この講義で学べること
「今月は100万円売りたい」
「今月は本指名を20組呼びたい」
月間目標を決めることは大切です。
しかし、目標金額だけ決めても、誰が来店してその売上を作るのかまで考えていなければ、月末になってから不足分を追いかける営業になりやすくなります。
例えば月間売上目標が100万円なら、
- 毎月安定して来るお客様からどれくらい見込めるのか
- すでに来店予定があるお客様はいくらなのか
- まだ日程が決まっていない見込み顧客は誰なのか
- 新規本指名をどれくらい増やす必要があるのか
- 現時点でいくら不足しているのか
まで分解すると、次に必要な営業が見えてきます。
月間売上目標は「願う数字」ではなく、顧客ごとの来店予定と見込みを積み上げて作る数字です。
この講義では、顧客管理表を使って月間売上目標を組み立てる方法、確定・見込み・不足額の考え方、週間・半月での修正方法まで現役店長の視点で解説します。
最初に覚えておきたいポイント
- 目標金額だけ決めて終わらない
- 顧客ごとの来店予定を積み上げる
- 確定と見込みを分ける
- 安定顧客を基礎売上として考える
- 見込み売上を確定売上として扱わない
- 不足額から次の営業を考える
- 週間・半月で計画を修正する

月間売上目標だけでは営業計画にならない
例えば月間目標を100万円に設定したとします。
しかし、「100万円を目指す」だけでは今日何をすれば良いか分かりません。
必要なのは、100万円を顧客単位まで分解することです。
誰が今月来る予定なのか。
誰が来る可能性があるのか。
誰がまだ予定に入っていないのか。
ここまで見えると、月間目標が具体的な営業計画へ変わります。
最初に「確定している売上」を確認する
月初に最初に確認したいのは、すでに日程まで決まっている来店予定です。
例えば、
月初の確定予定例
Aさん:5日来店予定
Bさん:12日来店予定
Cさん:20日来店予定
このように日程まで決まっている顧客は、現時点で最も確度の高い予定です。
ただし、予定が決まっていてもキャンセルや変更はあります。
そのため、未来の売上を完全な確定売上として考えすぎないことも必要です。
「今月行く」は確定予定ではない
お客様から「今月行くよ」と言われることがあります。
これは来店意思としては良い情報ですが、まだ日程が決まっていません。
そのため、顧客管理表では「確定」と「見込み」を分けます。
- 確定:来店日や時間が具体的に決まっている
- 見込み:来店意思はあるが日程が決まっていない
- 可能性:来店の可能性はあるが具体的な話はまだない
この区別をしないと、実際より予定が多く見えてしまいます。
安定顧客から作れる基礎売上を考える
毎月一定のペースで来店してくれる安定顧客がいる場合は、月間計画を作るうえで重要な土台になります。
例えば過去数か月を見ると、
- Aさん:月2回程度
- Bさん:月1回程度
- Cさん:月2〜3回程度
- Dさん:月1回程度
という来店周期があるとします。
この人たちは、今月の基礎売上を作る可能性が高い顧客です。
ただし「毎月来ているから今月も必ず来る」と決めつけないようにします。
安定顧客であっても、仕事・体調・生活状況などによって来店は変わります。
過去の利用額をそのまま未来の売上にしない
先月Aさんが20万円使ってくれたから、今月も20万円。
このように考えるのは危険です。
前回がイベントだった。
ボトルを入れてくれた。
特別な会食だった。
普段より長時間滞在した。
など、一時的に利用額が高かった可能性があります。
顧客別の予定売上を考える時は、直近1回だけではなく、普段の利用傾向を参考にします。
予定売上は「予測」であって約束ではない
顧客ごとに予定売上を入力すると、数字が具体的になる反面、その数字を当然のものとして扱いやすくなります。
しかし、お客様は売上計画のために来店するわけではありません。
予定売上はあくまでキャスト側が営業計画を立てるための予測です。
実際の利用額を無理に予定額へ合わせようとする必要はありません。
