接客をしていると、お客様が不満を感じる場面があります。
例えば、
- 「思っていたより待たされた」
- 「キャストがなかなか来ない」
- 「料金の説明が分かりにくい」
- 「希望していた対応と違う」
といった不満です。
この時、新人キャストは、
「すぐ謝らなければ。」
「理由を説明しなければ。」
「自分で何とかしなければ。」
と焦ることがあります。
しかし最初に必要なのは、すぐ反論することでも、すべてを自分で解決することでもありません。
まず「お客様が何に不満を感じているのか」を確認することです。
そのうえで、キャストが対応できる内容なのか、店舗判断が必要なのか、安全対応へ切り替えるべきなのかを分けます。
今回は、
聞く → 整理する → 謝意を伝える → 勝手に判断しない → 必要なら黒服へ引き継ぐ
という流れをロールプレイ形式で整理します。

この記事で分かること
- 不満を言われた直後の対応
- 謝意と事実確認の違い
- 言い訳に聞こえない対応
- キャストが自分で決めてよい範囲
- 値引き・返金などを求められた時の対応
- 黒服へ引き継ぐタイミング
- 威圧や危険な言動が出た時の判断
- 対応後の情報共有
不満が出たら最初に内容を確認する
お客様の声が強くなると、その声量に意識が向きやすくなります。
しかし、重要なのは声の大きさだけではありません。
まず、何に不満を感じているのかを確認します。
- 待ち時間
- キャストが来ない
- 席替え
- 接客態度
- 料金
- 延長
- 指名
- 注文
- 説明不足
- 店舗ルール
- スタッフ対応
など、不満の対象によって対応は変わります。
例えば「遅い」と言われても、キャストが来ないのか、注文が遅いのか、会計が遅いのかで必要な対応は違います。
最初から解決策を出すのではなく、不満の対象を確認するところから始めましょう。
不満が出た直後の順番
不満を言われる
↓
すぐ反論しない
↓
何への不満か確認
↓
対応範囲を判断
↓
必要なら黒服へ
声の強さより、まず不満の対象を正確に確認します。
不満を言われただけで大きなクレームと決めつけない
お客様が、
「待ったよ。」
「キャスト少なくない?」
「説明分かりにくいよ。」
と言ったからといって、必ずしも大きなクレームになっているとは限りません。
単純に、気になったことを伝えている段階の場合もあります。
反対に、
- 料金や会計への強い不満
- 返金・値引きの要求
- 威圧的な言動
- 物を叩くなどの行動
- 身体への接触
まで出ている場合は、早い段階で黒服や責任者へつなぎます。
不満を軽く扱わず、必要以上にも大きく扱わず、内容に合わせて対応することが重要です。
不満の段階を見分ける
軽い不満・要望
→ 内容を確認
料金・返金・値引き
→ 早めに黒服へ
威圧・身体接触・危険行為
→ 安全対応へ
すべてを同じ『クレーム』として扱わず、内容で対応を変えます。
今回のケース
フリーのお客様との接客を想定します。
席についてすぐ、お客様から、
「全然女の子来ないじゃん。」
と言われました。
声量は少し強くなっていますが、会話は成立しており、暴言や危険な行動はありません。
この時にキャストが行うのは、店内が混んでいる理由をすぐ説明することではありません。
また、「自分が盛り上げれば何とかなる」と一人で抱える必要もありません。
まず不満を受け止め、状況を店舗へ確認します。
今回のケース
『全然女の子来ないじゃん』
↓
不満を受け止める
↓
勝手に理由説明しない
↓
店舗状況を確認
↓
黒服へ共有
キャスト一人で解決しようとせず、店舗判断へつなぎます。
良い接客例|不満を受け止めて店舗へつなぐ
お客様
「全然女の子来ないじゃん。」
キャスト
「お待たせしてしまってすみません。今の状況、確認してきますね。」
お客様
「ちゃんとしてよ。」
キャスト
「はい、すぐ黒服に確認してきます。」
その後、黒服へ、
「○番のお客様が、キャストがなかなか来ないことに不満を感じています。『ちゃんとしてよ』と少し強めにお話されています。私は状況を確認するとお伝えしています。」
と共有します。
この対応では、
- お客様の不満を否定していない
- 店舗事情を勝手に説明していない
- 値引きや無料サービスを約束していない
- 店舗判断が必要な内容を黒服へつないでいる
ことがポイントです。
キャストがその場ですべて解決しなくても構いません。
良い対応の流れ
お待たせへの謝意
↓
『確認してきます』
↓
黒服へ事実共有
↓
店舗判断
