夜職では、お酒を飲んでいるお客様を接客する機会が多く、営業中に酔いが進むこともあります。
最初は普通に会話していたお客様が、
- 普段より声が大きくなる
- 同じ話を繰り返す
- 飲むペースが速くなる
- 立ち上がった時にふらつく
- 呼びかけへの反応が弱くなる
というように、時間とともに状態が変わることがあります。
この時に大切なのは、お客様のテンションだけに合わせることではありません。
会話、飲酒ペース、姿勢、歩行、表情、反応などを見ながら、通常の接客を安全に続けられる状態か確認することです。
酔っているお客様への対応は、
- 状態を見ながら通常接客を続ける
- 早めに黒服へ共有する
- 通常接客を中断して安全対応へ切り替える
- 強い異変があれば緊急対応を優先する
というように、お客様の状態によって変わります。
今回は、会話が成立している段階から、安全対応を優先した方がよい段階までをロールプレイ形式で整理します。

この記事で分かること
- 酔いが進んでいる時に見るポイント
- 通常接客を続けられる目安
- 同じ話を繰り返すお客様への返し方
- 追加注文で迷った時の考え方
- 黒服へ共有するタイミング
- 接客を中断した方がよい状態
- 緊急対応を優先すべき異変
- 退店時に確認したいこと
「酔っている」を一つの状態で考えない
同じ「酔っている」でも、お客様の状態は大きく違います。
少し声が大きい。
普段よりよく話している。
同じ話を繰り返している。
この程度で、受け答えも姿勢も安定している場合があります。
一方で、
- ろれつが大きく崩れている
- 自力で座っていられない
- 歩くと強くふらつく
- 呼びかけへの反応が弱い
- 意識がはっきりしない
- 嘔吐を繰り返している
- 呼吸に異変がある
という状態では、通常の接客を続けるべきではありません。
キャストが医学的な診断をする必要はありません。
「いつもの接客を続けられる状態か」「黒服へ共有すべき状態か」「接客を止めるべき状態か」を見ることが重要です。
酔いを3つの対応段階で見る
通常接客を続ける
↓
早めに黒服へ共有
↓
接客を中断・安全対応
↓
強い異変なら緊急対応
酔っているという一言でまとめず、状態に合わせて対応を切り替えます。
酔いの変化は複数のサインから見る
確認したい変化には、次のようなものがあります。
- 声量が急に大きくなる
- 同じ話を何度も繰り返す
- 話が成立しにくくなる
- ろれつが回りにくくなる
- 座る姿勢が崩れる
- 立ち上がる時にふらつく
- 飲酒ペースが急に上がる
- 注文した内容を覚えていない
- 感情の変化が大きくなる
- 周囲へ強く絡み始める
- 眠り込む
- 嘔吐する
- 呼びかけへの反応が鈍くなる
一つの変化だけで状態を決めつける必要はありません。
声が大きいだけで危険な状態と決めることも、会話できているだけで大丈夫と決めることも避けます。
複数の変化と、その変化が時間とともに強くなっていないかを見ましょう。
酔いの変化を見るポイント
会話・ろれつ
姿勢・歩行
飲酒ペース
表情・反応
迷惑行為
↓
複数の変化+時間経過で判断
一つのサインだけではなく、複数の変化を合わせて確認します。
今回のケース
本指名のお客様との接客を想定します。
飲酒が進み、普段より声量が大きくなっています。
同じ話を繰り返すことがありますが、
- 受け答えはできている
- こちらの話を理解できている
- 自分で座っていられる
- 大きなふらつきはない
という状態です。
この段階では、酔っているという理由だけで直ちに接客を終了する必要はありません。
ただし、ここからさらに酔いが進む可能性があります。
会話を続けながら、状態の変化も見ることが必要です。
今回のケース
声量が大きい
同じ話を繰り返す
+
受け答えできる
姿勢を保てる
大きなふらつきなし
↓
状態を見ながら接客継続
現時点だけで安心せず、その後の変化も確認します。
最初に確認するのは「返し方」より状態
お客様が同じ話を繰り返していると、新人キャストは「何と返せばいいんだろう」と会話だけを考えがちです。
しかし、先に見たいのは、
- 質問への返答が合っているか
- こちらの話を理解しているか
- 姿勢を保てているか
- 飲酒ペースが急に上がっていないか
- 顔色や表情に大きな変化がないか
- 立ち上がった時にふらついていないか
です。
会話内容だけで酔いの状態を判断しないことが重要です。