月間目標から現在の見込みを引いて「不足額」を出す
月間目標を営業へ変えるには、現時点で不足している数字を把握します。
例
月間売上目標:100万円
確定予定から想定:30万円
見込み顧客から想定:25万円
現時点の想定合計:55万円
不足:45万円
この45万円を見て、初めて「あと何が必要なのか」を考えます。
不足額を一人のお客様だけで埋めようとしない
不足45万円と分かった時に、特定の高額顧客へ「45万円使ってもらおう」と考える必要はありません。
むしろ、
- 安定顧客の来店を増やす
- 見込み顧客の日程を具体化する
- 新規本指名客を増やす
- 2回目・3回目の来店を作る
- 休眠顧客へ自然な接点を作る
など複数の方法で不足分を埋める方が、長期的には安定しやすくなります。
売上目標を「来店組数」にも分解する
金額だけではなく、来店組数も一緒に考えます。
例えば目標100万円に対して、想定する平均利用額が5万円なら、単純計算では20組程度の来店が必要になります。
ただし、お客様によって利用額は違うため、これはあくまで目安です。
重要なのは、
「100万円足りない」
ではなく、
「あと何組くらいの来店が必要なのか」
まで具体化することです。
本指名組数と顧客人数を両方見る
月間20組を目標にしても、一人のお客様が10回来店して20組を作るのと、15人以上のお客様から20組を作るのでは顧客構成が違います。
そのため売上計画では、
- 来店組数
- 来店する顧客人数
- 顧客別の来店回数
を合わせて確認すると、顧客依存の状態も分かりやすくなります。
新規本指名客を計画に入れる
既存顧客だけで月間目標を組み立てると、顧客が減った時に売上が少しずつ下がっていきます。
そこで、新しく本指名になるお客様も増やしていく必要があります。
ただし、まだ出会っていない新規顧客の売上を「確定売上」として入れることはできません。
新規については、金額よりも、
- 何人の新規本指名を増やしたいか
- フリー席でどれだけ接点を作るか
- 場内指名から本指名へ何人つなげたいか
といった行動側の目標として考える方が現実的です。
新規本指名は「取る」だけで計画しない
新規本指名客が増えても、一度で終われば翌月の顧客基盤には残りません。
そのため月間計画では、
- 新規本指名を取る
- 2回目につなげる
- 3回目まで継続させる
という流れまで考えます。
今月の新規顧客は、来月以降の安定売上を作る候補でもあります。
月初に顧客を3つに分けて考える
月初の売上計画を簡単に作るなら、まず次の3つに分けると整理しやすくなります。
① 確定顧客
すでに来店日が決まっている。
② 見込み顧客
今月来店する可能性が高いが、日程は未確定。
③ これから作る顧客
新規本指名、2回目来店、休眠顧客の再来店など、これから営業で作る部分。
この3つを分ければ、「今ある予定」と「これから作る必要がある売上」を混同しにくくなります。
週間では目標との差を小さく確認する
月間計画は月初に作って終わりではありません。
週間で実績との差を確認します。
- 今週の売上
- 今週の来店組数
- 来店した顧客人数
- 予定通り来店した顧客
- 来週の確定予定
- 日程未確定の見込み顧客
などを確認します。
週間では、月間目標100万円という大きな数字より、「今週予定より何が足りないか」を見る方が行動につながります。
予定より売上が少なくてもすぐ焦らない
月の前半で売上が予定より少ないと、不安になることがあります。
しかし、顧客によって来店時期は違います。
月末に来る安定顧客が多いなら、前半の売上が少なくても計画通りの場合があります。
売上額だけを見るのではなく、今後の確定予定と見込みまで合わせて判断してください。
反対に前半が良すぎても安心しない
前半だけで月間目標の大半を達成することもあります。
ただし、一人の高額顧客によって数字が大きく伸びただけかもしれません。
そこで、
- 何人のお客様から売上が作られているか
- 新規本指名客は増えているか
