて」ではなく「誰が合うか」を考える
忙しい時ほど、「誰でもいいからヘルプを付けて」と言いたくなることがあります。
もちろん営業状況によっては、希望通りのキャストを付けられないこともあります。
ただ、トップキャスト自身がお客様とヘルプの相性を考えられると、店舗側も席を組み立てやすくなります。
これは自分が楽をするためではありません。
自分が別卓へ行っている間も、お客様に楽しく過ごしてもらうための工夫です。
お連れ様へ新人キャストを紹介できるトップは強い
本指名のお客様が友人や仕事仲間を連れて来店することがあります。
その時、自分のお客様だけを接客して、お連れ様には興味を持たないキャストもいます。
しかし、店軸で考えられるトップキャストは違います。
「この人なら新人の〇〇ちゃんと合いそう」
「まだ指名が少ない子だけど、すごく感じがいいから紹介してみよう」
「お連れ様にも楽しく過ごしてもらいたい」
こう考えられます。
それによって新人キャストに新しい出会いが生まれ、お連れ様も店を楽しめれば、店舗全体にとってプラスになります。
新人を紹介することは自分の売上を減らすことではない
お連れ様へほかのキャストを紹介すると、「自分の売上にならない」と考える人もいるかもしれません。
しかし長期的に見ると、店全体でお客様を楽しませられる方が再来店につながる可能性があります。
本指名のお客様自身も、「自分の連れまで楽しませてもらえた」と感じるかもしれません。
自分だけが楽しい席より、一緒に来た全員が楽しい席の方が満足度は高くなりやすいものです。
店軸で動くことが、結果として自分のお客様の満足度にも返ってきます。
トップキャストは「店のファン」を作れる
強いキャストは、自分だけのファンを作るだけではありません。
お客様に店そのものを好きになってもらえることがあります。
- 黒服とも自然に話せる
- ほかのキャストとも楽しく飲める
- ヘルプが来ても楽しめる
- 店のイベントを楽しめる
- スタッフにも親しみを持っている
こうしたお客様は、指名キャストが少し席を離れても店全体で楽しみやすくなります。
結果として、トップキャスト自身も複数卓を回しやすくなります。
本当に強いキャストはお客様とスタッフを対立させない
営業中にはミスが起こることがあります。
- ドリンクが遅い
- 案内に時間がかかる
- 延長確認が遅れる
- 席移動がうまくいかない
- スタッフの説明が足りない
その時、お客様が不満を口にすることもあります。
そこでキャストまで一緒になって「本当にこの店ダメだよね」「黒服使えないよね」と言えば、不満はさらに大きくなります。
もちろん店舗側に問題があるなら、あとできちんと改善を求めるべきです。
ただし、お客様の前で店への不満を一緒に増幅させることが、本当にお客様のためになるとは限りません。
トップキャストはお客様と店の間に入れる
例えば、店が混雑していてドリンクが少し遅れているとします。
お客様が「遅いな」と言った時、トップキャストなら間に入ることができます。
お客様と店の間に入る例
「今日かなり混んでるみたい。ちょっとだけ待ってあげて」
「私からスタッフにも伝えておくね」
「ごめんね、次は早めに持ってきてもらうように言っておく」
店のミスを隠す必要はありません。
しかし、自分が間に入ることで、その場を必要以上に悪化させずに済むことがあります。
「お客様を教育する」とはどういう意味?
ここでいう「お客様を教育する」とは、上から目線でルールを教え込むことではありません。
普段の関係性の中で、「この店ではどう楽しむとみんなが気持ちよく過ごせるか」を自然に伝えていくことです。
- スタッフへ必要以上に強く当たらない
- ヘルプキャストにも普通に接する
- 無理な要求を当然だと思わない
- 混雑時には少し待つことも理解してもらう
- お連れ様も含めて楽しく過ごす
キャスト自身がスタッフを尊重していれば、お客様もその空気を感じます。
反対に、キャストがいつも店や黒服の悪口を言っていれば、お客様も同じように店を扱いやすくなります。
お客様は指名キャストの態度を見ている
お客様は店のルールだけを見て行動しているわけではありません。
指名しているキャストの態度から、「この店ではどう振る舞えばいいか」を感じ取ることがあります。
例えばキャストが黒服へ丁寧に話していれば、お客様もスタッフへ丁寧に接するようになることがあります。
逆に、キャストがスタッフを見下すような態度を続ければ、お客様も「このスタッフには強く言っていい」と感じる可能性があります。
トップキャストほど、自分の言動がお客様へ与える影響まで考える必要があります。
指名が取れるキャストほどお客様との信頼が強い
トップキャストがお客様へ良い影響を与えられる理由の一つは、すでに信頼関係があるからです。
黒服が直接「それは困ります」と言うと、お客様によっては反発することがあります。
しかし、長く指名しているキャストから「それはやめよう」「今日は少し待ってあげて」と言われれば、受け入れてもらえる場合があります。
