この講義で学べること
お客様が退店し、その日の営業が終了しても、黒服の仕事はまだ終わりではありません。
営業中に使用したグラスや備品を片付け、キッチンを清掃し、在庫を確認し、翌日の営業を始められる状態へ戻すところまでが一日の仕事です。
閉店作業が不十分だと、翌日の営業前に洗い物・不足品・清掃・備品整理などへ時間を取られ、営業開始前から慌ただしくなる原因になります。
この講義では、洗浄、整理整頓、清掃、ゴミ処理、在庫確認、補充、引き継ぎまで、翌日の営業へつなげる閉店作業の基本を学びます。

今日の営業を終わらせる
だけではなく
明日の営業を始められる状態まで整える
閉店作業とは
閉店作業とは、その日の営業で使用した環境を整え直し、翌日の営業をスムーズに始められる状態へ戻す業務です。
単に「営業前の状態へ戻す」だけではありません。
営業中に減ったもの、汚れたもの、壊れたもの、不足したもの、翌日へ引き継ぐ必要がある情報まで確認します。
閉店作業 = 後片付け + 翌日の準備
閉店作業は、その日の後片付けであると同時に、翌日の営業準備でもあります。
閉店作業の基本的な流れ
細かな手順は店舗によって異なりますが、大きく分けると閉店作業は「安全」「リセット」「翌日準備」の3段階で考えられます。
PHASE 1|安全
危険物・床・設備などに問題が残っていないか確認する
PHASE 2|リセット
洗浄・整理・清掃・ゴミ処理を行い、営業で使った環境を整える
PHASE 3|翌日準備
在庫・補充・異常・引き継ぎを確認し、最後に全体を見る
- 安全上の問題が残っていないか確認する
- グラス・器具を回収して洗浄する
- 酒類・ボトル・備品を決められた場所へ戻す
- 作業台・シンク・床などを清掃する
- ゴミ・空き瓶・空箱などを処理する
- 在庫・残量・不足品を確認する
- 必要な補充・報告・引き継ぎを行う
- 最後に全体を確認する
重要なのは、作業項目を終わらせることではなく、翌日の担当者が困らない状態まで整えることです。
最初に安全上の問題を確認する
閉店作業を始める前に、まず店内やキッチン周辺に危険な状態が残っていないか確認します。
- 割れたグラスやビンが残っていないか
- 床が濡れていないか
- 通路に物が放置されていないか
- 設備に異常がないか
- 危険物が通常のゴミへ混ざっていないか
疲れている時間帯ほど確認が雑になりやすいため、安全に関わる項目は先に処理しましょう。
グラス・器具を洗浄する
営業中に使用したグラスや器具は、店舗のルールに従って洗浄・乾燥・保管します。
- 各種グラス
- ピッチャー
- マドラー
- メジャーカップなどの計量器具
- 店舗で使用するその他のドリンク器具
洗う
↓
乾燥する
↓
汚れ・水滴・破損を確認する
↓
翌日すぐ使える場所へ戻す
洗浄しただけで終わらせず、汚れ・水滴・破損などがないか確認します。
翌日すぐ使用できるよう、決められた場所へ整理して戻しましょう。
酒類・ボトル・備品を元の場所へ戻す
営業終了後は、使用した酒類や備品を整理します。
- 酒類を決められた場所へ戻す
- お客様のボトルを正しい保管場所へ戻す
- ミネラルウォーター・炭酸水などを整理する
- ストロー・マドラー・ナプキンなどを整える
- 不要な空ボトル・空箱を残さない
自分が分かる置き方
ではなく
次のスタッフが迷わない置き方
翌日のスタッフが「どこにあるか分からない」という状態を作らないことが重要です。
使ったものは決められた場所へ戻し、誰が見ても分かる状態に整えます。
キッチンを清掃する
キッチン周辺は、水分・酒類・ゴミなどで汚れやすい場所です。
主に次のような場所を確認します。
- 作業台
- シンク
- 冷蔵庫周辺
- 棚・収納周辺
- 床
- ゴミ箱周辺
目立つ汚れだけではなく、営業中に見落としやすい場所まで確認します。
翌日の営業を清潔な状態から始められることを、清掃完了の基準にしましょう。
ゴミ・空き瓶・空箱を処理する
営業中に出たゴミは、店舗のルールに従って処理します。
分別方法は店舗や地域によって異なるため、自店舗のルールを確認してください。
特に注意したいのが、割れたグラスやビンなどの危険物です。
割れたグラス・ビンなどの危険物を
通常のゴミへそのまま混ぜない
店舗で定められた方法に従って安全に処理します。
また、空き瓶や段ボールなどを通路や作業場所へ残さないようにしましょう。
在庫は「翌日足りるか」まで確認する
閉店時の在庫確認では、「完全になくなっているもの」だけを見るのでは不十分です。
翌日の営業で不足する可能性があるものまで確認します。
今ある量
+
翌日の使用量
↓
翌日の営業で足りるか判断する
- 酒類
- ミネラルウォーター
- 炭酸水・割り材
- ソフトドリンク類
- グラス
- ストロー・マドラー
- ナプキンなどの消耗品
- 店舗で使用するその他の備品
不足や残量の少ないものを見つけた場合は、可能な範囲で補充し、対応できないものは責任者へ共有します。
異常や不足は翌日へ黙って残さない
閉店作業中に問題を見つけた場合、そのまま翌日へ持ち越してはいけません。
- 在庫が不足している
- 設備に異常がある
- 破損した備品がある
- ボトル管理に確認が必要なものがある
- 翌日の営業前に対応が必要な作業が残っている