- 安定顧客は予定通り来ているか
- 後半にも来店予定があるか
を確認します。
売上目標を早く達成した時ほど、翌月につながる顧客基盤を作る余裕が生まれます。
半月では残り半月の不足を再計算する
月の半分が終わったら、月初の計画をそのまま信じず、一度組み直します。
例えば、
半月時点
月間目標:100万円
前半実績:45万円
後半確定予定:20万円相当
合計想定:65万円
残り不足:35万円
となれば、後半で35万円分の営業をどう作るか考えます。
もちろん予定売上は予測なので、数字だけを追いすぎないことも大切です。
不足額より「不足している顧客層」を見る
35万円足りないから35万円を作る。
それだけでは営業が曖昧です。
例えば、
- 安定顧客がまだ3人来店していない
- 見込み顧客が5人日程未確定
- 今月新規本指名がまだ少ない
- 2回目来店につながっていない新規顧客がいる
と分かれば、やることが具体的になります。
不足額を見るだけでなく、「どの顧客層が不足しているか」を確認することが重要です。
月末だけ高額顧客へ頼る営業を防ぐ
月末になって目標まであと20万円、30万円と不足すると、一番使ってくれるお客様へ頼りたくなることがあります。
しかし、それを毎月繰り返せば、特定顧客への負担と売上依存が大きくなります。
月初から顧客ごとの予定と不足を確認していれば、月末だけで大きな数字を埋める状態を減らしやすくなります。
目標未達でも顧客基盤が強くなっている場合がある
例えば目標100万円に対して、結果が90万円だったとします。
数字だけ見れば未達です。
しかしその月に、
- 新規本指名客が5人増えた
- そのうち3人が2回目へつながった
- 安定顧客が増えた
- 一人への売上依存が下がった
のであれば、来月以降の土台は強くなっている可能性があります。
目標達成だけでなく、顧客構成の変化も一緒に評価します。
目標達成していても顧客基盤が弱くなる場合がある
反対に、目標100万円に対して120万円売れたとしても安心とは限りません。
一人のお客様が90万円を使い、新規顧客がゼロ、安定顧客も減っている場合があります。
その場合、今月の結果は良くても翌月の再現性には注意が必要です。
「達成したか」だけではなく、「どう達成したか」を見てください。
売上目標と顧客目標をセットで持つ
売上だけを目標にすると、高額利用を求める方向へ偏りやすくなります。
そこで、売上と一緒に顧客側の目標も持つ方法があります。
例
月間売上:100万円
本指名来店:20組
新規本指名:5人
新規から2回目来店:3人
安定顧客:10人以上を維持
数字はあくまで例ですが、売上と顧客基盤を両方見ることで、短期的な数字だけに偏りにくくなります。
月間売上計画を作る基本ステップ
- 月間売上目標を決める
- 現在の安定顧客を確認する
- 確定している来店予定を確認する
- 日程未確定の見込み顧客を確認する
- 顧客ごとの普段の利用傾向を見る
- 現時点の見込み売上を把握する
- 月間目標との差額を出す
- 不足している顧客層を確認する
- 新規・2回目・安定顧客への行動を決める
- 週間・半月で実績を見ながら組み直す
月間売上計画でやりがちな失敗
- 売上目標だけ決めて顧客まで落とし込まない
- 「今月行く」を確定予定として数える
- 先月の利用額をそのまま今月も期待する
- 予定売上をお客様へのノルマのように考える
- 不足分を一人の高額顧客だけで埋めようとする
- 既存顧客だけで計画を作る
- 新規本指名を取って終わりにする
- 月初に計画を作ったまま更新しない
- 売上達成だけ見て顧客数を確認しない
- 月末になって初めて不足に気づく
自分の月間計画をチェックする
- 今月の売上目標が決まっている
- 確定来店予定が何組あるか分かる
- 見込み顧客を確定と分けている
- 安定顧客の来店周期を把握している
- 顧客別の普段の利用傾向を見ている
- 現時点の不足額が分かる
- 不足している顧客層が分かる
- 新規本指名を増やす行動を考えている