これはトップキャストだからできる大きな役割です。
お客様との信頼関係を、自分の売上だけではなく、良い営業環境を作るためにも使えます。
クレーマーを作るキャストと、作らないキャストがいる
もちろん、お客様自身の性格もあるため、すべてをキャストだけで変えられるわけではありません。
しかし、キャストの対応によってお客様の不満が強くなることも、落ち着くこともあります。
毎回スタッフへの不満へ同調する。
自分のお客様だけ特別扱いされて当然だと伝える。
店のルールを一緒になって否定する。
これを繰り返せば、お客様の要求が少しずつ大きくなることがあります。
反対に、「それは店にも事情があるよ」「そこは普通にお願いしよう」と日頃から伝えていれば、店との関係を良好に保ちやすくなります。
何でも店側をかばえばいいわけではない
明らかなミスや失礼な対応まで「店が正しい」と言う必要はありません。
大切なのは、お客様の不満を受け止めたうえで、必要以上に対立を大きくせず、店舗側へ改善をつなぐことです。
良いトップキャストはクレームを解決へつなげる
お客様からクレームが出た時、トップキャストはその情報を店舗改善にも使えます。
- 何が起きたのか
- お客様が何に不満を感じたのか
- 自分からどう説明したのか
- 今後どのように改善してほしいのか
ここまで黒服へ共有できれば、単なる「お客様が怒っていた」という報告では終わりません。
次回同じことを起こさないための情報になります。
お客様の無理な要求にはトップキャストから線を引く
長く通ってくれるお客様ほど、店側へ要望が増えることがあります。
中には店舗として対応できない要求もあります。
その時、黒服だけに断らせるのではなく、必要に応じて指名キャスト自身が間に入ることも大切です。
「それは店として難しいと思うよ」
「そこまで言うのはやめよう」
「いつも良くしてもらっているから、そこは普通にお願いしよう」
信頼関係があるキャストだからこそ言えることがあります。
自分のお客様だからこそ自分でも守る
お客様を守るというと、店に対してお客様を守ることだけを考えがちです。
しかし、お客様自身が必要以上に怒ったり、無理な要求をしたりして関係を悪くすることから守ることもあります。
その場では要求が通ったとしても、店やスタッフとの関係が悪くなれば、長期的にはお客様にとっても良い状態ではありません。
お客様と長く付き合いたいからこそ、必要な時には「それは違う」と言える関係を作ることも重要です。
店軸で考えると自分の営業も楽になる
店軸というと、「自分を犠牲にして店のために働く」という意味に聞こえるかもしれません。
しかし、実際は逆です。
店全体でお客様を楽しませられるようになると、トップキャスト自身の負担も減らせます。
- 合うヘルプへ安心して席を任せられる
- お連れ様を別キャストへ紹介できる
- 黒服との連携がスムーズになる
- お客様が店全体を好きになる
- 複数卓でも不満が出にくくなる
全部を自分一人で抱えなくてよくなるため、結果としてより多くのお客様を接客しやすくなります。
店軸を持つことと自分の売上を諦めることは違う
トップキャストである以上、自分の売上を追うことは重要です。
お客様を増やし、結果を出すことも仕事です。
店軸を持つからといって、自分の数字を犠牲にする必要はありません。
理想は、自分の売上と店全体の利益が両立する状態です。
自分のお客様を大切にしながら、お連れ様には新しいキャストを紹介する。
自分の席を守りながら、ヘルプが接客しやすい情報を共有する。
自分の意見を伝えながら、黒服とも協力する。
この両立ができるキャストは強いです。
「私のお客様」から「私たちのお客様」へ
もちろん、本指名のお客様とキャストの関係は特別です。
しかし、店舗で接客する以上、お客様を楽しませるのは自分一人だけではありません。
黒服も、ヘルプも、ほかのキャストも、スタッフも関わっています。
「私のお客様なんだから全員私に合わせて」という考え方より、「自分を中心に店全体でこのお客様を楽しませよう」と考えられるトップキャストの方が、営業の幅は広がります。
後輩キャストの売上機会まで作れるトップになる
お連れ様へ新人を紹介することは、後輩にとって大きなチャンスになります。
新人はまだ自分だけでは多くのお客様を作れないことがあります。
そこでトップキャストが「この子いい子だよ」と紹介するだけでも、最初の会話を作りやすくなります。
新人がそこから場内指名や次回来店につなげられれば、店全体のキャスト層も強くなります。
自分が作った一組の来店から、別のキャストにも新しい顧客が生まれる。
ここまでできるトップキャストは、個人売上以上の価値を店へ作っています。
トップキャストがいることで店の接客基準まで上がる
トップキャストが店軸で動くと、周囲にも良い影響があります。
- ヘルプへの情報共有が増える
- 新人を紹介する文化が生まれる
- 黒服とのコミュニケーションが良くなる
- お客様へのクレーム対応がスムーズになる
