この講義で学べること
顧客管理表へ来店予定を書いていると、月初には予定がたくさんあるように見えたのに、実際にはほとんど来店しなかったということがあります。
原因の一つが、「見込み」と「確定」を同じように考えてしまうことです。
「今月行くよ」
「また近いうち飲もう」
「仕事落ち着いたら行く」
こうした言葉は、来店の可能性を示す大切な情報です。
しかし、日にちや時間まで決まっている予定と同じではありません。
反対に、すべてを「どうせ来るか分からない」と考えてしまえば、せっかくの来店サインを営業へ活かせません。
大切なのは、見込みをゼロか100かで判断することではなく、どの程度具体化しているかを見ながら管理することです。
この講義では、来店見込みの考え方、見込みの強さを判断する材料、確定予定へ近づける方法、予定倒れを減らすための振り返りまで現役店長の視点で解説します。
最初に覚えておきたいポイント
- 「今月行く」を確定予定にしない
- 見込みには強弱がある
- 日にち・時間が決まるほど確度は高くなる
- 過去の来店傾向も判断材料にする
- 見込み売上を確定売上として扱わない
- 見込みを放置せず適切な時期に具体化する
- 予定と実績の差を毎月振り返る

来店見込みとは?
来店見込みとは、まだ来店日が完全には決まっていないものの、今後来店する可能性があるお客様や予定のことです。
例えば、
- 「今月どこかで行く」と言っている
- 「来週なら時間があるかも」と言っている
- イベントへの参加を検討している
- 普段の来店周期が近づいている
- LINEで飲みに行く話が具体的になっている
などです。
まだ確定ではありませんが、営業上は無視できない情報です。
確定予定と見込み予定を分ける
顧客管理表では、最低でも「確定」と「見込み」を分けて管理します。
確定予定
「8月30日の21時ごろ、2人で行く」など、来店日や時間が具体的に決まっている状態。
見込み予定
「今月中には行く」「来週なら行けそう」など、来店意思はあるものの日程が完全には決まっていない状態。
この2つを同じ欄に入れると、実際より予定が多く見えます。
「来ると言った」だけで確定にしない
お客様との会話では、その場の流れで「また行くよ」と言ってくれることがあります。
もちろん良い反応です。
ただし、具体的な日程がなければ、まだ来店予定としては途中段階です。
「また行くよ」をすべて確定予定として数えると、月末になって予定と実績が大きくずれる原因になります。
見込みは3段階程度に分けると分かりやすい
顧客数が増えてきた場合は、見込みをさらに簡単に分けても構いません。
強い見込み
「来週の金曜日なら行けそう」など、かなり具体的になっている。
通常の見込み
「今月中に行く」など、意思はあるが日程がまだ広い。
可能性
普段の来店周期が近い、会話の中で飲みに行く話が出たなど、来店の可能性はあるが具体的な約束はまだない。
分類方法に全国共通の正解はありません。
自分が見た時に、どの程度具体化しているか分かる仕組みにすることが重要です。
見込みの強さは「言葉」だけで決めない
同じ「今月行く」という言葉でも、お客様によって実際の来店率は違います。
毎回「行く」と言えば本当に来る人もいます。
一方で、悪気はなくても予定が頻繁に変わる人もいます。
そのため、発言だけでなく過去の行動も合わせて見ます。
過去の「言ったこと」と「実際の来店」を見る
見込み精度を上げるためには、そのお客様が過去にどのような動きをしてきたかを見ることが役立ちます。
- 予定を決めたらほぼ来店する
- 当日に予定変更することが多い
- 「今月行く」と言った月は実際に来ることが多い
- 仕事次第で日程が大きく変わる
- 連絡なしで突然来店することが多い
こうした傾向も、その人の顧客情報です。
普段の来店周期も見込み判断に使う
毎月1回程度来る安定顧客が、今月まだ来ていない場合があります。
具体的な約束はなくても、普段の来店周期から考えると今月来る可能性はあります。