↓
必要な対応へ
謝意は伝えつつ、決定権のない内容まで約束しません。
良くない接客例|反論や店舗事情から入る
お客様
「全然女の子来ないじゃん。」
キャスト
「今日は混んでるから仕方ないですよ。」
お客様
「客には関係ないだろ。」
キャスト
「でも私に言われても分からないです。」
この返し方では、店舗側の事情を優先し、お客様の不満を押し返しているように聞こえる場合があります。
キャスト自身に決定権がないことと、何も対応しなくてよいことは別です。
自分で決められないなら、反論するのではなく店舗へつなぎましょう。
悪化しやすい返し方
不満
↓
『混んでるから仕方ない』
↓
店舗事情を優先
↓
お客様が反発
↓
口論へ
事情説明から入ると、言い訳として受け取られる場合があります。
謝意と事実確認を分ける
クレームになりそうな場面では、何について謝っているのかを分けて考えます。
例えば、
「お待たせしてすみません。」
「分かりにくい説明になってしまってすみません。」
という言葉は、現在発生している不便への謝意です。
一方で、確認前に、
- 「全部こちらのミスです」
- 「料金が間違っています」
- 「返金します」
- 「無料にします」
と事実や補償内容を確定することは別です。
分からない場合は、
「確認してまいります。」
と伝えれば構いません。
謝意を伝えることと、責任の所在や補償内容をキャストが決めることは違います。
謝意と事実確認を分ける
『お待たせしてすみません』
= 現在の不便への謝意
/
『全部店のミスです』
『返金します』
= 事実・補償の確定
↓
分からなければ確認
謝ることと、責任や補償を確定することを混同しません。
最初から言い訳をしない
店舗側にも事情がある場合があります。
- 店内が混雑している
- イベント日である
- キャストの交代が重なっている
- 席状況が複雑になっている
といった事情です。
しかし、不満を言われた直後に、
「今日は混んでるから。」
「イベントだから。」
と説明すれば、言い訳のように聞こえることがあります。
まず何が起きているのか確認し、必要な事情説明はその後に行います。
理由を説明することと、最初から店舗事情を言い訳にすることは別です。
説明する順番
不満を聞く
↓
何が起きたか確認
↓
必要なら謝意
↓
事実確認
↓
必要な事情説明
店舗事情は、状況確認より先に出さないことが基本です。
キャストだけで決めない内容を知っておく
キャストだけでは判断しない方がよい内容があります。
- 値引き
- 返金
- 料金免除
- 無料延長
- 無料サービス
- 指名料や席料金の変更
- キャスト変更の確約
- 店舗ルールの例外
- スタッフや他キャストの処分
- 今後の入店可否
などです。
例えば、
「こんなに待ったんだから延長無料でいいよね?」
と言われても、
「大丈夫だと思います。」
と答えません。
「私では決められないので、確認してきますね。」
と伝えて黒服へつなぎます。
その場を収めたい気持ちから、守れない約束をしないことが重要です。
キャストだけで決めないこと
値引き・返金
無料延長・無料サービス
料金変更・ルール例外
処分・今後の入店可否
↓
『確認してきます』
↓
黒服・責任者へ
決定権がない内容は、その場で確約しません。
表情・声量・話す速さを落ち着かせる
クレーム対応では、言葉だけでなく態度も見られています。
- 笑いながら謝る
- 早口で説明する
- 声を大きくする
- ため息をつく
- 話を遮る
といった態度は、不満を強くする場合があります。
反対に、接客中だからといって大きな笑顔を続ける必要もありません。
意識したいのは、
- 落ち着いた表情
- 聞き取りやすい声量
- 少しゆっくりした話し方
- 相手の話を遮らない姿勢
です。
相手の声が大きくなっても、自分まで同じ強さで返さないようにしましょう。
態度で悪化させない
相手の声量↑
↓
自分は声量を上げない
表情を落ち着かせる
少しゆっくり話す
遮らず聞く
↓
状況確認へ
言葉だけでなく、表情・声量・話す速さもクレーム対応の一部です。
強い言葉に感情で返さない
お客様が不満を感じている時は、
「ふざけるなよ。」
「ちゃんとしろよ。」
と強い言葉になる場合があります。
そこで、
「こっちだって忙しいんです。」
「そんな言い方しなくてもいいじゃないですか。」
と感情で返せば、不満の確認から口論へ変わります。
まず内容を聞き、自分で判断できなければ黒服へつなぎます。
ただし、