- 2回目・3回目の来店も計画に入れている
- 週間で進捗を確認している
- 半月で後半の計画を組み直している
- 月末だけ高額顧客へ頼っていない
顧客管理表は「今月いくら売れたか」だけを見るものではない
顧客管理表には、過去の実績だけでなく未来の予定も入ります。
現在の売上。
これから来る予定。
日程未確定の見込み。
次に育てたい新規顧客。
これらを一緒に見ることで、月末を待たずに営業を組み立てられます。
現役店長からのアドバイス
キャストに「今月の目標はいくら?」と聞くと、「100万円です」と答えることがあります。
そこで僕なら次に聞きます。
「その100万円、誰で作る予定?」
ここです。
Aさんが今月2回来る。
Bさんは15日に予定がある。
Cさんは今月行くと言っているけど日にちはまだ決まっていない。
Dさんは毎月来ているけど今月はまだ予定がない。
新しく本指名になったEさんは、2回目を作りたい。
ここまで答えられるなら、その100万円には中身があります。
逆に、
「100万円目標です。でも誰が来るかは分かりません」
だと、目標ではあっても営業計画にはなっていません。
僕が大事だと思うのは、目標を決めた瞬間ではなく、その数字を分解した時です。
例えば目標100万円。
確定予定で30万円くらい。
見込みまで入れて55万円くらい。
それなら、あと45万円。
ここまで来ると、「もっと頑張る」ではなく具体的に考えられます。
まだ来店していない安定顧客は誰なのか。
日程を決められそうな見込み顧客は誰なのか。
2回目を作れる新規顧客はいないか。
新しく本指名を取る必要があるのか。
行動が変わります。
ただし、一つだけ絶対に勘違いしてほしくないことがあります。
顧客管理表へAさん10万円、Bさん5万円と書いたからといって、その金額をお客様に使わせることが目的ではありません。
それはあくまで自分側の予測です。
お客様にはお客様の事情があります。
無理に予定金額へ合わせようとする必要はありません。
計画と強制は違います。
そして、僕なら売上目標だけではなく顧客の中身も見ます。
100万円達成した。
でも一人のお客様が80万円。
新規はゼロ。
安定顧客も減っている。
これなら、今月は達成していても来月が少し怖いです。
逆に95万円で少し届かなかった。
でも新規が5人増えた。
そのうち3人が2回目まで来た。
安定顧客も増えた。
なら、僕は来月に期待します。
売上目標はもちろん大事です。
でも本当に強いキャストを作るのは、その数字の後ろにいる顧客です。
だから月間計画を作る時は、金額だけを並べないでください。
誰が来る。
誰をもう一回来てもらいたい。
誰が安定している。
どこが足りない。
ここまで見ます。
売上目標を顧客まで分解できれば、「月末に数字を追う営業」から「月初から数字を作る営業」に変わります。
僕は、顧客管理表をそこまで使えるようになった時に、初めて売上計画と顧客管理がつながると思っています。
今回のまとめ
キャバクラの月間売上目標は、金額だけ設定して終わるのではなく、顧客ごとの来店予定と見込みまで分解することで営業計画になります。
まずは、確定予定・見込み顧客・これから作る顧客を分けます。
安定顧客の来店周期や普段の利用傾向も参考にしながら、現時点でどの程度の売上が見込めるのか確認します。
そこから月間目標との差を出し、「あと何円必要か」だけではなく「どの顧客層が不足しているか」を考えます。
また、予定売上はあくまで予測です。お客様へ予定額の利用を求めるための数字ではありません。
週間では直近の進捗、半月では残りの不足を再計算し、実績に合わせて計画を更新します。
そして月間売上だけでなく、新規本指名客・2回目来店・安定顧客・顧客別売上比率も一緒に確認してください。
大切なのは、「100万円売りたい」で終わらず、「誰と、どのような顧客構成で、その100万円を作るのか」まで考えることです。
顧客管理表を使って月初から売上を組み立て、週間・半月で修正する習慣を作ることで、月末だけ数字を追いかける営業から抜け出しやすくなります。