- キャスト同士で協力しやすくなる
売上1位という数字だけではなく、周囲の営業まで良くできるようになると、トップキャストとしての価値はさらに大きくなります。
良いトップキャストの「店軸」チェックリスト
- 自分のお客様に合うヘルプを考えている
- 必要な顧客情報を黒服へ共有している
- お連れ様にも楽しんでもらおうとしている
- 新人キャストを自然に紹介できる
- ヘルプの協力を当たり前だと思っていない
- お客様の店への不満を必要以上に増幅させない
- 店のミスはあとで改善につながる形で伝えている
- お客様の無理な要求へ必要なら自分から線を引ける
- 黒服とお客様を対立させない
- 自分のお客様に店全体を好きになってもらおうとしている
- 後輩の売上機会も作れている
- 自分の売上と店全体の営業を両立して考えている
店軸がないトップキャストに起こりやすいこと
- 自分のお客様だけ特別扱いを求める
- ヘルプが合わないと毎回スタッフだけを責める
- お連れ様へ興味を持たない
- 新人キャストへ顧客を紹介しない
- お客様と一緒に黒服の悪口を言う
- 店舗へのクレームをそのまま増幅させる
- お客様の無理な要求まで店へ通そうとする
- 周囲の協力を当然だと思う
- 店全体より自分の一卓だけを優先する
- 結果的に複数卓を回しにくくなる
売れるだけでなく「店を強くできるキャスト」へ
自分のお客様を作れる。
大きな売上を作れる。
ナンバー1になれる。
これはトップキャストとして非常に大きな能力です。
しかし、その先があります。
自分のお客様とヘルプをつなぐ。
お連れ様と新人をつなぐ。
お客様と黒服の間へ入る。
クレームを店舗改善につなげる。
自分のお客様へ店全体を好きになってもらう。
ここまでできるようになると、その人の存在が店舗そのものを強くします。
現役店長からのアドバイス
店長として長く現場を見ていると、本当に良いトップホステスは自分の売上だけを見ていません。
もちろん自分のお客様を一番大切にしています。
でも、それだけではありません。
「このお客様なら誰をヘルプにつけたら楽しむかな」
「今日連れてきた友達なら、あの新人を紹介してみようかな」
そういうことを自然に考えています。
これができるトップホステスがいると、店は本当に助かります。
新人にもチャンスが生まれます。
ヘルプも接客しやすくなります。
黒服も複数卓を回しやすくなります。
そして何より、お客様が店全体を楽しめるようになります。
逆に難しいのは、お客様と一緒になって店への不満を大きくするキャストです。
「黒服、本当に使えないよね」
「この店いつもダメだよね」
これを指名キャストから言われ続けたら、お客様もどんどん店へ強くなります。
もちろん店が悪い時はあります。
スタッフがミスをすることもあります。
そこを我慢してほしいという意味ではありません。
問題は店舗へ伝えて、改善させればいい。
でも、お客様の前では自分が間に入れるトップであってほしいと思います。
お客様が少し言いすぎたら、「そこまで言わなくて大丈夫だよ」と言える。
混雑していたら、「今日は忙しそうだから少し待ってあげよう」と言える。
黒服が困っていたら、お客様へ自分から説明できる。
これはお客様との関係が弱いキャストにはなかなかできません。
指名を取って、長く関係を作ってきたトップホステスだからできることです。
僕はこれも「お客様を育てる力」だと思っています。
上から何かを教えるのではありません。
一緒に楽しく飲みながら、店やスタッフを大切にしてくれるお客様へ自然にしていく。
そして、お客様のお連れ様には新人を紹介する。
自分が席を離れるなら、そのお客様に合うヘルプを考える。
こういうキャストは、自分が売れるだけではなく周囲まで売れる環境を作ります。
トップホステスになったなら、そこまで目指してほしいと思います。
「私はいくら売っているか」だけではなく、「自分がいることでこの店がどれだけ良くなっているか」。
そこまで考えられるようになれば、本当に価値の高いトップホステスです。
今回のまとめ
トップキャストになるほど、自分一人の接客だけでは営業が成立しなくなります。
黒服、ヘルプ、新人キャスト、ほかのスタッフと協力しながら、お客様を店全体で楽しませることが重要です。
自分のお客様に合うヘルプを考えたり、お連れ様へ新人キャストを紹介したりできれば、自分の一組の来店から店全体へ新しい売上機会を広げられます。
また、お客様が店やスタッフへ不満を持った時に一緒になって不満を増幅させるのではなく、必要に応じて間に入り、店舗側へ改善をつなげることもトップキャストだからできる役割です。
お客様との信頼関係を、自分の売上だけではなく、店やスタッフを尊重してもらうためにも使う。
そして「自分のお客様」だけではなく、「店全体でこのお客様を楽しませる」という店軸を持つ。
自分が売れるだけでなく、自分がいることでお客様・キャスト・黒服・店全体まで良くできるようになった時、トップキャストとしてさらに一段上の存在になっています。