ただし、周期だけで「必ず来る」と決めるわけではありません。
来店履歴・最近の会話・予定・連絡状況を合わせて判断します。
直近の会話が具体的なほど見込みは強くなる
例えば、次の2つでは具体性が違います。
A
「またそのうち行くね」
B
「来週東京にいるから、木曜か金曜なら行けそう」
Bの方が次の予定を具体化しやすい状態です。
誰がどの程度具体的な話をしているかを顧客管理表へ残しておくと、営業の優先順位を決めやすくなります。
見込みを作ったら「次に確認する時期」まで決める
見込み予定を記録しても、その後何もしなければ予定は具体化しません。
例えば、
「来週予定が分かる」
と言われた場合は、「来週になったら自然に確認する」という次の行動まで考えます。
見込み情報と次の行動をセットで残すことが重要です。
すぐ日程を迫ればいいわけではない
見込みを確定へ変えたいからといって、その場ですぐ「じゃあ何日?」と何度も聞けば良いわけではありません。
相手が仕事の日程をまだ確認できないこともあります。
その場合は、
「予定分かったらまた教えてね」
など、相手が決められるタイミングまで待つ方が自然です。
選択肢を出すと予定を決めやすい場合がある
お客様が「来週行けそう」と言っている場合、具体的な出勤日を伝えることで予定を決めやすくなることがあります。
例
「来週なら水曜と金曜いるよ。どっちか予定合いそう?」
一から日にちを考えてもらうより、選択肢がある方が答えやすい場合があります。
ただし、強引に予定を決めさせないことが前提です。
「いつでもいいよ」は予定が決まりにくいことがある
キャスト側が「いつでも待ってる」と伝えること自体は悪くありません。
ただし、お客様側が予定を決める必要性を感じず、そのまま流れる場合があります。
出勤予定など具体的な情報を出せる時は、少し選びやすくしてあげる方法もあります。
確定予定になったら情報を更新する
見込みだったお客様から、
「30日21時に行く」
と連絡が来たら、見込みのまま放置せず確定予定へ変更します。
必要に応じて、
- 来店日
- 時間
- 人数
- 同伴の有無
- 必要な店舗共有
なども更新します。
予定変更が出たら「失敗」と決めつけない
一度決まった予定が変更になることはあります。
仕事が長引いた。
体調が悪くなった。
急な予定が入った。
こうした事情は誰にでもあります。
キャンセルが一度出ただけで「もう見込みがない」と考える必要はありません。
その後に日程が再設定されるかまで確認します。
キャンセル後に「次の日程」が出るかを見る
予定変更があった時は、キャンセルそのものだけでなく、その後の動きも見ます。
例えば、
「今日無理になったけど来週金曜なら行ける」
なら、来店意思はまだ強いと考えられます。
一方、毎回予定が流れ、その後の日程も決まらない状態が続くなら、見込みの強さを見直す必要があります。
何度も予定が流れる人を毎月「確定扱い」しない
顧客管理では、お客様を責めることが目的ではありません。
ただし、毎回予定変更が多い人を、他のお客様と同じ確度で売上計画へ入れると、自分の計画が崩れやすくなります。
その人の傾向を理解したうえで、予定売上への期待値を少し慎重に考えることも管理です。
見込み売上を100%で足さない
例えば、見込み顧客が5人いて、それぞれ過去の利用額を合計すると30万円だったとします。
だから「今月あと30万円は確実」と考えるのは危険です。
見込みはあくまで未来の可能性です。
全員が来店するとは限りません。
月間計画では、確定予定と見込み予定を別々に見てください。
見込み人数だけで安心しない
「今月の見込みが20人いる」という数字だけでも判断できません。
20人全員が「また行くね」程度なのか。
10人は具体的な週まで決まっているのか。
見込みの中身によって現実的な来店可能性は変わります。
件数と確度をセットで見ることが重要です。
週間で見込みを見直す
来店見込みは月初に入力して終わりではありません。
毎週状況が変わります。