返し方より先に状態確認
同じ話をしている
↓
会話だけ見ない
↓
理解・姿勢・歩行
飲酒ペース・表情
↓
通常接客可能か判断
会話の違和感だけに集中せず、身体の状態も見ます。
良い接客例|同じ話を必要以上に否定しない
お客様
「この話したっけ?」
キャスト
「少し聞きました。でも続きあるんですよね?」
お客様
「そうそう、それでさ……。」
キャスト
「うん、聞いてます。」
ここでは「もう聞きました」と指摘することを目的にしていません。
会話が成立しているため、短く受け止めながら接客を続けています。
ただし、その後に姿勢や反応が変われば、会話より状態確認を優先します。
返事をしながらも、お客様の状態が変わっていないかを見ることがポイントです。
同じ話への良い対応
『この話したっけ?』
↓
短く受け止める
↓
必要以上に否定しない
+
姿勢・反応を確認
↓
変化があれば対応変更
会話を続けながら安全面も同時に確認します。
良くない接客例|酔いを馬鹿にする
お客様
「この話したっけ?」
キャスト
「それ何回目ですか?」
お客様
「そんな言い方しなくてもいいだろ。」
酔いが進んでいるお客様へ、
- 「またその話ですか?」
- 「もう何回も聞きました。」
- 「酔いすぎですよ。」
などと必要以上に指摘すると、不快感やトラブルにつながる場合があります。
ただし、何をされても受け入れるという意味ではありません。
- 暴言
- 無理な要求
- 身体接触
- 周囲への迷惑行為
が始まった場合は、酔っていることを理由に我慢し続けず、黒服へ共有します。
酔っていることと、迷惑行為を許容することは別です。
酔いと迷惑行為を分ける
酔っている
≠
暴言を許す
身体接触を許す
無理な要求を許す
↓
迷惑行為は黒服へ共有
酔っていることを理由に、キャストが我慢し続ける必要はありません。
酔いが進んでいる時は追加の飲酒を勧めすぎない
夜職では売上も重要ですが、お客様の状態に不安がある中で追加の飲酒を強く勧めるべきではありません。
確認したいのは、
- 飲むペースが急に速くなっていないか
- 注文した内容を覚えているか
- 会話が成立しているか
- 姿勢や歩行が安定しているか
です。
売上のために飲酒量を増やすことを、安全より優先しないようにしましょう。
追加飲酒の判断
飲酒ペース
注文内容の理解
会話
姿勢・歩行
↓
状態に不安あり
↓
追加飲酒を強く勧めない
売上より安全を優先する場面を見極めます。
追加注文の判断に迷ったら黒服へ共有する
酔いが進んでいるお客様から追加注文が入る場合があります。
特に、
- さっき注文した内容を覚えていない
- 同じ注文を繰り返している
- 料金を理解しているか分かりにくい
- 会話の受け答えが大きく崩れてきた
という場合は、キャスト一人で注文を進めず、黒服へ共有します。
店舗ルールとお客様の状態を踏まえ、責任者の判断につなげましょう。
状態が悪化してから伝えるのではなく、迷った段階で一度共有することが重要です。
追加注文で迷った時
注文を覚えていない
同じ注文を繰り返す
料金理解が曖昧
会話が崩れる
↓
キャストだけで進めない
↓
黒服へ共有
判断が難しい時点で店舗側へつなぎます。
3段階で対応を切り替える
医学的な診断ではなく、店舗で「いつ対応を切り替えるか」を考える目安として、次の3段階で整理すると分かりやすくなります。
① 状態を見ながら通常接客を続ける段階
- 声が少し大きい
- テンションが高い
- 同じ話を繰り返す
- 会話・姿勢・反応は保たれている
この段階では、状態の変化を見ながら接客します。
② 黒服へ早めに共有する段階
- ろれつが大きく崩れてきた
- 立ち上がる時にふらつく
- 注文した内容を覚えていない
- 会話が成立しにくい
- 周囲へ強く絡み始める
- 暴言や迷惑行為が増えている
この段階ではキャスト一人で判断せず、早めに黒服や責任者へ共有します。
③ 接客を中断し緊急対応を優先する段階
- 呼びかけても反応が弱い・反応しない
- 意識がはっきりしない
- 自力で身体を支えられない
- 嘔吐を繰り返している
- 呼吸に明らかな異変がある
- 倒れるなど強い体調異変がある
この状態では接客を続けません。
すぐに黒服・責任者へ知らせ、119を含む緊急対応が必要か判断します。明らかな緊急性がある場合は、救急要請を遅らせないでください。
「酔っているだけ」「寝かせておけば大丈夫」とキャストだけで判断しないことが重要です。
