この講義で学べること
スタッフ面談を行っても、その内容を記録していなければ、時間が経つにつれて何を話したのか曖昧になります。
店長は多くのスタッフ、キャスト、顧客、店舗業務を同時に管理しています。
「前回このスタッフと何を決めたか」「どの課題を改善すると話したか」「店長側は何を支援すると約束したか」を、すべて記憶だけで管理するのは現実的ではありません。
面談記録は、話した内容を大量に書き残すためのものではありません。
面談記録の目的は、前回の約束と変化を次回確認できる状態を作り、スタッフ育成を継続管理することです。
面談記録に残す7つの基本項目
- 日時|いつ面談を行ったのか
- 事実|何が起きていたのか
- 本人認識|本人はどう考えているのか
- 課題|何を改善するのか
- 目標|次にどの状態を目指すのか
- 行動・支援|本人と店長がそれぞれ何をするのか
- 確認期限|いつ進捗・結果を確認するのか

面談記録は「議事録」とは違う
面談中の会話を最初から最後まで文章で残す必要はありません。
長い記録を作っても、次回面談で必要な情報をすぐ確認できなければ管理には使いにくくなります。
重要なのは、
- 何が問題だったのか
- 本人はどう認識していたのか
- 何を改善すると決めたのか
- 誰が何をするのか
- いつ確認するのか
を後から確認できることです。
最初に面談日時を残す
基本ですが、面談日を必ず記録します。
複数回面談を行うようになると、いつ何を話したのか分からなくなることがあります。
日付があれば、前回から何日・何週間経過したのか確認できます。
必要に応じて、面談を行った上司や同席者も残します。
「面談をした理由」を短く残す
今回の面談が何のために行われたのかも記録します。
例えば、
- 定期面談
- 目標進捗確認
- 評価面談
- 役割変更の確認
- 業務上の課題確認
- 本人から相談があったため
などです。
目的が残っていれば、後から記録を見たときに話の背景を理解しやすくなります。
「事実」と「評価」を分けて書く
面談記録で特に重要なのが、確認できる事実と店長の評価を混ぜないことです。
例えば、
「最近やる気がない」
という記録だけでは、何を見てそう判断したのか分かりません。
それよりも、
- 依頼した業務3件のうち2件が期限を過ぎた
- 前回決めた進捗報告が行われていなかった
- 本人から「優先順位が分からず後回しになった」と説明があった
というように分けて残します。
これなら次回、「改善したか」を具体的に確認できます。
本人の発言は「本人認識」として残す
面談では、本人からさまざまな説明や意見が出ます。
その内容を、確認済みの事実と同じように記録しないことが重要です。
例えば、
「他のスタッフが協力してくれない」
という発言があった場合、その時点では本人の認識です。
必要なら後から状況確認します。
記録上も、
「本人より、○○について協力を得にくいと感じているとの発言あり」
というように、本人の発言であることが分かる形にします。
感情そのものを否定せず、事実とは分ける
「つらい」「不安」「評価されていない気がする」といった感情も、面談では重要な情報です。
感情だから記録しなくてよいわけではありません。
ただし、それを店舗の事実として扱わないようにします。
本人がどう感じているかと、実際に何が起きているかを分けて残します。
できていることも残す
面談記録が問題点ばかりになると、スタッフの成長履歴が残りません。
以前より改善したこと、できるようになったことも簡潔に記録します。
- 以前は上司確認が必要だった業務を一人で完了できた
- 問題が大きくなる前に相談できた
- 新人への教育を任せられるようになった
- 前回指摘した報告不足が改善した
こうした履歴があれば、評価面談でも成長を事実として確認できます。
課題は一言で分かるように残す
面談で話した問題をそのまま長文で残すより、最終的に何が課題なのかを短く整理します。
例えば、
- 期限管理
- 報告の遅れ
- 後追い不足
- 部下への仕事の任せ方
- 数字説明
- 問題の早期相談
などです。
次回記録を見た瞬間に、何を追っていたのか分かる状態にします。
課題だけでなく原因仮説も残す
同じ「報告が遅い」という課題でも、原因は人によって違います。
- 報告基準を理解していない
- 問題を自分で解決しようとして抱え込む
- 怒られると思って報告を避けている
- 単純に忘れている
- 重要性を理解していない
原因について面談で確認できた場合は残します。
ただし、確認できていない内容を事実として断定しないようにします。
目標は達成判断できる形で残す
面談記録へ「もっと成長する」「報告を意識する」と書いても、次回確認できません。