何を言われても我慢し続けることが冷静な接客ではありません。
強い言葉への対応
強い言葉
↓
感情で返さない
↓
内容を確認
↓
自分で判断できない
→ 黒服へ
危険な言動
→ 安全対応へ
冷静さと、危険な言動を我慢することは別です。
危険な言動が出たらクレーム対応から安全対応へ切り替える
通常の不満対応と、安全上の問題は分けて考えます。
例えば、
- 怒鳴り続ける
- 物を投げる
- テーブルを強く叩く
- キャストの身体をつかむ
- 退席を妨げる
- 脅す
- 他のお客様へ強く絡む
といった状態です。
この場合は、「最後まで話を聞かなければ」と一人で席に残る必要はありません。
必要なら席を離れ、黒服や責任者へすぐ共有します。
相手を尊重することと、危険な言動を受け続けることは別です。
安全対応へ切り替えるサイン
怒鳴り続ける
物を投げる・叩く
身体をつかむ
退席を妨げる
脅す
↓
一人で対応しない
↓
席を離れ黒服・責任者へ
安全上の問題になったら、通常のクレーム対応を続けません。
黒服へ伝える内容を整理する
黒服へ共有する時は、できるだけ事実を短く整理します。
- どのお客様か
- 何に不満を感じているか
- 実際に何と言っているか
- 声量や感情の強さ
- 自分が何と返答したか
- 料金や注文など確認事項があるか
- 何か約束してしまっていないか
- 危険な言動があるか
- 周囲への影響があるか
特に重要なのは、
自分が何と返したのかまで伝えることです。
店舗側とお客様の間で説明が食い違わないようにします。
黒服へ伝える9項目
誰のお客様か
不満の対象
実際の発言
感情・声量
自分の返答
確認事項
約束の有無
危険行為
周囲への影響
特に自分が何と返したかまで共有すると、店舗対応がズレにくくなります。
黒服へ引き継いだ後に勝手な再交渉をしない
黒服や責任者が対応した後は、その回答を基準にします。
例えば責任者が、
「今回は値引き対応はしません。」
と判断した後に、キャストがお客様から再び言われて、
「私からもう一回お願いしてみます。」
「たぶん何とかできます。」
と新しい約束をすると、店舗内の説明が崩れます。
追加の要望が出た場合は、再び黒服へ共有してください。
引き継いだ後は、キャストが独自の条件を付け足さないことも重要です。
引き継ぎ後のルール
責任者が判断
↓
その回答を基準にする
↓
追加要望が出る
↓
勝手に再交渉しない
↓
再び黒服へ共有
店舗内で回答が食い違わないようにします。
対応後は未解決の内容がないか確認する
黒服が対応してお客様が落ち着いた後は、徐々に通常接客へ戻して構いません。
ただし、
- まだお客様が納得していない
- 再び同じ不満を話している
- 料金について回答待ちになっている
- 店舗から最終回答が出ていない
場合は、キャスト側で「解決した」と決めません。
解決済みの内容と、まだ確認中の内容を分けましょう。
対応後の確認
解決済み?
回答待ち?
同じ不満が再発?
最終回答は出た?
↓
未解決なら再共有
↓
解決後に通常接客へ
落ち着いたように見えても、未解決事項が残っていないか確認します。
クレームになりそうな場面のロールプレイ手順
- すぐ反論しない
- お客様の話を聞く
- 何に不満があるか確認する
- 現在起きている不便へ謝意を伝える
- 事実確認が必要な内容を分ける
- 自分の判断範囲か確認する
- 判断できなければ黒服へつなぐ
- 値引き・返金などを勝手に約束しない
- 危険な言動があれば安全を優先する
- 引き継いだ後に独自の約束をしない
- 未解決事項がないか確認する
- 対応内容を店舗内で共有する
新人の時期は、「何と言えば怒られないか」を考えすぎることがあります。
しかし、すべてのお客様を一言で落ち着かせる言葉はありません。
正確に聞き、勝手に決めず、必要な人へつなぐことが基本です。
クレーム対応の基本手順
聞く
↓
不満を整理
↓
必要な謝意
↓
事実確認
↓
判断範囲を確認
↓
必要なら黒服へ
↓
安全問題なら接客中断
一言で収めることより、正しい順番で対応することを優先します。
接客後に3つ振り返る
- 何に対する不満だったか正確に把握できたか
- 自分で判断せず黒服へつなぐべき場面を守れたか
- 店舗内で共有すべき内容が残っていないか
クレーム対応は、その場を乗り切るだけで終わりではありません。
同じ問題を繰り返さないために、何が起きたのかを振り返ることも重要です。
接客後の3点振り返り
① 不満を正確に把握できた?