3段階の切り替え基準
① 会話・姿勢・反応あり
→ 状態を見ながら接客
② ろれつ・ふらつき・判断低下
→ 黒服へ共有
③ 意識・呼吸など強い異変
→ 接客中断・緊急対応
医学的診断ではなく、店舗で対応を切り替える目安として使います。
強い異変がある時は一人にしない
意識や呼吸などに強い異変がある場合は、通常接客の延長として扱いません。
黒服・責任者へすぐ共有し、店舗の緊急対応へ切り替えます。
状態が悪いお客様を一人にしたり、キャストだけで「しばらく寝かせておけば大丈夫」と判断したりしないようにしましょう。
安全に関わる異変では、接客を続けることより、人を呼び、必要な緊急対応へつなげることが優先です。
強い異変がある時
反応が弱い
意識がはっきりしない
身体を支えられない
嘔吐を繰り返す
呼吸に異変
↓
一人にしない
↓
責任者・必要な緊急対応へ
通常接客の延長で処理せず、安全対応へ切り替えます。
キャスト自身も判断力を保つ
お客様のテンションが上がると、キャストも一緒に盛り上がることがあります。
楽しい時間を作ることは接客の一部です。
しかし、キャスト自身も飲みすぎて、
- 周囲が見えない
- お客様の状態変化に気づかない
- 注文や料金を正確に確認できない
- トラブル判断が遅れる
状態になれば、安全な接客は難しくなります。
お客様のテンションには合わせても、判断まで一緒に失わないようにしましょう。
キャスト側の判断力
お客様が盛り上がる
↓
一緒に楽しむ
+
周囲を見る
注文を確認
状態変化を見る
↓
判断力は保つ
キャスト自身の飲みすぎで安全判断が遅れないようにします。
退店時も状態を確認する
酔いが強いお客様の場合は、お見送りの時も状態確認が必要です。
- 自力で歩けるか
- 同行者がいるか
- 一人で退店させてよい状態か
- 交通手段をどうするか
- 黒服や責任者の対応が必要か
を確認します。
ふらつきなどがある場合は、キャスト一人で退店方法を決めないようにしましょう。
営業中だけでなく、安全に退店できる状態かまで店舗と連携して考えることが重要です。
退店時の確認
自力で歩ける?
同行者はいる?
交通手段は?
一人で退店可能?
↓
迷えば責任者へ
↓
安全な退店方法を確認
退店までを含めて店舗として対応します。
退店後までキャスト一人で背負わない
本指名のお客様だからといって、退店後の安全対応までキャスト一人で背負う必要はありません。
例えば、
- 泥酔したお客様をキャストだけで店外へ連れ出す
- 個人的に自宅まで送る
- 自分の家へ連れて行く
- ホテルなどで一人で介抱する
といった対応は避けます。
同行者、交通手段、店舗スタッフによる対応、必要な緊急対応などを責任者と確認してください。
お客様を心配することと、キャスト一人で責任を負うことは別です。
退店後を一人で背負わない
泥酔したお客様
↓
キャストだけで連れ出さない
個人的に送らない
自宅・ホテルで一人で介抱しない
↓
店舗・同行者・必要な対応へ
本指名でも、安全対応をキャスト個人へ押しつけません。
酔っているお客様へのロールプレイ手順
- 普段との変化を見る
- 会話が成立しているか確認する
- 姿勢・歩行・表情・反応を見る
- 飲酒ペースを確認する
- 同じ話は必要以上に否定しない
- 酔いが進んでいれば追加飲酒を勧めすぎない
- 追加注文に迷ったら黒服へ共有する
- 周囲への迷惑行為も見る
- 通常接客が難しくなったら店舗へつなぐ
- 強い体調異変があれば接客を中断する
- 必要なら119を含む緊急対応へつなぐ
- 退店方法をキャストだけで決めない
新人の時期は、黒服へ共有するタイミングに迷うことがあります。
「まだ大丈夫かな」と迷った時点で一度共有する。
この考え方を持っておくと、状態が悪化する前に店舗として動きやすくなります。
酔客対応の基本手順
普段との変化を見る
↓
会話・姿勢・歩行・反応
↓
飲酒・注文状況
↓
迷ったら黒服へ
↓
強い異変なら接客中断
↓
退店まで連携
新人は『まだ大丈夫かな』と思った時点で共有する基準を持ちます。
接客後に3つ確認する
- どの段階で酔いの変化に気づいたか
- 黒服へ共有するタイミングは適切だったか
- 次回同じ状態なら何を早く確認するか
ロールプレイでは「うまく会話できたか」だけでなく、安全面の判断まで振り返りましょう。
接客後の3点確認
① いつ変化に気づいた?