前の記事で扱った目標設定と同じように、具体的な状態へ変えます。
例えば、
「報告を早くする」
ではなく、
「問題になりそうな兆候を確認した時点で、自己判断で抱え込まず上司へ相談する」
と残します。
本人が行うことを明確に残す
面談後に本人が何をするのか記録します。
- 毎週担当者の進捗を確認する
- 期限前に進捗報告する
- 新人へ基本業務を一人で教える
- 担当数字を週1回確認する
- 問題の兆候が出た段階で相談する
本人が「自分は何を約束したか」を後から確認できる状態にします。
店長側が行うことも必ず残す
面談記録で抜けやすいのが、上司側の支援です。
店長が、
- 新しい業務を経験させる
- ロープレを行う
- 判断場面へ同席させる
- 必要な資料を渡す
- 週1回進捗確認する
と約束したなら、それも記録します。
スタッフだけの約束を記録して、店長側の約束を残さない状態は避けます。
期限・確認日を残す
何をするか決めても、いつ確認するかがなければ放置されやすくなります。
記録には次回確認日を入れます。
- 3日後に確認
- 翌週の営業前に確認
- 月末面談で確認
- 次回評価時に確認
など、課題の内容に合わせて設定します。
面談後すぐ記録する
面談から時間が経つほど、内容は曖昧になります。
可能な範囲で面談後早めに記録します。
その場で簡単なメモを取り、後から正式な記録へ整理する方法もあります。
重要なのは、記憶が薄れた数日後に「たしかこんな話だった」と作らないことです。
記録を長くしすぎない
面談記録を細かく書きすぎると、1人分を作るだけで大きな時間がかかります。
管理負担が大きい仕組みは、最初は続いても徐々に使われなくなります。
最低限、
- 事実
- 本人認識
- 課題
- 目標
- 本人の行動
- 店長の支援
- 期限
が確認できれば、次回面談へつなげやすくなります。
曖昧な人格評価を記録しない
記録へ「性格が悪い」「やる気がない」「頭が悪い」「信用できない」といった人格を断定する表現を残すべきではありません。
本人の改善にも使えず、なぜそう評価したのか後から確認できないからです。
仕事上の具体的な事実・行動へ変換します。
感情的に書かない
問題が起きた直後の面談では、店長側も感情的になっている場合があります。
その感情のまま、
「何度言っても分からない」
「もう任せられない」
といった表現を記録すると、後から見ても改善材料になりません。
何回同じ問題が起きたのか、何を伝えたのか、どの行動が変わっていないのかへ置き換えます。
必要以上の私生活情報を残さない
面談では、本人から仕事以外の相談が出る場合があります。
しかし、業務管理に必要のない個人的な情報まで細かく記録する必要はありません。
プライバシーに関わる内容は、会社・店舗の正式な情報管理ルールに従って取り扱います。
「記録できるから全部残す」ではなく、業務上必要な範囲を考えます。
面談記録を誰でも見られる状態にしない
スタッフ面談には、人事評価や本人の相談内容など、取り扱いに注意が必要な情報が含まれる場合があります。
誰が閲覧できるのか、誰が編集できるのかを店舗・会社のルールに合わせて管理します。
個人端末や私的なメモへ無制限に残すのではなく、正式な管理方法がある場合はそれを使用します。
LINEだけで面談履歴を管理しない
日常の連絡ツールで面談内容をやり取りすることはあります。
しかし、重要な育成履歴を個人同士のメッセージだけに残すと、後から探しにくくなります。
担当者変更や上司交代があった場合も、過去の育成経緯を引き継ぎにくくなります。
継続管理する内容は、店舗として確認できる正式な記録へ整理します。
記録場所を統一する
あるスタッフは紙、別のスタッフはLINE、別のスタッフは店長のスマホメモという状態では、管理が属人化します。
会社指定のシステム、面談シート、共有管理表などがある場合は、記録場所を統一します。
店舗独自で管理する場合も、「面談履歴を見るならここ」という場所を決めます。
次回面談は前回記録から始める
面談記録は、保存して終わりではありません。
次回面談の前に前回記録を確認します。
- 前回の課題は何だったか
- 本人は何をすると決めたか
- 店長は何を支援すると決めたか
- 期限はいつだったか
- その後何が変わったか
を確認してから面談へ入ります。
前回と今回の変化を残す
継続記録の価値は、変化を比較できることにあります。
例えば前回「報告が遅い」という課題があり、今回は改善しているなら、その変化を記録します。
逆に同じ課題が続いているなら、
- 行動していないのか
- 方法が合っていないのか
- 店長の支援が不足しているのか
- 原因の見立てが違っていたのか
を再確認できます。