② 引き継ぎ判断は適切?
③ 共有漏れはない?
↓
原因・改善を店舗へ残す
その場を乗り切るだけでなく、再発防止につなげます。
クレーム対応で避けたい行動
- 不満を言われた瞬間に「クレーマー」と決めつける
- 最後まで聞かず反論する
- 「でも」「だって」から説明する
- 店舗事情を最初から言い訳にする
- 「私には関係ない」と返す
- 他のキャストや黒服のせいにする
- 確認せず店舗のミスだと断定する
- 値引き・返金・無料サービスを勝手に約束する
- 強い口調へ強い口調で返す
- 笑ってごまかす
- 危険な言動があっても一人で対応し続ける
- 問題が大きくなるまで黒服へ共有しない
- 黒服の回答後に勝手な再交渉をする
- 対応内容を店舗内で共有しない
- 未解決なのに「もう終わった話」と判断する
クレーム対応で目指すのは、お客様の要求をすべて受け入れることではありません。
内容を確認し、店舗として適切な対応へつなげることです。
クレーム対応で避けること
すぐ反論 ×
言い訳から入る ×
勝手な補償約束 ×
強い口調で返す ×
危険でも一人で対応 ×
共有しない ×
↓
店舗として対応
要求を全部受け入れることが正解ではありません。
現役店長からのアドバイス
私はキャストに、
「クレームを一人で解決しようとしなくていい」
と伝えています。
最初に確認するのは、「何に不満を感じているのか」です。
待ち時間なのか。
料金なのか。
接客なのか。
店舗スタッフの対応なのか。
不満の対象が分からなければ、正しい対応へつなげられません。
そして、キャストが対応できる部分と、店舗判断が必要な部分を分けてください。
料金、返金、値引き、無料サービスなどを求められたら、その場を収めるために勝手な約束をしないでください。
「確認します。」
と伝えて黒服へつなげれば構いません。
また、怒鳴る、物を投げる、身体をつかむなど、安全面に関係する状況になれば、通常の接客を続ける必要はありません。
クレーム対応が上手いキャストとは、全部自分で解決できるキャストではありません。
状況を整理し、適切なタイミングで店舗へつなげられるキャストです。
店長が見る対応力
何への不満か確認
↓
自分の対応範囲を判断
↓
勝手に約束しない
↓
適切なタイミングで共有
↓
必要なら安全対応へ
全部自分で解決する力ではなく、正しく判断してつなぐ力を評価します。
今回のまとめ
クレームになりそうな場面では、すぐ答えを出そうとせず、まず何に不満を感じているのか確認することが重要です。
- 不満を言われてもすぐ反論しない
- 声量ではなく不満の内容を見る
- 現在の不便へ謝意を伝える
- 謝意と事実確認を分ける
- 店舗事情を最初から言い訳にしない
- 自分で決められない内容は黒服へつなぐ
- 返金・値引きなどを勝手に約束しない
- 表情・声量・話す速さを落ち着かせる
- 強い言葉へ感情で返さない
- 危険な言動があれば安全対応へ切り替える
- 引き継いだ後に独自の条件を付けない
- 未解決事項と共有内容を確認する
お客様の不満を受け止めることと、すべての要求を受け入れることは違います。
自分で対応できるところまで対応する。
判断が必要なら黒服へ渡す。
安全上の問題があれば接客を中断する。
この切り替えが、クレーム対応の基本です。
今回のまとめ
不満を聞く
↓
内容を整理
↓
謝意と事実確認を分ける
↓
自分で決められなければ黒服へ
↓
危険なら安全対応
↓
未解決事項を確認
お客様の不満を受け止めながら、店舗判断と安全の境界線を守ります。