自分で解決できない場合は、内容を責任者や次の担当者へ正確に引き継ぎます。
「分かっている人が帰ったら、
誰も分からない」状態を作らない。
補充できるものは閉店時に整える
翌日の営業前にすべてを準備するのではなく、閉店時にできることは先に済ませておきます。
例えば、消耗品の補充、備品整理、冷蔵が必要な商品の準備などです。
ただし、衛生管理や保存方法など店舗ごとのルールがあるものは、そのルールに従ってください。
閉店時に一つ準備する
↓
翌日の営業前の仕事が一つ減る
最後に全体をもう一度確認する
個別の作業が終わったら、最後にキッチン全体を確認します。
作業を一つずつ終わらせていても、全体を見ると片付け忘れや補充漏れに気付くことがあります。
チェックリストを使いながら、翌日そのまま営業準備へ入れる状態になっているかを確認しましょう。
疲れている時間ほど確認を省略しない
閉店作業は、一日の営業を終えて最も疲れている時間帯に行うことが多い業務です。
「早く終わらせたい」という気持ちから、洗浄・確認・補充・報告を省略したくなることもあります。
しかし、その省略した仕事は翌日のスタッフへ残ります。
自分が帰るために片付けるのではなく、
次の営業を始めるために整える。
ケーススタディ|複数の閉店作業が残っている場合
営業終了後、グラスの洗浄、在庫確認、ゴミ処理、キッチンの清掃が残っています。
この場合、単純に一人で上から順番に処理する必要はありません。
最初|安全確認
割れ物・床の汚れ・危険物がないか確認する
次|並行作業
洗浄を進めながら、複数人ならゴミ処理・清掃・在庫確認を分担する
最後|全体確認
補充・報告・整理・清掃の漏れがないか確認する
重要なのは、早く終わらせることだけではなく、安全と正確さを保ちながら効率よく完了させることです。
よくある失敗
- 洗い物を翌日へ残す
- 使用したものを元の場所へ戻さない
- 清掃を目立つ場所だけで終わらせる
- 在庫確認を省略する
- 不足品を把握しても共有しない
- 設備や備品の異常を報告しない
- ゴミや空箱を翌日へ残す
- 疲れて確認作業を省略する
現場チェックリスト
□ 危険なものが残っていない
□ グラス・器具を洗浄した
□ 酒類・ボトル・備品を決められた場所へ戻した
□ 作業台・シンク・床などを清掃した
□ ゴミ・空き瓶・空箱を処理した
□ 在庫と残量を確認した
□ 必要なものを補充した
□ 不足品・異常・引き継ぎ事項を報告した
□ 翌日の営業を始められる状態になっている
現役店長からのアドバイス
営業中に仕事ができるスタッフは多くいます。
しかし、本当に信頼されるスタッフは、お客様が帰った後の仕事まで丁寧です。
閉店作業は、お客様から見えない仕事です。
だからこそ、その人の仕事に対する姿勢が出やすい部分でもあります。
今日の営業を終わらせるだけでなく、
明日の営業を始めやすくして帰る。
ここまでできるようになると、ドリンカー・キッチン業務を任せられるスタッフへ一歩近づきます。
今回のまとめ
閉店作業は、その日の後片付けではなく、翌日の営業準備まで含めた重要な業務です。
- 最初に安全上の問題を確認する
- グラス・器具を洗浄して正しく保管する
- 酒類・ボトル・備品を整理する
- キッチンを清潔な状態へ戻す
- ゴミ・空き瓶・危険物を正しく処理する
- 翌日の営業を考えて在庫を確認する
- 不足品や異常を報告・引き継ぎする
- 最後に全体を確認してから完了する
翌日のスタッフが迷わず仕事を始められる状態を作るところまでが、閉店作業です。
理解度チェック
Q1. 閉店作業の本当の目的は何ですか?
Q2. 閉店作業を始める際、最初に確認するべきことは何ですか?
Q3. 在庫確認では、現在の残量以外に何を考える必要がありますか?
Q4. 自分で解決できない不足や異常を見つけた場合、どうすればよいですか?
Q5. 閉店作業の最後に全体確認を行う理由は何ですか?
この講義で身につくこと
□ 閉店作業の目的と基本的な流れを理解できる
□ 安全・洗浄・清掃・整理を正しく行える
□ 翌日の営業を考えて在庫を確認できる
□ 不足や異常を正しく報告・引き継ぎできる
□ チェックリストを使って作業漏れを防げる
□ 翌日の営業を始めやすい状態まで整えられる
ドリンカー・キッチン編 全15講修了
ドリンカー・キッチン編
全15講 修了
営業を止めないために、
自分が何をできるかを考える。
ここまでで、ドリンカー・キッチン編の全15講は修了です。
この講座では、営業前準備からグラス・氷・酒類・ドリンク作成・オーダー処理・ボトル管理・キッチン管理・優先順位・スタッフとの連携・ミス防止・トラブル対応・閉店作業まで、ドリンカー業務に必要な基本を体系的に学んできました。
ただし、知識を読んだだけで仕事が身につくわけではありません。
実際の営業で繰り返し経験し、確認・判断・先回り・共有を積み重ねることで、少しずつ自分一人でも安定して動けるようになります。
営業を止めないために、自分が何をできるかを考える。
この考え方を、これからの現場でも活かしてください。
次の学習へ
ドリンカー・キッチン編で学んだ内容を土台に、次はホールスタッフの仕事内容と役割について学んでいきます。
お客様対応、テーブル管理、キャストのサポート、店舗全体を見る視点など、キッチンの外で求められる黒服の基本へ学習範囲を広げていきましょう。