② 共有タイミングは適切?
③ 次回は何を早く見る?
↓
次の接客へ反映
会話力だけでなく、安全判断の再現性も高めます。
酔っているお客様への対応で避けたい行動
- 「酔っているだけだから大丈夫」と決めつける
- 声が大きいだけで危険な状態と決めつける
- 酔っている姿を馬鹿にする
- 同じ話をするたび強く指摘する
- 酔っている姿を無断で撮影する
- 売上のため追加の飲酒を強く勧める
- 酔いが進んでいるのに飲酒ゲームを続ける
- 注文内容を覚えていないのに追加注文を進める
- 料金認識が曖昧なまま注文を進める
- 暴言や身体接触を酔っているからと我慢する
- ふらついているお客様を一人で歩かせる
- 反応が弱いのに接客を続ける
- 「寝ているだけ」と自己判断する
- 強い体調異変があるのに救急対応を遅らせる
- 本指名だから一人で最後まで抱える
- 泥酔したお客様をキャストだけで店外へ連れ出す
- 個人的に自宅やホテルへ連れて行く
本指名であることと、安全対応をキャスト一人で行うことは別です。
避けるべき判断
売上優先で追加飲酒 ×
酔いを馬鹿にする ×
迷惑行為を我慢 ×
強い異変を放置 ×
一人で退店対応 ×
↓
安全と店舗連携を優先
本指名や高額利用でも安全基準は変えません。
現役店長からのアドバイス
私はキャストに、酔っているお客様への対応では、
「どこまで接客で対応するか」と「どこから店舗へ渡すか」を分けて考える
よう伝えています。
声が大きい。
同じ話を繰り返す。
テンションが高い。
この程度で会話や姿勢に問題がなければ、状態を見ながら接客できることがあります。
しかし、歩行、反応、姿勢、嘔吐、注文判断、周囲への迷惑行為などに変化が出てきたら、キャストだけで抱えないでください。
売上が高いお客様。
長く来てくださっている本指名。
イベントの日。
こうした理由で共有を遅らせる必要はありません。
早めに共有して問題がなければ、それで構いません。
店長が伝えたい境界線
接客で対応できる
↓
状態に変化・迷い
↓
店舗へ共有
↓
強い異変
↓
接客を止め安全対応
『どこまで接客で対応し、どこから店舗へ渡すか』を明確にします。
そして、意識や呼吸などに強い異変が出た時は、もう「接客を続けるか」を考える場面ではありません。
人を呼び、必要な緊急対応へつなげ、安全を優先してください。
今回のまとめ
酔っているお客様への接客では、盛り上げることだけでなく、状態の変化を見ることが重要です。
- 「酔っている」を一つの状態で考えない
- 会話だけでなく姿勢・歩行・反応を見る
- 同じ話を必要以上に否定しない
- 酔いが進んでいる時は追加飲酒を勧めすぎない
- 注文判断に迷ったら黒服へ共有する
- 迷惑行為を酔っているからと我慢しない
- キャスト自身も判断力を保つ
- 通常接客が難しくなったら店舗へつなぐ
- 強い体調異変があれば接客を中断する
- 緊急性があれば救急対応を遅らせない
- 退店方法をキャストだけで決めない
- 本指名でも一人で最後まで抱え込まない
大切なのは、
状態の変化に合わせて、接客・店舗共有・安全対応を切り替えることです。
通常接客を続けられるうちは状態を確認しながら接客する。
判断に迷ったら黒服へ共有する。
強い異変があれば接客を中断し、安全対応を優先する。
この切り替えを覚えておきましょう。
今回のまとめ
状態を見る
↓
通常接客
↓
迷ったら黒服へ共有
↓
通常接客が難しければ中断
↓
強い異変なら緊急対応
↓
安全な退店まで連携
酔いの程度に合わせて、接客・店舗共有・安全対応を切り替えます。