- 見込みから確定になった
- 来月へ延期になった
- 予定が分からなくなった
- 新しい見込み客が増えた
- 突然来店した
こうした変化を更新します。
半月で「残っている見込み」を整理する
月の半分が終わった時点で、月初の見込みをもう一度見直します。
例えば月初に見込み10人だったとしても、15日時点では、
- 3人はすでに来店
- 2人は後半の来店確定
- 2人はまだ日程調整中
- 1人は来月へ延期
- 2人は話が止まっている
という状態になっているかもしれません。
同じ10人でも、月初とは意味が変わっています。
見込みから実際に何人来たか確認する
月末には、「見込みを何件作ったか」だけでなく、「そのうち何件が実際に来店したか」を確認します。
例
月初見込み:10人
実際に来店:4人
来店率:40%
これはあくまで計算例ですが、毎月比べることで、自分の「見込み」という判断がどれくらい現実に近いか分かります。
確定予定も実績と比較する
見込みだけでなく、確定予定についても実績を振り返ります。
例えば確定予定10組のうち9組が実際に来店しているなら、比較的予定の精度は高いと言えます。
反対に10組中4組しか来ていない状態が続くなら、「確定」の基準が広すぎないか確認した方が良いかもしれません。
見込みが外れた原因を一括りにしない
予定が実現しなかった場合も、原因はさまざまです。
- 日程を具体化できなかった
- 仕事都合で変更になった
- 来月へ延期された
- 連絡が途切れた
- 最初から見込み判断が甘かった
これらをすべて「営業不足」とまとめると、本当の改善点が分からなくなります。
見込み判断が甘すぎる時の特徴
- 「また行く」をすべて見込みに入れる
- 数か月前の会話を今月の見込みとして残している
- 普段ほとんど来ない人も強い見込みにしている
- 連絡が止まっていても状態を更新しない
- 毎月見込み件数だけは多いが実際の来店が少ない
この状態では、顧客管理表の予定数字が実際より良く見えてしまいます。
反対に慎重すぎても営業機会を逃す
「日にちが決まるまで何も予定に入れない」という管理も、少し情報が不足します。
来店の可能性を話しているお客様を見込みとして把握しておけば、適切な時期にフォローできます。
確定ではないから消すのではなく、確定とは分けて残すことが重要です。
来店見込みを管理する基本ステップ
- お客様との会話から来店サインを拾う
- 確定・見込み・可能性を分ける
- いつ頃来られそうか記録する
- 普段の来店周期も確認する
- 過去の予定と来店傾向を見る
- 次に確認する時期を決める
- 適切なタイミングで日程を具体化する
- 確定したら顧客管理表を更新する
- 予定変更も記録する
- 月末に見込みと実績を比較する
来店見込み管理でやりがちな失敗
- 「今月行く」をすべて確定扱いする
- 見込みと確定を同じ欄で管理する
- 過去の利用金額まで確定売上として足す
- 見込みを作ってそのまま放置する
- 日程を決めようとして何度も連絡する
- 一度キャンセルされたら失客と決めつける
- 予定変更が多い人を毎月同じ確度で見る
- 見込み人数だけ見て具体性を確認しない
- 月初の予定を月末まで更新しない
- 予定と実績を比較しない
自分の来店見込み管理をチェックする
- 確定予定と見込み予定を分けている
- 強い見込みと曖昧な可能性を区別できる
- お客様の普段の来店周期を把握している
- 過去の予定変更傾向を確認できる
- 次に連絡するタイミングを決めている
- 見込みを強引に確定へ変えようとしていない
- 予定変更が出たら情報を更新している
- 週間で見込み状況を見直している
- 半月で残っている予定を整理している
- 月末に見込みと実績を比較している
見込み管理の目的は「未来を当てること」ではない
顧客管理表へ見込み予定を入れても、未来を完全に予測することはできません。
お客様の予定は変わります。
突然来店することもあれば、確定していた予定が変更になることもあります。