同じ注意を何回したかではなく「何が変わったか」を見る
「この人には3回言った」という記録だけでは育成管理として不十分です。
重要なのは、伝えたあとに本人の行動がどう変化したかです。
同じ内容を繰り返し伝えているなら、伝え方・教え方・任せ方を変える必要がある場合もあります。
担当者が変わっても育成を続けられる記録にする
面談を行っていた役職者が異動・退職・担当変更になる場合があります。
記録がその人の頭の中だけにあれば、新しい担当者はゼロから関係を作り直すことになります。
必要な育成履歴が適切に記録されていれば、
- 以前何を課題としていたか
- 何が改善したか
- 何を目標としているか
- どの支援が必要か
を引き継げます。
評価面談にも記録を使う
評価時に直近の印象だけで判断しないためにも、面談記録は役立ちます。
一定期間の記録を確認すれば、
- どの課題を改善したか
- 新しく何を任せられるようになったか
- 同じ課題が続いているか
- 本人がどのように成長したか
を具体的に振り返れます。
面談記録でよくある失敗
失敗1|面談したことだけ記録する
「面談実施」としか残っておらず、何を決めたか分かりません。
失敗2|本人の発言だけ残す
事実・課題・店側の判断が整理されません。
失敗3|問題点しか残さない
本人の成長や改善履歴が分からなくなります。
失敗4|「頑張る」で終わる
次回、何を確認すればよいのか分かりません。
失敗5|店長側の約束を残さない
本人だけへ行動を求め、上司側の支援が抜けます。
失敗6|記録して一度も見返さない
面談記録が保存作業だけになり、育成へ使われません。
失敗7|記録場所がバラバラ
担当者しか過去の経緯を把握できない状態になります。
面談記録を残す7ステップ
- 日時・目的を記録する
いつ、何のために行った面談か残します。 - 確認できた事実を整理する
成果・行動・進捗などを具体的に残します。 - 本人の認識を分けて残す
本人の意見・感情・説明を事実と区別します。 - 課題と目標を決める
何を変え、どの状態を目指すのか整理します。 - 本人の行動を決める
面談後に何を実行するか残します。 - 店長側の支援を決める
上司が何を行うのかも記録します。 - 次回確認日を設定する
いつ結果を確認するのか決めます。
店長用|面談記録チェックリスト
- 面談日を残したか
- 面談の目的を残したか
- 確認できる事実を書いたか
- 本人の発言と事実を分けたか
- できていることも残したか
- 現在の課題を明確にしたか
- 原因を断定しすぎていないか
- 次の目標を具体化したか
- 本人が何をするか残したか
- 店長側が何をするか残したか
- 期限を決めたか
- 次回確認日を決めたか
- 人格評価になっていないか
- 不要な私生活情報を残していないか
- 正式な管理場所へ保存したか
- 閲覧・編集できる人が適切か
面談記録が機能している完成基準
面談記録ができている状態とは、スタッフごとに大量の文章が保存されている状態ではありません。
次の状態になっていることが重要です。
- 前回何を話したかすぐ確認できる
- 事実と本人認識が分かれている
- 本人の成長履歴が分かる
- 現在の課題が一目で分かる
- 本人が約束した行動を確認できる
- 店長側の支援内容を確認できる
- 期限・次回確認日が分かる
- 前回から何が変化したか比較できる
- 担当者が変わっても必要な育成経緯を引き継げる
- 評価・育成・次回面談へ実際に活用されている
店長の面談記録は「証拠を残す仕事」ではなく「成長をつなぐ仕事」
面談記録を「問題スタッフの証拠を残すためのもの」と考えると、記録は悪いことばかりになります。
しかし、本来の役割は違います。
前回どの状態にいて、何を課題とし、どの行動を決め、その後どこまで変化したかをつなぐために記録します。
面談が毎回単発なら、スタッフ育成も毎回ゼロから始まります。
記録があれば、前回の続きから育成できます。
良い面談記録とは、長い記録ではありません。次回見たときに「何を確認し、次に何をすればよいか」がすぐ分かる記録です。
まとめ
キャバクラ店長がスタッフ面談を記録するときは、会話内容をすべて書き残す必要はありません。
面談日時、確認できた事実、本人の認識、できていること、課題、次の目標、本人の行動、店長側の支援、確認期限を整理します。
また、人格評価や感情的な表現、確認できていない噂、業務に必要のない私生活情報などを安易に残さないことも重要です。
記録は保存して終わりではありません。次回面談の前に前回記録を確認し、何が変わったかを比較して初めて育成管理として機能します。
面談を一回ごとの会話で終わらせず、スタッフの成長を継続して追える状態を作ることが、店長に必要な面談記録の基本です。