見込み管理の目的は、未来を100%当てることではありません。
今ある情報から来店の可能性を整理し、次に必要な行動を早く決められるようにすることです。
現役店長からのアドバイス
僕がキャストに来店予定を聞いた時、「今月10組あります」と言われることがあります。
そこで僕なら、もう一つ聞きます。
「その10組、日にちまで決まってるのは何組?」
ここがすごく大事です。
10組予定があると言っても、
7組の日程が決まっている10組と、
10人全員が「今月行くね」と言っているだけの10組では、意味がまったく違います。
僕は「予定を多く見せること」にはあまり意味がないと思っています。
本当に知りたいのは、今どこまで具体化できているかです。
Aさんは30日に確定。
Bさんは来週行けると言っていて日にち待ち。
Cさんは普段月末に来るけど、まだ話はしていない。
Dさんは「今月行く」と言ったけど、その後連絡がない。
ここまで分かれば、誰へ何をするか変わります。
Aさんには必要な確認だけ。
Bさんには予定が分かる頃にもう一度確認。
Cさんには普段の来店周期を見ながら自然に連絡。
Dさんは強い見込みとしては考えすぎない。
これが顧客管理だと思います。
そして、見込みが外れること自体は悪いことではありません。
お客様には仕事も生活もあります。
予定が変わるのは普通にあります。
問題なのは、毎月10組見込みと言っているのに実際には2組しか来ない状態が続いて、それでも何も見直さないことです。
それなら、「自分が見込みだと思っている基準」が少し甘いのかもしれません。
逆に見込み10組のうち毎月7〜8組来ているなら、そのキャストはかなり現実的に顧客予定を読めていると思います。
これは営業力にも関係します。
なぜなら、見込みを正しく読めるキャストは「誰に連絡すれば予定になりそうか」が分かっているからです。
そしてもう一つ。
見込みを確定にしたいからといって、お客様を追い込みすぎないでください。
「いつ来る?」
「日にち決まった?」
「まだ分からない?」
と何度も確認すれば、予定を取ること自体がお客様の負担になることがあります。
相手が「来週になったら分かる」と言ったなら、来週まで待つ。
これも営業です。
営業というと、動くことばかり考えやすいです。
でも、待つべきタイミングで待つことも必要です。
そして月末になったら、予想と結果を比べてください。
見込みは何人いた?
そのうち何人来た?
確定は何組あった?
何組が実際に来た?
なぜ予定が変わった?
ここまで毎月見ると、自分の顧客を読む精度が少しずつ上がります。
強い営業は、月末になって突然お客様を探す営業ではありません。
月の途中から「この人は来そう」「この人はまだ弱い」「この人は日にちを決められそう」と把握し、少しずつ予定を作っていく営業です。
僕は、顧客管理表の「見込み」が正しく使えるようになると、売上計画の精度もかなり変わると思っています。
今回のまとめ
キャバクラの来店見込みは、「来る・来ない」の二択ではなく、どの程度予定が具体化しているかを見ながら管理します。
「今月行く」「来週なら行けそう」といった言葉は大切な来店サインですが、日程が決まった確定予定とは分けてください。
見込みの強さを判断する時は、発言だけではなく、普段の来店周期・過去の予定実現率・直近の会話・現在の連絡状況も確認します。
また、見込み予定には「次にいつ確認するか」までセットで残し、相手の予定が分かるタイミングで自然に日程を具体化します。
予定変更があっても一度で失客と判断せず、その後の日程が再設定されるかまで見ます。
週間・半月で見込み情報を更新し、月末には「何件の見込みから何件が実際に来店したか」を振り返ります。
見込み管理の目的は未来を当てることではなく、今ある情報から次に誰へ何をするべきかを判断できるようにすることです。
見込みと確定を正しく分け、予定と実績を毎月比較することで、感覚だけに頼らず月の途中から来店予定と売上を組み立てやすくなります。